採用は面接から始めてはいけません ──まず「仕事を見せる」会社が選ばれる理由
杉山 晃浩
はじめに|その面接、実は“ミスマッチ製造機”かもしれません
「まずは面接をして、人となりを見たい」
「会って話せば、だいたい分かる」
多くの中小企業が、採用をこの発想から始めています。
しかし、その結果どうなっているでしょうか。
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面接はうまくいったのに、辞退された
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入社後に「思っていた仕事と違う」と言われた
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数か月で辞めてしまった
こうした事態が続いているのであれば、
問題は人ではなく、採用の順番にあります。
結論から言います。
採用は、面接から始めてはいけません。
第1章|面接を先にすると、なぜミスマッチが起きるのか
面接は、本来「相互理解」の場です。
しかし、仕事の実態が共有されていない状態で行う面接は、
どうしても次のようなズレを生みます。
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応募者は、求人票と想像で話す
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企業は、理想像を前提に質問する
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お互いに“良く見せる”会話になる
結果として、
現実の仕事が話題に上らないまま評価が進む
という状態が起きます。
これは、どちらかが悪いわけではありません。
情報が不足したまま判断しているだけです。
第2章|応募者が本当に知りたいのは「仕事内容」です
応募者が一番知りたいことは何でしょうか。
給与でしょうか。
休日でしょうか。
人間関係でしょうか。
もちろん、それらも重要です。
しかし、最終的に応募者が判断するのは、
**「自分がこの仕事を続けられるかどうか」**です。
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実際の一日の流れ
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現場の雰囲気
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忙しさの度合い
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大変な部分
これらを知らないまま面接に進んでも、
本当の意味での判断はできません。
第3章|「まず仕事を見せる」会社が選ばれる理由
会社見学や業務説明を選考前に行う会社では、
次のような変化が起きます。
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面接辞退が減る
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入社後の「思っていたのと違う」が減る
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面接が具体的になる
なぜか。
応募者が、
自分で納得して選考に進んでいるからです。
「見たうえで、それでもやりたい」
この状態で来る応募者は、
面接の質も、入社後の定着率も違います。
第4章|会社見学は“選考”ではなく“情報提供”です
ここで誤解されがちなのが、
「会社見学=選考の一部」という考え方です。
違います。
会社見学や業務説明は、
評価の場ではありません。
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質問してもいい
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不安を口にしてもいい
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合わないと感じて断ってもいい
そういう場として設計することが重要です。
この位置づけを間違えると、
応募者は本音を隠します。
第5章|「選考前見学」を入れると辞退が減る本当の理由
会社見学を選考前に入れると、
一見すると「手間が増える」ように見えます。
しかし、実際には逆です。
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面接後辞退が減る
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内定後辞退が減る
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早期離職が減る
つまり、
後工程のロスが大幅に減るのです。
採用は、
「前に時間をかけるほど、後が楽になる」
という構造を持っています。
第6章|選考前の会社見学で、企業側が得られるもの
会社見学は、応募者のためだけのものではありません。
企業側にも大きなメリットがあります。
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応募者の反応が分かる
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無理をしていないかが見える
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現場との相性が分かる
特に重要なのは、
説明を聞いた後の応募者の質問です。
ここに、
本音と覚悟がはっきり表れます。
第7章|中小企業こそ「順番」を変えるべき理由
大手企業は、
ブランド力や待遇で一定数を集められます。
しかし、中小企業は違います。
だからこそ、
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隠さない
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盛らない
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先に見せる
この姿勢が、
信頼そのものになります。
仕事を見せることは、
弱みを見せることではありません。
誠実さを見せることです。
第8章|実務でのおすすめフロー
実務的には、次の順番がおすすめです。
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応募後、電話またはメールで初期接触
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選考前の会社見学・業務説明
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応募者が納得した上で面接
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その後に書類・評価を行う
この順番にするだけで、
採用の景色は大きく変わります。
おわりに|採用は「選ぶ前」に「見せる」時代です
採用は、
企業が一方的に選ぶ時代ではありません。
応募者も、
慎重に選んでいます。
だからこそ、
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面接で見極める前に
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判断する前に
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まず仕事を見せる
この順番が、
結果的に最も合理的で、
トラブルの少ない採用につながります。
採用は、面接から始めてはいけません。
仕事を見せるところから始める。
それが、
これからの中小企業が選ばれるための
現実的な採用戦略です。