成果の80%は仕事の20%で決まる パレートの法則で進む働き方改革
杉山 晃浩
「うちはみんな頑張っているのに、なぜ成果が出ないのだろう…」
そんな声を、私は社労士として何度も聞いてきました。
働き方改革といえば
「残業を減らせ」
「効率化しろ」
という掛け声ばかりが先行しがちです。
しかし、時間を減らしただけで成果が出るほど、経営は単純ではありません。
むしろ“働く時間だけが減り、現場は疲弊する”という悪循環も生まれています。
そんなときに役立つのが
パレートの法則です。
1章:忙しいのに成果が出ない…なぜ?
中小企業、とくに医療介護・サービス業では
「目の前の仕事に追われ続ける日常」が当たり前になりがちです。
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人手が足りない
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教育の余裕がない
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情報共有がバラバラ
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やらないといけないことが多すぎる
結果…
仕事の量は増えているのに
成果は伸びない。
これは「頑張りが成果につながっていない」状態です。
2章:パレートの法則とは?少数が大多数を生む力
イタリアの経済学者パレートが示した法則。
結果の80%は
原因の20%が生み出している
仕事に置き換えると
「成果のほとんどは、ほんの一部の仕事から生まれている」ということ。
なのに現場は…
「大多数のムダな仕事」で埋まっていませんか?
3章:現場で起きている“ムダな80%”
私は実務支援の中で、こうした光景を何度も見てきました。
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なくても困らない週次ミーティング
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転記作業という名の地獄
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ベテランの持ちすぎ仕事
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「とりあえずCC」文化
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フォーマットが統一されない申請書
つまり…
自分たちで
忙しさを作り出していることが多い
というのが現実です。
4章:成果を生む“重要20%”の見つけ方
では何を優先すべきか?
基準は明確です👇
✅利益が上がる
✅顧客が喜ぶ
✅ミスが減る
✅採用や定着が良くなる
✅働く人の負担が減る
これに当てはまるものこそ
成果の源泉=重要20%
他の仕事は
やらない、減らす、手放す対象となります。
5章:事例①(介護)
配膳を分解して、ケア業務に集中できる環境へ
ある介護事業所の悩みは「残業が減らない」こと。
調べると、意外なボトルネックが見つかりました。
ベテラン職員が毎日かなりの時間を
配膳業務に使っていたのです。
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アレルギーチェック
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刻み・ミキサーの確認
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薬のタイミング
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誤配膳のリスク判断
実は「素人には任せにくい業務」になっていました。
そこで工程を細分化👇
・専門判断が必要な工程
・新人やパートでもできる工程(マニュアル化)
マニュアル化した工程は
サポート職が担当できるように導線を変更。
すると…
◎ベテランがケアに専念できる
◎利用者対応の時間が増える
◎残業が大幅に減る
◎新人の戦力化が早まる
◎チームの雰囲気もUP
パレートの法則がそのまま現場に反映された成功例です。
“成果”の20%(ケア)に
“人”を集中させた
それだけで現場は大きく回り始めました。
6章:事例②(内科クリニック)
情報を一元化して診療効率アップ
院長の悩みは「回転率の悪さ」。
待ち時間が長く、患者が離れていく不安がありました。
現場を見ると…
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看護師は確認のために右往左往
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医療事務は問い合わせ対応で手いっぱい
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医師は診察前の判断情報が足りない
これらの原因は
情報の点在でした。
そこで👇
✅今日の診療スケジュール
✅検査情報
✅申し送り事項
を一元化する「情報共有ボード」を設置。
加えて電子カルテのテンプレ改善で
診療前に必要な情報が自動的に揃うように。
すると…
◎準備が先回りできる
◎医師の手が止まらない
◎診察の回転率が向上
◎残業が減る
◎口コミ評価が上昇
結果、
売上も患者満足も上がりました。
「見えない情報」を整えるだけで
生産性は今より何倍も上がる
まさにパレートの効果です。
7章:「やらないこと」を決めて初めて、働き方改革は進む
働き方改革の本質は
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時間を削ることでも
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労働を軽くすることでもなく
成果につながる仕事へ集中すること。
だからこそ
業務棚卸しが重要です。
1)業務をすべて洗い出す
2)成果とのつながりを評価
3)ムダ80%を削減
この根本整理なしに
改革は絶対に成功しません。
8章:小さな改善が未来を変える
劇的なイノベーションが必要ではありません。
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標準化
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自動化
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IT化
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属人化解消
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指示・報連相導線の最適化
こうした“小さな改善”が
組織の未来を変える起点になります。
9章:まとめ|20%の仕事が未来を作る
パレートの法則が教えてくれるのは
努力を増やすより、
成果を生む場所に集中せよ
ということ。
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悩むより減らす
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叱るより仕組む
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量より質
中小企業こそ
この視点が生き残りの必須条件です。
10章:本気で変革するなら、今。
もしあなたが…
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生産性を本気で高めたい
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仕組みで働き方を変えたい
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人を増やさず成果を増やしたい
そう思っているなら
私たちは力になれます。
ただし
「とりあえず話だけ」では変わりません。
覚悟ある経営者とともに、
未来に投資する働き方改革を進めます。
一緒に
強く、笑顔のある職場をつくりませんか?