同一労働同一賃金対策していないとどんなリスクがあるのかな?

杉山 晃浩

近頃、労働局や年金事務所の調査が増えてきましたね。コロナ禍での遅れを取り戻さんとするばかりです。

特に労働基準監督署の調査では、均等室管轄の同一労働同一賃金についてもチェックされています。

縦割りセクショナリズムが崩れてきているのかな?

各事業所の情報は全て厚生労働省のシステムに落とし込まれているので、北条亮の拡大を狙っているのだろうか?

いずれにせよ、同一労働同一賃金について未だにノーアクションの企業が多いことに残念な気がします。

同一労働同一賃金については、厚生労働省のページを参考にしてください。同一労働同一賃金特集ページ

ところで、人事系の業務自体は利益を生み出すことはありませんが、人事系の業務がしっかりしていないと、雇用ミスマッチや退職者の発生に繋がります。いずれも企業の利益を削ってしまうので、間接的に売り上げや利益を低下させてしまいます。

さらに、同一労働同一賃金に違反していると指摘された場合、非正規労働者が新たに諸手当の受給権を得てしまうリスクもあります。行政職員の中には、『同じ職種で同じ仕事なら、時給も諸手当も全部一緒だ』なんて経営者に行ってくることもありそうですね。実際には、検討すべき事項は多岐にわたりますし、裁判例ではその他事項も考慮されています。短時間の調査で結論付けられたらたまったものではありませんよね。

でも、同一労働同一賃金をめぐっては、労働基準監督官から是正勧告されなくても、裁判所に訴えられなくても、支払が生じるおそれがあります。詳しくは書きませんが、身近なリスクであると認識してください。

私が伝えたいことは、経営者が同一労働同一賃金対策を怠ると、複数のリスクが生じてしまうということです。以下に、その主なリスクを具体的に説明します。

1. 法的リスク

  • 法律違反: 同一労働同一賃金に関連する法律(例: パートタイム・有期雇用労働法、労働者派遣法など)を遵守していない場合、企業は法律違反となり、行政指導や罰金などの法的措置を受ける可能性があります。
  • 訴訟リスク: 従業員からの不当な待遇に関する訴訟を起こされるリスクが高まります。訴訟による金銭的損失のほか、訴訟プロセスに伴う時間や労力の消耗も大きな負担となります。

2. 経済的リスク

  • コンプライアンスコスト: 法律違反が発覚した場合、違反状態を是正するためのコンプライアンスコストが発生します。これには、過去の不適切な待遇の是正や将来のシステム改善のための費用が含まれます。
  • 人材流出: 不公平な待遇により、優秀な従業員が退職し、競合他社へ移ることで、企業の競争力が低下する可能性があります。

3. 社会的・組織的リスク

  • ブランドイメージの損失: 同一労働同一賃金の原則に反する行動は、社会的な批判を受け、企業のブランドイメージや信頼性に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 従業員のモチベーション低下: 不公平な待遇は、従業員のモチベーション低下や職場内の不和を引き起こし、組織全体の生産性低下につながることがあります。
  • 採用活動への影響: 同一労働同一賃金に対する企業の姿勢は、特に若年層や意識の高い人材にとって、就職先選びの重要な判断基準となります。対策を怠ることで、優秀な人材の獲得が困難になる可能性があります。

4. 業務運営上のリスク

  • 業務効率の低下: 従業員間の不満や不公平感が業務の効率を低下させ、プロジェクトの遅延や品質の低下を引き起こす可能性があります。
  • 組織文化の悪化: 不公平な待遇が常態化すると、組織文化が悪化し、新しいアイデアや改善提案が出にくい閉鎖的な環境が生まれる恐れがあります。

いかがでしたか?

もしも同一労働同一賃金のリスク回避をしたいと考えているのであれば、まず最初に就業規則の作成や見直しから始めるようにしてください。

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