雇用調整助成金の明暗は?

杉山 晃浩

ある商工会で雇用調整助成金の相談支援をしました。

A社は、10人未満の事業所です。就業規則があり、労働時間や休日がはっきりしていました。スタッフを休ませて休業手当を100%出すとのことでした。タイムカードで勤怠管理しているため、休業させる日の明確化をしておけば助成金申請には問題のない状況です。 B社は、10人未満の事業所です。就業規則はありません。雇用保険取得のために労働条件通知書を作りました。勤務実態は、シフト勤務ですが日によって始業時刻、終業時刻が異なります。緊急に出勤時間が変わることもたびたびです。1日の労働時間も需要に応じて変わります。結果、労働条件通知書と労働実態に乖離が発生しています。この状態だと助成金申請が難しくなります。 ところで、雇用調整助成金の申請には、年間の所定労働日が明確である必要があります。 業界、業種によっては労働時間が定まらない事業所は多数存在しています。 事業所の関係者にコロナウイルス感染者が発生すれば、勤務シフトを変更せざるを得ないこともあるでしょう。 労働契約とは、何時から何時まで働いて対価として賃金を受け取るものです。労働者には労働日には賃金がもらえる期待があります。だから労働日に休業を命じられて賃金がもらえない時には休業手当を労働者に支払う義務を経営者が負っているのです。 つまり、就業規則や労働条件通知書は飾り物ではなく、実態と合わせる必要があります。 また、色々な働き方がありますが、実態に合わせた就業規則や労働条件通知書を作る必要があります。 この基本ができていることが雇用調整助成金のスタートラインです。 平時には必要性を感じないかもしれませんが、今回のようなことがいつ起きるかわかりません。だから社労士の知恵を借りてしっかり環境を整えておきましょう。

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