人事評価制度だけでは変わらない!“思考と関係”から始める組織づくりのすすめ

杉山 晃浩

第1章:制度を入れたのに成果が出ない理由

「人事評価制度を導入したが、期待していたような成果が上がらない」
「成果主義にしたはずなのに、現場の空気は悪化した」

そんな声を、経営者や人事担当者からよく耳にします。

立派な制度を導入しても、なぜ組織は変わらないのか?
その答えは、「制度=仕組み」ではなく、「人間関係=関係の質」が変わっていないからです。


第2章:ダニエル・キム教授の「成功循環モデル」とは?

組織開発の世界でよく知られているのが、MITのダニエル・キム教授が提唱した「成功循環モデル」です。

このモデルでは、組織の成果は次の4つの“質”が循環することで生まれるとされています。


🔄 成功循環モデルの構成要素

  1. 関係の質(信頼、安心、つながり)

  2. 思考の質(前向きな発想、建設的な議論)

  3. 行動の質(協力、主体性、挑戦)

  4. 結果の質(成果、業績、目標達成)


🎯 正の循環の流れ

 
関係の質 → 思考の質 → 行動の質 → 結果の質 → 関係の質(さらに強化)

信頼関係があるからこそ、前向きな思考が生まれ、良い行動ができ、成果につながる。そしてその成果が再び関係性を深めていく、という“好循環”です。


⚠ 負の循環の流れ

 
結果の質(数字・成果)ばかり追う → ギスギスした関係 → 思考が停滞 → 行動が消極的 → さらに悪い結果

つまり、「成果」から逆算して組織づくりをすると、かえって成果が出ない構造になるのです。


第3章:「結果から始める組織づくり」が危険な理由

「人事評価制度」「KPI」「数値目標」など、目に見える成果を重視するあまり、次のような現象が起こりがちです。

  • 成果ばかりが評価対象となり、プロセスが無視される

  • 現場のコミュニケーションが減り、発言が萎縮

  • 失敗を恐れて“やらない選択”をする社員が増える

これはまさに「負の循環」に突入している状態です。


第4章:関係性を起点にした“本当の組織づくり”

成果を出すために、まず整えるべきは「関係の質」です。
人が安心して話せる、相談できる、尊重されていると感じる。
そんな環境があるからこそ、自由で前向きな思考が育ち、行動が生まれます。

関係の質が高まると、たとえば次のような変化が起こります。

  • 1on1の時間が有意義になる

  • 部門を超えた協力が生まれる

  • 失敗をチームでカバーし合える

  • 若手が積極的に提案できる風土になる


第5章:制度を活かす「土台づくり」のすすめ

人事評価制度や成果主義を成功させるには、まずその**「土台」を整えること**が必要です。

そのための一歩として、以下のような取り組みが有効です:

  • 心理的安全性を高める対話の場(1on1、朝礼など)

  • メンバー同士の価値観共有ワーク

  • 「関係の質」を可視化する簡易サーベイ

  • 上司・部下間のフィードバック研修

制度は、それを支える土壌がなければ意味をなしません。


第6章:まとめ──制度より「関係」から始めよう

制度は必要です。でも、それだけでは変わりません。

まずは「関係の質」を見直すこと。
それが、思考を変え、行動を変え、結果として組織の未来を変えていきます。


💡最後に読者のあなたへ

あなたの組織では、どこから変えようとしていますか?
「人事制度」ではなく、「人と人とのつながり」からはじめてみませんか?

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