採用担当者まで休んでいませんか?長期休暇に応募を逃す会社、獲得する会社
杉山 晃浩
「お盆や年末年始は、会社も休みだから求人広告を止めておこう」
このように考えていないでしょうか。
社員をきちんと休ませることは大切です。採用担当者にも休暇は必要です。
しかし、会社が休んでいる間、求職者も求人を見るのを休んでいるとは限りません。
普段は仕事が忙しく、転職について考える時間が取れない人も、まとまった休みに入ると、自分の働き方や将来を振り返ります。
「この会社で働き続けてよいのだろうか」
「来年こそは、もっと自分に合う仕事を探したい」
「実家に帰って、地元で働くことも考えてみよう」
このように思い、スマートフォンで求人を検索する人がいます。
一方、多くの企業では採用担当者も休暇に入り、新しい求人の掲載やスカウトメール、応募者への連絡が止まりやすくなります。
つまり、お盆や年末年始は、求職者がいなくなる時期ではありません。
競合企業の採用活動が緩やかになり、普段は知名度の高い会社の求人に埋もれている中小企業が、求職者に見つけてもらえる可能性が生まれる時期なのです。
長期休暇は本当に採用のチャンスなのか
「お盆や年末年始は、求人を出せば必ず応募が増える」
残念ながら、そこまで単純ではありません。
求人の動きは、地域、職種、雇用形態、求人媒体によって異なります。
観光、宿泊、飲食、小売、物流などでは、長期休暇が繁忙期となり、短期求人や増員求人が増えることもあります。
一方、事務職や一部の正社員求人では、企業が採用活動を控えるため、求人数が少なくなる傾向があります。
dodaの法人向け情報でも、8月はお盆や夏季休暇の影響で求人数が少なくなる理由が説明されています。
ただし、WEB求人は会社が休みでも掲載を続けられます。
そのため、「大手企業の求人広告がすべて消える」と考えるのは正確ではありません。
重要なのは、競合企業の動きが一時的に鈍くなる可能性がある中で、自社が採用活動を止めず、求職者へ情報を届け続けることです。
長期休暇は、何もしなくても応募者が集まる魔法の期間ではありません。
準備している会社にだけ、チャンスが生まれる期間です。
休暇中に転職を考え始める人がいる
在職中の人にとって、転職活動は大きな負担です。
平日は仕事があり、帰宅後は疲れている。休日も家事や育児があり、求人をじっくり見る時間が取れない人もいます。
ところが、お盆や年末年始にまとまった休みが取れると、時間にも気持ちにも余裕が生まれます。
年末であれば、一年を振り返りながら、翌年の働き方を考える人がいます。
お盆であれば、夏の賞与を受け取った後に、今後の仕事を考える人もいるでしょう。
また、帰省した際に、家族や友人から、
「そろそろ地元に戻ってこないか」
「地元にも良い会社があるよ」
と声をかけられることがあります。
これは、都市部から地方への転職や、地元企業への就職を検討するきっかけになります。
普段は転職サイトに登録していない人でも、スマートフォンで地元の求人を検索するかもしれません。
地元で働き、地域で暮らす「地産地働®」を進める中小企業にとって、帰省時期は自社を知ってもらう貴重な機会です。
競合が休むと中小企業の求人が見つかりやすくなる
求人サイトには、多くの求人が掲載されています。
会社名が広く知られていない中小企業は、給与や福利厚生だけで大手企業と比較されると、どうしても不利になりがちです。
しかし、長期休暇に入ると、求人広告の更新、スカウトメールの送信、SNSでの採用情報発信などを止める企業が出てきます。
その間も採用活動を続けることで、自社求人が相対的に目立つ可能性があります。
特に中小企業は、大手企業と比べて意思決定が速いという強みがあります。
社長と採用担当者が相談し、
「この期間も求人を掲載しよう」
「応募があれば、交代で確認しよう」
「休暇明けの面接枠を先に空けておこう」
と決めれば、短期間で実行できます。
採用予算の大きさでは大手企業に勝てなくても、情報発信と対応の速さでは勝てる可能性があります。
求人広告を掲載するだけでは応募につながらない
ここで注意したいのは、古い求人広告を掲載したままにすることと、採用活動を続けることは違うという点です。
仕事内容がわかりにくい。
給与や勤務時間が古い。
応募ボタンを押しても正しく動かない。
採用サイトの募集ページが削除されている。
スマートフォンでは文字が小さくて読みにくい。
このような状態では、競合求人が減っても応募されません。
長期休暇前には、実際にスマートフォンで自社の求人を確認してください。
求人タイトルを見ただけで、何の仕事かわかるか。
最初の画面に、勤務地や給与、働く魅力が表示されているか。
専門用語や社内でしか通じない言葉を使っていないか。
応募フォームの入力項目が多すぎないか。
自分でテスト応募を行い、最後まで問題なく送信できるか。
求人を掲載した担当者ではなく、初めて見る求職者の立場で確認することが大切です。
最大の失敗は、応募者を休暇明けまで放置すること
長期休暇中に求人を掲載するなら、最も避けなければならないのが応募者の放置です。
求職者が勇気を出して応募したのに、受付完了の連絡すら届かない。
会社が休みなのか、応募が正常に送信されたのかもわからない。
一週間後、突然電話がかかってくる。
これでは、応募者は大切に扱われていると感じません。
会社から連絡がない間に、別の企業へ応募する可能性もあります。
求職者は、必ずしも一社だけに応募しているわけではありません。
条件が同程度なら、早く丁寧に連絡をくれた会社へ気持ちが動くのは自然なことです。
求人広告会社なども、長期休暇中は転職潜在層へ接触できる可能性があるとして、求人掲載の継続を勧めています。
内藤一水社「お盆や年末年始など、長期休暇中は掲載を止めるべき?」
求人を出すのであれば、応募を受け取る体制まで用意しなければなりません。
自動返信には「いつ連絡するか」を書く
休暇中に採用担当者がすぐ対応できない場合は、自動返信メールを設定します。
ただし、
「ご応募ありがとうございます。担当者から連絡します」
だけでは不十分です。
応募者が知りたいのは、「いつ連絡が来るのか」です。
たとえば、次のように伝えます。
「このたびは、当社の求人へご応募いただき、誠にありがとうございます。応募を確かに受け付けました。当社は8月13日から8月16日まで休業しております。採用担当者からは、8月18日までにご連絡いたします」
休業期間と連絡予定日がわかれば、応募者は安心して待てます。
また、予定日を過ぎても連絡がない場合の問い合わせ先も記載しておきましょう。
会社の都合で返事が遅れるのであれば、その事情を先に説明することが誠実な対応です。
採用担当者を休ませながら応募にも対応する
休暇中も採用担当者へ仕事をさせ続ける、という意味ではありません。
社員を休ませることと、応募者を放置しないことは両立できます。
たとえば、次のような方法があります。
- 応募直後の自動返信を設定する
- 休暇中に一度だけ通知を確認する
- 採用担当者を交代制にする
- 経営者や別の社員を代理担当にする
- 一次返信だけ行い、詳しい連絡は休暇明けにする
- 応募情報を共有表で管理する
大切なのは、誰が、いつ、何をするのかを休暇前に決めることです。
「誰かが見ているだろう」という状態では、結果として誰も確認しません。
また、休暇中に自宅や外出先から応募者情報を確認する場合は、個人情報の取扱いにも注意が必要です。
応募者の履歴書を私物端末へ保存したり、個人のメールアドレスへ転送したりすることは避けます。
閲覧する人、使用する端末、情報の保存方法を事前に決めておきましょう。
休暇明け初日の30分が採用結果を変える
長期休暇が終わると、メールや通常業務が一気に押し寄せます。
採用対応を後回しにすると、応募者への連絡がさらに遅れます。
そこで、休暇明け初日の始業後30分を、応募確認の時間としてあらかじめ予定に入れておきます。
応募者へ連絡するときは、
「休暇中に応募していただき、ありがとうございました。お待たせしました」
と、待たせたことへの配慮を伝えます。
そのうえで、面談や面接の候補日を複数提示します。
「面接を希望する場合は、ご都合のよい日をお知らせください」
だけでは、応募者が一から日程を考えなければなりません。
会社から三つ程度の候補日を出せば、日程調整が進みやすくなります。
そのためには、休暇前に面接担当者の予定を確認し、休暇明け一週間分の面接枠を確保しておく必要があります。
休暇が明けてから社内調整を始める会社と、すぐに候補日を提示する会社では、対応速度に大きな差が生まれます。
長期休暇に強い会社は、普段の採用も強い
自動返信が設定されている。
応募者への連絡期限が決まっている。
担当者不在時の代理者がいる。
面接日程を早く提示できる。
応募から採用までの数字を記録している。
こうした仕組みは、長期休暇だけに必要なものではありません。
採用担当者が出張しているとき、体調を崩したとき、急な仕事で対応できないときにも役立ちます。
つまり、長期休暇の採用体制を整えることは、自社の普段の採用活動を見直すことでもあります。
採用が担当者個人の努力だけで成り立っている会社では、その人が休むと採用活動も止まります。
採用を会社の仕組みにできている企業は、担当者が休んでも応募者との接点を失いません。
数字を記録しなければ本当に効果があったかわからない
「年末年始に求人を出したけれど、効果がなかった」
このような感想だけで、翌年の掲載をやめてはいけません。
確認したいのは、応募数だけではありません。
- 求人が表示された回数
- 求人の詳細を見た人数
- 応募数
- 閲覧から応募に進んだ割合
- 応募から最初の連絡までの時間
- 面談や面接へ進んだ人数
- 採用人数
- 採用後の定着状況
表示されているのに読まれていないなら、求人タイトルに問題があるかもしれません。
読まれているのに応募がないなら、仕事内容や条件、応募方法に問題がある可能性があります。
応募はあるのに面接へ進まないなら、連絡の遅さや対応方法を見直す必要があります。
厚生労働省が毎月公表する一般職業紹介状況からも、求人と求職者の動きは月や産業によって変化していることがわかります。
自社にとって長期休暇が本当に狙い目なのかは、自社の数字を記録して初めて判断できます。
無料の「長期休暇の応募を逃さない 採用体制診断シート」をご用意しました
「求人は掲載しているが、休暇中の対応までは考えていない」
「自動返信を設定しているものの、内容が適切かわからない」
「休暇明けに応募者への連絡が遅れてしまう」
そのような会社のために、「長期休暇の応募を逃さない 採用体制診断シート」を作成しました。
次の7分野、全28項目を確認できます。
- 採用方針
- 求人原稿
- 応募導線
- 自動返信
- 休暇中の対応
- 休暇明けの初動
- 効果測定
プルダウンで現在の状態を選択すると、点数、達成率、分野別判定、総合判定が自動表示されます。
また、自動返信がない、応募確認の責任者がいない、休暇明けの連絡体制がないなど、応募者を逃す危険が高い項目には「重要警告」が表示されます。
診断だけでなく、休暇の4週間前から休暇明けまでの実行スケジュール、休暇中の自動返信文、休暇明けの個別連絡文も収録しています。
お盆、年末年始、ゴールデンウイークなど、長期休暇前の採用準備にご活用ください。
【無料プレゼント】
みんなが休むときに、採用まで止めない
長期休暇は、社員にしっかり休んでもらう大切な期間です。
だからといって、採用活動を完全に止める必要はありません。
求人は掲載を続ける。
応募があれば自動返信を送る。
担当者が確認できる仕組みを作る。
休暇明け初日に連絡する。
これらを事前に準備すれば、社員の休暇を守りながら、応募者も大切にできます。
大手企業と同じ採用予算を用意できなくても、誠実さと対応の速さであれば、中小企業にも勝負できます。
応募者は、求人広告の立派さだけを見ているのではありません。
応募した後、どのように扱われたかも見ています。
採用担当者まで完全に休んでしまい、応募者を置き去りにする会社になるのか。
それとも、担当者を休ませながらも、応募者へ安心を届けられる会社になるのか。
その違いが、長期休暇後の採用結果を左右します。
次の休暇が始まる前に、まずは自社の採用体制を確認してみてください。
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