第4回:人事評価制度で“納得感”を育てる!公平な評価がやる気と定着を生む

杉山 晃浩

職場の不満としてよく挙げられるのが、「評価が不公平」「なぜあの人が昇格するのか分からない」といった“評価に対する不信感”です。

中小企業では、評価が経営者や上司の主観で決まってしまい、社員の納得を得られないケースが少なくありません。それがやがて不満や離職につながる原因になります。

そこで重要になるのが「人事評価制度」の整備です。

今回は、人事評価制度とは何か、その導入効果や設計のポイント、そして実際に導入した企業の成功事例をご紹介します。


人事評価制度とは?

人事評価制度とは、社員の業務成果や行動、スキルなどを一定の基準で評価し、処遇(昇給・昇格・賞与など)に反映させるための仕組みです。

評価制度がしっかり整っていると、社員は「何を頑張れば評価されるのか」が明確になり、目標に向かって意欲的に働けるようになります。

評価の主な対象は以下の通りです:

  • 業務成果(売上や実績、業務量など)

  • 行動(勤務態度、協調性、積極性など)

  • スキル・能力(専門性、改善力、学習意欲など)

  • 組織貢献(後輩育成、チームワークなど)

これらを「定量的・定性的」な観点で評価することで、主観を排し、公平性を高めます。


なぜ評価制度が離職防止に効くのか?

社員の多くは、「自分の頑張りをちゃんと見てほしい」「評価されたい」と思っています。

しかし、評価基準が不明確だと、努力しても報われないと感じてしまい、モチベーションが低下してしまいます。

一方、公平な評価制度があると:

  • 頑張りがきちんと報われる

  • 不満や不信感が減り、職場の信頼関係が深まる

  • 昇給・昇格の納得感が増し、離職が減る

といった効果が期待できます。


制度設計のポイント

● 評価項目と基準の明確化

「何を」「どのように」評価するかを明文化します。
例)「報連相が適切である」「年間売上目標の達成率が80%以上」など。

● 評価者研修の実施

制度を導入しても、評価者が正しく使えなければ意味がありません。評価者の教育は重要です。

● フィードバック面談の導入

評価結果を一方的に通知するのではなく、本人に説明・対話する機会を設けることで、納得感が増します。

● 昇給・賞与・昇格との連動

評価結果が処遇に反映されて初めて、制度は機能します。ルールを明確にしておくことが大切です。


成功事例:サービス業C社(従業員22名/宮崎県)

C社では、昇給・昇格の判断が経営者の感覚に頼っており、現場から「評価がブラックボックスだ」という声が上がっていました。

オフィススギヤマの支援を受け、

  • 行動評価(例:接客態度、時間厳守、顧客アンケート)

  • 成果評価(例:売上目標達成率、リピート率)

を組み合わせた評価制度を構築。

さらに年2回、上司とのフィードバック面談を導入。

その結果、

  • 昇給・賞与の納得感が高まり、社員の不満が激減

  • 若手社員の定着率が向上

  • 自主的に目標設定する社員が増え、全体の業績もアップ

という好循環が生まれました。


助成金の対象になるには?

「人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)」の対象制度のひとつが、人事評価制度です。

助成金の支給要件を満たすには:

  • 評価項目・基準・評価方法が文書で明文化されていること

  • 評価結果が処遇に反映されること

  • 社員に制度内容が周知されていること

これらが必要になります。

導入から1年後、離職率が一定割合改善していれば、

  • 制度導入助成:30万円

  • 目標達成助成:27万円

が支給されます。


オフィススギヤマの導入支援

私たちは評価制度を単なる“評価の道具”ではなく、“組織の風土を変えるツール”として設計します。

  • 評価項目・基準の設計支援

  • 評価シートの作成

  • 就業規則との整合性チェック

  • フィードバック面談の運用支援

  • 助成金書類の作成代行

制度の設計・導入・定着までを一貫して支援しています。


まとめ:公平な評価が、人を伸ばし、辞めさせない

「頑張っても報われない」と感じさせないためには、評価制度が必要不可欠です。

評価制度は、“辞めない職場”をつくるための最も効果的な手段の一つ。
制度を整えれば、社員の信頼も育ち、会社全体の雰囲気も良くなります。

助成金を活用すれば、費用負担を抑えて導入が可能です。


次回【第5回】では、「職場活性化制度」について、コミュニケーションや表彰制度を活用した定着戦略をご紹介します。

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