2025年1月分 人事労務クイズ~残業命令拒否について~

問題  ∼ 残業命令拒否について ∼

労働者が残業を拒否できるのはどのような場合でしょうか?

答え

【A】 会社が36協定を締結していない場合

【B】 労働者が残業したくない場合

【C】 労働者が体調不良の場合

【A】 会社が36協定を締結していない場合

36協定を締結していない会社での残業は法的に認められず、労働者はその残業を拒否することができます。
また、残業命令があった場合でも、体調不良や健康上の理由があれば、拒否することが認められる場合もあります。
ただし、36協定が締結されている場合、通常の業務命令として残業の指示に従う義務があります。

1. 36協定を締結していない場合(選択肢A)
労働基準法第36条では、労働者に対して残業や休日出勤を命じるためには、あらかじめ労使間で「36協定」を結ぶ必要があると定めています。
この協定が締結されていない場合、会社は労働者に対して残業を命じることができません。
もし、36協定が締結されていない状態で残業を強制した場合、企業は法律違反となり、その場合、労働者は残業を拒否する権利を有します。

2. 労働者が残業したくない場合(選択肢B)
労働者には、基本的に「業務命令に従う義務」があります。残業は通常、業務の一環として命じられるものであり、労働者はその命令に従わなければならないのが原則です
このため、労働者が「残業したくない」と感じているだけでは、残業を拒否する正当な理由とはなりません。個人的な感情や希望に基づいて業務命令を拒否することは認められません。

3. 労働者が体調不良の場合(選択肢C)
体調不良による残業拒否については、法律的に認められる場合があります。
労働基準法第32条には、「使用者は、労働者に対して安全衛生に配慮した環境を提供しなければならない」と規定されています。
つまり、会社は労働者の健康を守る義務があり、体調不良が原因で業務に支障をきたす場合、その状態を無視して残業を強制することはできません。

労働者が体調不良を理由に残業を拒否する場合、その体調不良が医学的に認められるものであれば、会社はその申し出を尊重する義務があります。
例えば、医師の診断書や具体的な症状に基づいた説明が求められることが一般的です。「疲れた」「調子が悪い」といった主観的な理由ではなく、具体的な健康状態を証明することが重要です。

まとめ
残業を拒否する場合には、法的な根拠が必要であり、感情や個人的な希望に基づいた理由では認められません。
労働者と企業の間で、適切なコミュニケーションを通じて、法的トラブルを防ぎ、健康で働きやすい環境を築くことが重要です。