副業でお金を稼いだら?──税法から見る「確定申告・住民税・バレる問題」
杉山 晃浩
第1章|副業収入、申告しなくて大丈夫?
副業で収入を得たとき、最初に多くの人が疑問に思うのが「確定申告って必要なの?」という点です。
結論から言えば、会社員でも副業収入が年間で一定額を超える場合、確定申告をしなければいけません。
税法上のルールでは、給与以外の副業収入が年間20万円を超えると、必ず確定申告が必要です。この「20万円ルール」はとても有名ですが、実は誤解されやすいポイントがいくつかあります。
たとえば「20万円以下なら一切申告しなくていい」というのは半分正解で半分間違いです。住民税の申告は別に必要な場合があるため、後ほど詳しく説明します。
副業を始めたら、収入がいくらであれ「申告の義務が出てくる可能性がある」と理解しておくのが安全です。
第2章|副業の種類で税金の扱いが変わる
税務署は、副業を一括りに「副業所得」とは見ません。どの種類の所得に該当するかで、税金の計算方法や申告方法が変わります。
代表的なパターンを整理します。
✅ 給与所得
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副業先が会社で、給与をもらう(アルバイト、パート)
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所得税は源泉徴収される
✅ 事業所得
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継続的に利益を出す意思をもって自営する(個人事業主・フリーランス)
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青色申告が可能
✅ 雑所得
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継続性・独立性があいまい、単発収入
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事業所得に該当しない副業(スキマバイト、メルカリ、趣味販売)
たとえば「週1回だけ知人の手伝いをして報酬をもらった」「単発で記事を書いた」といった場合は、雑所得に分類されます。
青色申告は、事業所得で開業届を出すと65万円の特別控除などが利用できます。副業で安定的に稼ぐつもりなら、開業届を提出しておくと節税効果が大きいです。
第3章|「住民税で会社にバレる」仕組み
副業で最も有名な「バレる経路」が住民税です。
副業収入を申告すると、翌年の住民税額が増えます。その住民税は「特別徴収」という仕組みで本業の給与から天引きされるため、会社の給与計算担当者に「去年より住民税が増えていますね」と気づかれるのです。
バレたくない場合は、確定申告書を提出するときに**「住民税の徴収方法」欄で「自分で納付(普通徴収)」を選択する**のが基本です。これにより副業分の住民税だけは自分で支払えます。
ただし、自治体によっては「普通徴収にチェックしても会社に通知されるケース」があります。100%バレない保証はないので注意が必要です。
第4章|副業にまつわる帳簿・レシート管理
副業で経費を計上するなら、帳簿を正しくつけることが欠かせません。
✅ 経費にできるもの
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副業に使ったパソコン・スマホ・ネット回線
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打合せで使ったカフェ代
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副業のための交通費
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宣伝広告費
✅ 経費にできないもの
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日常の食費
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趣味の延長で買ったもの(仕事と無関係)
副業の収入が少額でも、レシートや領収書は必ず保管し、帳簿に記録しておくのが鉄則です。特に青色申告を選ぶ場合は、帳簿が不十分だと65万円控除が適用されません。
最近では「freee」「マネーフォワード」といったクラウド会計サービスを使う人が増えています。レシートをスマホで撮るだけで帳簿に反映されるため、経費管理が楽になります。
第5章|副業でよくある税務トラブル
副業で失敗しやすいのが、以下のパターンです。
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収入を把握していない
「大した額じゃないだろう」と思っていたら、雑所得が20万円を超えていた…というケース。 -
申告漏れで延滞税・加算税がかかる
税務署は副業収入を見逃しません。振込記録や事業者報告で把握しており、後から「お尋ね」が来ます。 -
経費を適当に入れて否認される
「なんでも経費になるだろう」と判断し、私用の支出を計上すると、税務調査で否認され追徴課税がかかります。 -
住民税の処理を忘れてバレる
確定申告のときに「普通徴収」を選ばず、会社経由で徴収されてしまう。
税務署から「お尋ね」が届いたら、放置せず早めに相談するのが大事です。誠実に対応すれば延滞税やペナルティが軽くなることもあります。
第6章|副業を安心して続けるために
副業を始めるのは勇気がいりますが、きちんと理解していれば税務の不安は大きく減ります。
最後に副業の税務管理で重要なポイントをまとめます。
✅ 副業収入は20万円を超えたら必ず確定申告
✅ 所得の種類を正しく判別する
✅ 経費を整理して領収書を保存する
✅ 住民税の徴収方法を確認する
✅ 迷ったら税理士や相談窓口を活用する
収入を得ることは素晴らしいことです。それを正しく申告することで、副業はもっと安心して長く続けられます。
あなたの副業が、仕事と生活の両方を豊かにする第一歩になりますように。