2024年10月分 人事労務クイズ~退職金制度~

問題  ∼ 退職金制度 ∼

中小企業でも退職金制度を設ける必要がありますか?

答え

【A】 必要がある

【B】 任意で設けられる

【C】 社会保険加入企業のみ必要

【B】 任意で設けられる

中小企業において、退職金制度を導入するかどうかは法律で義務付けられていません。
そのため、基本的には任意であり、企業が自由に判断できます。退職金は従業員にとって長年の労働に対する重要な報酬であり、企業にとっても優秀な人材を定着させるための大切な手段です。

近年、人手不足や労働市場の競争が激化している中、退職金制度を導入することは、企業の魅力を高めるための有効な施策の一つとなっています。特に、中小企業にとっては優秀な従業員の確保や、離職防止の観点から退職金制度の導入は検討に値します。

【退職金の原資作り】
退職金制度を導入する際には、退職金の原資作りが不可欠です。下記の更に詳しくから企業が利用できる主な方法を紹介します。

 

1. 積立金の設定
退職一時金制度を採用する場合、企業は毎年一定額を積み立てて退職金の原資を形成します。長期的な視点で計画的に資金を蓄えることが求められ、企業内部の積立金や預貯金のほか、投資信託や債券などで運用するケースもあります。
将来的な支払いに備え、定期的に資金を積み立てておくことが大切です。

2. 中小企業退職金共済制度(中退共)
中退共は、政府が中小企業向けに提供している制度で、退職金の計画的な積立を支援します。
企業は毎月一定の掛金を拠出し、従業員が退職時にその積立金を受け取ります。掛金は全額損金として計上され、税制上の優遇措置も受けられます。
また、中退共が積立金を管理するため、企業の資金管理負担が軽減される点も魅力です。

3. 確定拠出年金(企業型DC)の利用
確定拠出年金制度では、企業が毎月一定額を従業員の年金口座に拠出し、その資金を従業員自身が運用します。運用結果に応じて退職金の額が変動するため、企業は毎月の拠出額を予測可能にでき、財務負担の安定化に寄与します。
一方、従業員にとっては運用リスクが伴うものの、運用成果によっては退職金額が増える可能性があります。

就業規則への明記と透明性の確保
退職金制度を導入する場合、就業規則にその内容を明記し、従業員に詳細な説明を行うことが必要です。
具体的には、退職金の計算方法、支給条件、支給時期、懲戒解雇などの場合に退職金が支払われない条件についても明確に規定しなければなりません。
透明性を保ち、従業員が理解しやすい制度設計を行うことが、トラブル防止に重要です。

まとめ
退職金制度の導入は中小企業にとって法的義務ではありませんが、従業員の満足度を高め、長期的な雇用を促進するために有効な手段です。
適切な原資作りを行い、明確で透明性のある退職金制度を設けることが、企業の発展と安定に貢献します。