第2回:管理職に求められる「3つのスキル」とは?

杉山 晃浩

今の管理職はスキルを身につける必要があるのか​​?

管理職に求められる役割は多岐にわたり、最も重要な役割は「チームの成果を最大化すること」である。

しかし、昨日解説したように、多くの中小企業では管理職が適性よりも年齢・勤続年数・営業成績などで決められ、マネジメントのスキルを学ぶ機会がほとんどない。その結果、管理職が機能せず、組織の成長が停止するケースが後を絶たない。

管理職として成功するためには、少なくとも以下の3つのスキルが必要です。

  1. リーダーシップ(方向性を示す、チームを率いる力)
  2. コミュニケーション能力(部下と下の関係を築く力)
  3. 問題解決能力(組織の課題を特定し、解決まで導く力)

これらのスキルが欠如していると、管理職としての役割を果たすことができず、部下からの注目ばかりか、組織全体の生産性にも悪影響を及ぼします。ここから、それぞれのスキルについて詳しく見ていきましょう。


1. リーダーシップ – 方向性を示し、チームを導く力

リーダーシップとは、単なる「指示出し」ではなく、組織の方向性を明確にし、部下をその目標に向かって指導力を指す。特に中小企業では、経営者と現場の橋渡し役として、管理職が適切なリーダーシップを発揮することが求められる。

1-1. リーダーシップが不足すると起こるのか?
リーダーシップのない管理職の下では、次のような問題が発生することが多い。

  • 後輩が何をすべきかわからない(方向性が不明確)
  • チームの士気が低下する(指導がないためモチベーションが上がらない)
  • 経営者の意思が正しく伝わらない(現場と経営陣のギャップが広がる)

特に中小企業では、「管理職が現場に任せて、方向性が見えない」といったケースが多い。これでは部下の不安がつのり、チームとしての一体感が危うくなってしまう。

1-2. どうすればリーダーシップを発揮できるのか?
リーダーシップを
高めるためには、以下の3つのポイントを意識することが重要です。

  1. 明確な目標を設定する

    • 「何を目指すのか?」を明確に伝えることで、部下の行動を統一する。
    • 例:「今期の目標は○○円の売上」「お客様満足度を10%向上させます」
  2. 部下に対して責任を持つ

    • 「自分の仕事を成し遂げる」だけではなく、「部下を成長させる責任」を持つ。
    • 例:定期的な1on1ミーティングを行い、部下の悩みを共有する。
  3. 行動で示す

    • 「部下にやらせる」のではなく、「まず自分が模範を示す」ことで信頼を得る。
    • 例:「報連相の徹底」を部下に求めるなら、自らもこまめに報告する。

これらを実践することで、管理職としてのリーダーシップが強化され、チーム全体が活性化する。


2. コミュニケーション能力 – 部下と信頼関係を築く力

管理職にとって、部下とのコミュニケーションは非常に重要なスキルだ。しかし、中小企業では「管理職=上から指示を出す立場」と考えられることが多く、部下との関係が築かれていないケースが少ない。

2-1. コミュニケーション不足が考える問題

  • 部下が報告をしなくなる(管理職を信用していない)
  • 指示が伝わらず、仕事のミスが増える
  • 部下の悩みが見えず、モチベーションが下がった

管理職が部下と適切なコミュニケーションを取らないと、チームの連携が乱れ、最終的には生産性の低下や離職率の上昇につながります。

2-2. 良好なコミュニケーションを築く方法

  1. 「聞く力」を鍛える

    • 管理職は話すことよりも「聞く」ことが重要です。
    • 例: 部下の意見をしっかり聞き、共感を示す(「なるほど」「確かに」など)。
  2. フィードバックを意識する

    • 「叱る」よりも「成長を促す」ことが効果的です。
    • 例:「〇〇ができていたのは先生だった。ただ、□□を改善するとさらに良くなるよ」。
  3. 1on1ミーティングを定期的に行う

    • 部下が安心して相談できる環境を作ります。
    • 例:週1回、15分でも部下と話す時間をつくる。

これらの取り組みを継続することで、管理職と部下の関係が密となり、チームの一体感が向上する。


3. 問題解決能力 – 組織の課題を特定し、解決まで導く力

管理職は、日々の業務の中で様々な課題に決着する。トラブルを放置すれば、組織全体の生産性が低下し、ひいては企業の収益にも貢献する。そのため、問題を捉えて特定し、迅速に対応する能力が求められる。

3-1. 問題解決能力が低いと何が起こるのか?

  • トラブルが起こる(根本的な解決策が取られていない)
  • 責任の所在がなくなる(誰が対応すべきかわからない)
  • 部下が不満を抱え、組織の士気が低下する

3-2. 問題解決のステップ

  1. 問題を特定する(問題を明確にする)
  2. 原因を分析する(なぜ問題が起きたのかを考える)
  3. 解決策を考え、実行する

このプロセスを繰り返すことで、管理職としての問題解決能力が向上し、組織全体のパフォーマンス向上につながります。


まとめ

管理職には、リーダーシップ、コミュニケーション能力、問題解決能力の3つのスキルが要である。これらを意識し、日々の業務の中で実践していくことで、組織の成果を最大化できる。

次回は、「ゼロからできる!中小企業の管理職育成の仕組み」について解説する。

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