労災事故で助成金返還なんてあるの?
杉山 晃浩
コロナ禍で雇用調整助成金のお世話になった企業は数知れず。
でも、せっかく受給した助成金なのに労災事故を起こしてしまうと返還しなければならないかもしれません。
嘘のような本当の話です。
助成金をもらえない会社は、つぎのいずれかに該当している会社です。
- 平成31年4月1日以降に雇用関係助成金を申請し、不正受給による不支給決定または支給決定の取り消しを受けた場合、当該不支給決定日または支給決定取消日から5年を経過していない事業主。なお、支給決定取消日から5年を経過した場合であっても、不正受給による請求金を納付していない事業主は、時効が完成している場合を除き、納付日まで申請できません。
- 平成31年4月1日以降に申請した雇用関係助成金について、申請事業主の役員等に他の事業主の役員等として不正受給に関与した役員等がいる場合は、申請することができません
- 支給申請した年度の前年度より前の年度の労働保険料を納入していない事業主
- 支給申請日の前日から過去1年間に、労働関係法令の違反を行った事業主
- 性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業、またはこれらの営業の一部を受託する営業を行う事業主
- 事業主または事業主の役員等が、暴力団と関わりのある場合
- 事業主または事業主の役員等が、破壊活動防止法第4条に規定する暴力主義的破壊活動を行ったまたは行う恐れがある団体に属している場合
- 支給申請日、または支給決定日の時点で倒産している事業主
- 不正受給を理由に支給決定を取り消された場合に、都道府県労働局が事業主名等を公表することについて、同意していない事業主
労災事故なんて、どこにも書いてないじゃないかと思われる方もいると思います。
労災事故の発生には何らかの原因があります。
その原因が、労働安全衛生法などで禁止されていたり、規制されていることであったりするとかなり重大な事故として取り扱われます。
転落、ガス中毒などがその典型です。
次にご紹介するのは実際にあった例です。
労災事故の発生原因は会社にあるということで、書類送検されました。
結果は、不起訴でした。
しかし、労働安全衛生法違反でないことではないため、「支給申請日の前日から過去1年間に、労働関係法令の違反を行った事業主」に該当することになりました。
つまり、せっかく受給した助成金を全額返還する羽目に…
その金額は2千万円超!
途方に暮れてしまいますね…
助成金の活用を考えている企業は、普段から労災事故が発生しないように、社員教育、環境整備を怠ってはいけないという教訓のご紹介でした。
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