年度変わりは労災保険料も変わる時期ですね
杉山 晃浩
毎年4月の上旬にしておきたい労働保険事務として、年度更新の準備作業があります。
要するに、前年1年間の人件費の整理をしておこうということです。これをしておくと、年度更新事務がとても楽になります。
杉山がまだ若いころは、労働局の出張年度更新受付のお手伝いをしていました。会場には、多くの中小事業者が順番待ちの列を作ります。
お手伝いを必要としている中小事業者の中には、何にもせずに労働局からの封筒だけをもって会場に来ている人もいました。賃金台帳すらないので何もできません。『長時間待っていたんだからどうにかしてくれ!』とすごまれる方もいらっしゃいましたが、賃金台帳なしには何もできないのが現実です。
賃金台帳が整理できていない方には、賃金等報告書の書き方を教えて再度並んでもらいました。これをしないと、年度更新のやり方を全く覚えようとしてくれないからです。再度並ぶと大変なので、翌年にはしっかりと準備をしてきてくれると思いますけどね。
ちなみに賃金等報告書の書き方などは、労働局から送られてきている書類の中に入っているのですが、みなさんよまれませんよね。難しい、面倒だ、何が書いてあるかわからないなど、さまざまな理由がありますが、面倒なことは社会保険労務士に依頼するのがストレスフリーのポイントですね。
賃金等報告書の書き方はこんな感じです。
つまり、面倒な年度更新の準備をあらかじめしておくことで、余分な時間を取られないということです。
整理のポイントは、2つあります。
1つ目は、雇用保険料が給与明細書から引かれている人と、引かれていない人に分けます。
2つ目は、それぞれについて、毎月の人数、給与の総支給額の総額を合計します。賞与も同様に合計しておきます。これで準備は終わりです。
なお、出向がある事業所の場合には、別途計算が増えます。
ところで、労災保険料の計算には、給与と賞与の総支給額に労災保険料率をかけて負担する保険料を算出します。
令和6年度は労災保険料が下がっている業種が目につきます。厚生労働省が作成しているパンフレットを確認してみましょう。自社の保険料負担が減っているかもしれません。
社会保険料が高騰する時代に、少しでも会社の負担が減るのはありがたいことですね。
労災保険料率が下がるのは、何も政府が恣意的にできることではなくて、労災給付額が減っているからです。
労災防止に向けた日々の企業努力の成果なのです。これからも、労災保険料が下がるように労災事故発生防止に向けて取り組んでいきましょう。