知らなきゃ損!新人総務が最初に読むべき「契約書のきほん」──『中小企業の契約書』を読んでわかったこと
杉山 晃浩
今回は、新人総務さんやこれから契約書を扱うことになる方に向けて、私が実際に読んで「これはめちゃくちゃ勉強になる!」と思った一冊をご紹介します。
その名も──
『トラブルを未然に防ぐ中小企業の契約書 読み方・作り方・結び方』(日本実業出版)
一見、難しそうなタイトルですが、読んでみるととてもわかりやすくて、「これ、中小企業で働くすべての人に読んでほしい…」と思いました。
「契約ってなに?」から始まるやさしい解説
この本のいいところは、「契約とは何か?」という超基本のところから、マンガと会話形式でやさしく教えてくれることです。
たとえば、
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口約束でも契約になる?
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メールだけのやり取りはどうなの?
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「愛人契約」は契約って言えるの?
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デートの約束を破ったら違約金は発生するのか?(←冗談のようで意外と真面目な話)
などなど、つい「へぇ~」と読んでしまう実例がたくさん出てきます。
契約書がないとどうなる?──「言った・言わない」の世界へ
本書では繰り返し出てくるキーワードがあります。それは…
「契約は口頭でも成立する。でも、証拠が残らない。」
つまり、契約書がないと、後からトラブルになったときに証明できないということなんです。
「え?でも社長がOKって言ったよ?」
「先方が了承したはずですけど…」
そう言っても、文書やメールの記録がなければ、裁判になったときに「そんな合意はしてない」と言われる可能性もあります。
そんなトラブルを防ぐためにも、契約書は“作っておく”のが絶対に安全。
面倒でも、印紙代がかかっても、「転ばぬ先の杖」です。
法律的に「無効」な契約もある?
ここも大切なポイントです。
契約って「合意すれば何でもOK」なイメージがあるかもしれませんが、実は法律的に効力を持たない契約もあります。
その代表例が「公序良俗(こうじょりょうぞく)に反する契約」。
たとえば…
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有毒物を混入して売る契約
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愛人に毎月お金を支払うという約束
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ネズミ講の会員契約
これらは、いくら当事者同士が「合意」していても、法律上は無効です。
新人総務さんにとっては少し難しく感じるかもしれませんが、「世の中には“契約っぽく見えても無効なもの”があるんだ」と知っておくだけでも、トラブルの芽を摘めますよ。
どんなときに契約書を作ればいいの?
実務でよくあるのが、
「この案件、わざわざ契約書までは作らなくてもいいよね?」
という判断。でも実際は、以下のような場合は契約書を作っておくべきです。
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初めて取引する相手との業務委託や外注
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金銭が発生する(報酬、料金、費用精算など)
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継続的な取引になる見込みがある
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責任の所在が不明瞭になりそうな内容が含まれる
本書でも、メールや口頭だけでは証拠能力が不十分になるケースが紹介されていました。
たとえば「メールでは合意したが、契約書がないために裁判で契約が成立していないとされた」など、実際にあり得る話が紹介されています。
この本が新人総務におすすめな理由3つ
私がこの本を「新人総務向けにちょうどいい!」と感じた理由は、次の3つです。
① 会話形式&イラストでわかりやすい
弁護士と社長の会話が、リアルでちょっと笑えて勉強になります。「あるある」な誤解を優しく正してくれます。
② 判例や具体例がリアル
実際に裁判で争われた契約の例が載っていて、「こんなケースがあるんだ…」と身が引き締まります。
③ 仕事の中で“判断できる力”がつく
単に法律を覚えるというよりも、「この契約、ちょっと怪しいかも」と判断できる“感覚”が身につくのがいいところ。
「無理…」と思ったらプロに頼もう!
とはいえ、いざ契約書を作ろうとすると、
「何を書けばいいの?」「ひな形はあるけどこれで大丈夫?」と不安になることも多いはずです。
そんなときは、無理せずプロに頼るのが正解です。
契約書には法的リスクがつきものですし、内容次第では会社に大きな損害を与えてしまうことも。
行政書士法人杉山総合総務では、企業規模や業種に合わせた契約書の作成・見直しサポートを行っています。
「こんな内容でもお願いできるの?」というご相談も大歓迎です。
まとめ
『トラブルを未然に防ぐ中小企業の契約書 読み方・作り方・結び方』は、契約の基本から「ありがちなミス」まで、まるごと学べる1冊。
特に新人総務の方には、最初に読む実務書としてとてもおすすめです。
こちらから購入できます。
契約って、トラブルが起きてからでは遅いんですよね。
「リスクに備える」という意味でも、今のうちに契約の基本を押さえておくことを強くおすすめします。
そして、「これはちょっと自分じゃ無理かも…」と思ったときは、
行政書士法人杉山総合総務にお気軽にご相談くださいね。