2025年8月分 人事労務クイズ~同一労働同一賃金について~

問題  ∼ 同一労働同一賃金について ∼

同一労働同一賃金の原則で求められているのはどれ?

答え

【A】 全社員を正社員にすること

【B】 同じ仕事には同じ賃金を支払うこと

【C】 正社員を優遇すること

【B】 同じ仕事には同じ賃金を支払うこと

同一労働同一賃金とは、正社員と非正規社員(契約社員・パート・アルバイトなど)の間で、職務内容・責任の程度・人材活用の範囲(転勤や異動の有無)などに大きな違いがない場合には、
基本給・各種手当・福利厚生などの待遇において不合理な差を設けてはならないとする原則です。
これは「働き方改革関連法」の柱の一つであり、正規・非正規間の不合理な待遇差の是正を目的としています。
大企業には2020年4月から、中小企業には2021年4月から適用されています。

【ここに注意!】
実務では、「職務に違いがあるから問題ない」として待遇差を放置しているケースが少なくありません。
しかし、単なる雇用形態や職種名の違いだけでは、待遇差の正当化にはなりません。
賞与、通勤手当、住宅手当、福利厚生施設の利用といった各待遇ごとに、個別に合理的な理由があるかどうかを検討する必要があります。

【合理的理由の具体例】

① 人材活用の幅や責任の範囲に差がある場合
たとえば、正社員には転勤・部署異動・昇進の可能性がある一方、非正規社員には勤務地や業務内容が限定されている場合、
その違いに基づいた待遇差(基本給や役職手当など)は合理的とされ得ます。

例: 転勤のある正社員には「地域手当」を支給するが、転勤のない契約社員には支給しない。

② 職務遂行能力や経験の違いに基づく場合
同じ業務に従事していても、業務遂行に必要なスキルや責任の重さ、判断の難しさなどに差があり、それに応じた評価制度が設けられている場合は、
一定の賃金差が認められることがあります。

例: 長年の経験と高度なスキルを有し、部下指導も担っている正社員には「技能手当」や「評価給」を加算して支給している。

企業には、これらの待遇差に関する説明責任が求められます。
万が一、従業員から説明を求められた場合に備えて、就業規則・賃金規程・人事評価制度などの文書を整備し、合理性の根拠を明示できる状態にしておくことが重要です。
厚生労働省のガイドラインや裁判例も参考にしながら、定期的な制度の見直しを行いましょう。