障害厚生年金はもらえる? 初診日・保険料納付・診断書の基本ガイド
杉山 晃浩
第1章|そもそも「障害厚生年金」ってどんな制度?
障害厚生年金とは、会社員や公務員など「厚生年金」に加入している人が、病気やけがによって仕事や日常生活に支障が出たときに受け取れる公的な年金のひとつです。
たとえば、脳梗塞で手足が動きにくくなった、うつ病で働けなくなった、事故で視力を失った……といった場合、日常生活や仕事に影響があると「障害年金の対象になるかも」と考えていいでしょう。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類がありますが、今回は会社などで働いていた方が対象になる「障害厚生年金」にしぼって説明します。
第2章|まず確認!受給のための3つの大前提
障害厚生年金を受け取るためには、次の3つの条件を満たしている必要があります。
① 初診日があること
これは、「初めて病院にかかった日」のことです。たとえば、うつ病で現在治療中でも、最初に心療内科にかかった日が“初診日”になります。
② 保険料をきちんと納めていること
初診日の前までに、決められた保険料をちゃんと払っていたかが問われます。詳しくは第4章で説明しますが、未納が多いと受け取れなくなることがあります。
③ 病気やけがの状態が「障害等級」に当てはまること
年金は「障害の重さ」によってもらえるかどうかが決まります。診断書などをもとに、1級~3級の等級が決まります(3級は厚生年金だけの等級です)。
この3つをすべて満たしていないと、申請しても年金はもらえません。
第3章|「初診日」とは?証明のポイントと注意点
初診日はとても大事です。 なぜなら、初診日にどの年金制度に入っていたか(厚生年金か、国民年金か)で「どの種類の障害年金がもらえるか」が決まるからです。
たとえば、会社員として働いていて初めて病院に行った場合、その日は「厚生年金加入中の初診日」になるので、障害厚生年金の対象になります。
ただし、初診日を証明するには、病院のカルテや診療録、紹介状などが必要になります。転院している場合は、いちばん最初の病院の記録が必要です。
この証明ができないと、申請が通らないこともあるので要注意です。
第4章|保険料はちゃんと払ってた?納付要件のしくみ
障害厚生年金を受け取るためには、「保険料の納付状況」が問われます。
次のどちらかを満たしていればOKです。
-
初診日の前々月までの1年間に、未納がないこと
-
初診日の前々月までの保険料納付期間が、加入期間の3分の2以上あること
つまり、直近1年間ちゃんと払っていればOK。もし未納があったとしても、全体としてまじめに払ってきていれば対象になる可能性があります。
また、「保険料免除期間」がある場合も、それは“納付した”と見なされることが多いです。
第5章|診断書ってどんなもの?等級の決まり方も解説
障害厚生年金をもらうには、病気やけがの状態を証明する「診断書」が必要です。
この診断書は、年金用の特別な書類です。ふだん病院で受け取る診断書とは違い、生活の困りごとや、仕事への支障などについても細かく記載されます。
そして、この診断書の内容をもとに、障害の重さが「1級」「2級」「3級」に判定されます。たとえば、まったく働けない状態なら1級、かなり制限されているけど少し働けるなら2級、といった感じです。
なお、精神疾患(うつ病・統合失調症など)、身体障害(視覚・聴覚・手足など)、内部障害(心臓・腎臓など)で様式や書き方が異なるので、主治医とよく相談しましょう。
第6章|「申請が通るか不安…」そんな方へのアドバイス
「ちゃんと初診日を証明できるかな?」「保険料、きちんと払えてたっけ?」「診断書ってどう書いてもらえばいいの?」
……こうした不安は、実はとても多くの方が感じています。
障害年金の申請は、書類も多く、専門的な内容が含まれるため、ひとりで悩まずに専門家(社労士など)に相談するのがおすすめです。
当事務所でも、無料相談や事前チェックを行っています。「もらえるかどうか分からない」「ダメでもいいから話だけ聞いてみたい」という方も、ぜひ気軽にご連絡ください。
第7章|まとめ:まずは“初診日・納付・診断書”をそろえてみよう
障害厚生年金は、条件を満たしていれば受け取ることができる大切な支援制度です。
「自分は対象かも?」と思ったら、まずは
-
初めて病院に行った日はいつか(初診日)
-
保険料はきちんと払っていたか(納付要件)
-
主治医に診断書を書いてもらえるか(等級判断)
この3つを確認してみましょう。
制度を知らなければ、申請すらできません。 「なんとなく不安」「もらえたら助かる」──そんな気持ちを大切に、一歩踏み出してみませんか?
お問い合わせや無料相談も、お気軽にどうぞ。