2024年12月分 人事労務クイズ~36協定について~
問題 ∼ 36協定について ∼
法定労働時間を超える労働をさせる場合、事前に必要な手続きは何でしょうか?
答え
【A】 労働者の同意
【B】 労働基準監督署へ相談
【C】 36協定の締結
【C】 36協定の締結
労働基準法では、労働時間を1日8時間、週40時間までと定めています。この時間を超える労働を行うには、労働者代表との間で36協定を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。この手続きを行わないと違法な残業となります。
労働者の同意: 個々の労働者が同意しているかどうかは36協定の効力には関係ありません。例えば、労働者が「残業しても構いません」と言ったとしても、36協定が締結・届出されていなければ違法です。
労働基準監督署への届け出: 届け出は36協定の一部であり、締結なしに届け出を行うことはできません。締結と届け出はセットで実施する必要があります。
違法な残業のリスク: 36協定を締結せず、または締結していても届出をしていない状態で法定労働時間を超える労働をさせた場合、使用者は労働基準法違反となります。この場合、以下のようなリスクが発生します。
行政指導や罰則: 労働基準監督署から是正指導を受け、従わない場合は刑事罰(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)を受ける可能性があります。
企業イメージの低下: 違法な長時間労働が発覚すると、メディア報道や口コミで企業の評判が低下する可能性があります。採用や取引先との信頼関係に悪影響を及ぼします。
労働者からの損害賠償請求: 過労による健康被害が発生した場合、労働者から損害賠償を求められる可能性があります。
◆36協定の実務上の注意点
企業が36協定を正しく運用するためには、以下のポイントに注意する必要があります。
労働者代表の選任手続き: 過半数代表者は、使用者の指名ではなく、労働者の信任を得たうえで選任されなければなりません。不適切な選任は協定そのものが無効になる可能性があります。
◆まとめ
法定労働時間を超える労働には、36協定の締結と労働基準監督署への届け出が必須です。
この手続きは単なる形式ではなく、労働者の健康を守り、企業の法令遵守を確保する重要な仕組みです。
労使双方が36協定の意義を正しく理解し、適切に運用することで、健全な労働環境を維持することができます。