あなたの会社は大丈夫?──重任登記を怠った中小企業が陥る“登記懈怠リスク”とは

杉山 晃浩

第1章 なぜ「重任登記」を忘れる会社が多いのか

「役員は変わっていないのに、なぜ登記が必要なの?」
そう疑問に思う経営者は少なくありません。

実は、中小企業の多くが「重任登記(じゅうにんとうき)」という手続きを誤解しています。
“役員の再任”と“登記の義務”を結びつけて考えていないため、
任期が過ぎてもそのまま放置されてしまうのです。

その結果、ある日突然、裁判所から「登記懈怠(けたい)による過料通知」が届きます。
「うちの会社に罰金!?」と驚いて相談に来られる方が後を絶ちません。

中小企業の現場では、役員任期をカレンダーやシステムで管理しているケースはごくわずか。
「前回の登記からもう何年経ったのか」すらわからないという企業もあります。
つまり、登記忘れは“うっかり”ではなく“構造的な問題”なのです。


第2章 重任登記の基本をおさらい──再任しても登記が必要な理由

まず、「重任登記」とは、任期が満了した取締役や監査役を再び任命したときに行う登記のことです。
つまり「同じ人が続ける」だけでも、法律上は“新たに就任した”とみなされるのです。

会社法では、株式会社の取締役の任期は原則2年(非公開会社は最長10年)と定められています。
任期が来た時点で「再任」した場合、再任日から2週間以内に重任登記を申請しなければなりません。

もしこの手続きを怠ると、「登記懈怠」とみなされ、
会社や代表取締役に10万円以下の過料が科されることがあります。

「合同会社」や「特例有限会社」には任期の定めがないため重任登記は不要ですが、
株式会社・一般社団法人・NPO法人などではこのルールが適用されます。

ポイント

  • 役員が変わっていなくても「再任=重任登記が必要」

  • 期限は「再任から2週間以内」

  • 登記懈怠は信用低下にもつながる

登記簿は「会社の顔」です。
銀行、取引先、行政機関が真っ先に確認するのが登記情報。
放置したままにしておくと、「法務管理ができていない会社」と見なされる恐れがあります。


第3章 実際にあった「登記懈怠」トラブル事例

事例①:任期管理を忘れて過料通知が届いた

創業10年の製造業A社では、代表取締役を含む取締役3名が10年前の就任以来、重任登記をしていませんでした。
ある日、法務局を通じて裁判所から「登記懈怠による過料通知」が届き、会社として10万円の罰金を支払うことに。
代表者は「人も変えていないのに…」と困惑しましたが、法律上は立派な違反行為です。

事例②:銀行取引が止まった

B社では代表取締役の再任登記を忘れたまま、新しい融資を申し込みました。
ところが、登記簿上はすでに任期切れの代表者となっており、融資審査で指摘を受けて申請がストップ。
結果的に数週間の遅延と再審査費用が発生しました。

事例③:補助金・入札申請で不備

C社は自治体の補助金に応募しましたが、登記簿上の役員情報が申請書と一致せず、
「登記内容が最新でない」として審査対象外に。
小さな手続き漏れが機会損失を招いた典型例です。

このように、「登記をしていない=経営リスク」なのです。
登記懈怠は罰金だけでなく、信用・スピード・チャンスを失う原因になります。


第4章 重任登記を忘れないための3つのポイント

① 任期満了日を明確にする

登記簿を確認し、「いつ就任したか」「定款で任期を何年にしているか」を把握することが第一歩。
多くの会社で、定款上10年任期にしているにもかかわらず、任期管理が完全に放置されています。

② 年1回の株主総会で議事録を正しく作成

株主総会で「重任」の決議をした場合は、議事録に重任の旨を明記し、
登記申請書に添付します。議事録の体裁が不備だと、登記が却下されることもあります。

③ 専門家と連携して期限前に確認

行政書士や司法書士と顧問契約を結び、任期管理を外部委託するのが最も確実です。
期日をリマインドしてもらい、書類も整えてもらえば「2週間以内の登記」もスムーズ。

✅ 期限管理のポイント

  • 任期満了月の2か月前には手続き開始

  • 決議日(株主総会日)=登記起算日

  • 申請期限=2週間以内(遅れると過料リスク)


第5章 行政書士法人杉山総合法務の「重任登記支援サービス」

当法人では、
中小企業・医療法人・社団法人などを対象に、
「重任登記を忘れない仕組み」づくりをサポートしています。

🔸 主なサービス内容

  • 任期管理表の作成・リマインド通知
     → 登記懈怠ゼロを実現する期限管理サポート

  • 株主総会・理事会議事録の作成代行
     → 書式不備や表現ミスによる登記却下を防止

  • 法務局提出書類の整備支援
     → 登記申請をスムーズに進める文書サポート

重任登記は「法律上の義務」であると同時に、
企業の信用を守るメンテナンス業務でもあります。
提携している司法書士がスムーズに登記完了できるよう、行政書士法人杉山総合法務がしっかりアシストします。

私たちは、単なる書類作成にとどまらず、
「登記期限を忘れない仕組み」を構築し、
経営者と総務担当者の手間と不安を取り除くお手伝いをしています。

💬 「登記を忘れて過料通知が届いた」
「議事録の書き方がわからない」
「自社の任期がいつまでかも不明」
そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。
私たちが期限管理から書類作成まで一括でサポートします。


第6章 まとめ──重任登記は「単なる事務」ではなく「信用を守る経営」

登記は、会社の“履歴書”です。
どんなに実績があっても、登記情報が古ければ、
外部からは「更新されていない=管理が甘い会社」と見られかねません。

重任登記をきちんと行うことは、
罰金を避けるためだけでなく、会社の信用を維持する経営判断でもあります。

中小企業の多くが「社長一任」になりがちな法務手続き。
しかし、法的リスクを減らし、取引・金融機関・行政からの信頼を得るには、
定期的な登記メンテナンスと専門家のサポートが欠かせません。


✅ 行政書士法人杉山総合法務は、あなたの会社の「登記懈怠ゼロ」を応援します。

  • 任期管理から議事録作成まで、ワンストップ対応

  • 定期リマインドで登記漏れを防止

  • 経営者の法務リスクを最小化

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