2025年3月分 人事労務クイズ~産休中の賃金について~
問題 ∼ 産休中の賃金について ∼
産前産後休業を取得した場合、休業期間中の賃金支払い義務はどのようになるでしょうか?
答え
【A】 全額支払う必要がある
【B】 一部のみ支払う
【C】 賃金支払い義務はない
【C】 賃金支払い義務はない
【産前産後休業と賃金支払い義務】
1. 産前産後休業の基本的な内容
産前産後休業は、妊娠・出産を控えた労働者の健康と福祉を守るために設けられた制度です。
産前休業:出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から取得可能。
産後休業:出産後8週間は休業が義務付けられ、この期間は原則として就業できません。
2. 休業期間中の賃金支払い義務
労働基準法では、企業に賃金を支払う義務はありません。そのため、産前産後休業中は無給となるのが一般的です。
ただし、一部の企業では就業規則に基づき、独自に給与の支給や補助を行う場合もあります。
無給となる代わりに、健康保険から「出産手当金」が支給される制度があります。
これは、休業中の生活保障を目的とした給付金で、通常、標準報酬日額の約2/3が支給されます。
3. 出産手当金の概要
出産手当金は、健康保険に加入している労働者が産前産後休業を取得する際に受け取れる給付金です。
支給額:標準報酬日額の約2/3
支給期間:産前6週間(多胎妊娠の場合14週間)、産後8週間の計14週間
この制度により、産前産後休業中も一定の収入が確保され、生活の安定が図られます。
4. まとめ
産前産後休業中の賃金支払い義務は法律上ありませんが、出産手当金が支給されることで、一定の収入が保証されます。
企業はこの制度を正しく理解し、労働者に対する適切な情報提供とサポートを行うことが求められます。
また、令和7年4月からの育児・介護休業法の改正により、男女ともに仕事と育児・介護を両立しやすい環境の整備が進められます。
さらに、育児休業に関する給付金制度の拡充も予定されており、育児休業中の経済的負担を軽減する施策が強化される見込みです。
企業は、柔軟な勤務形態の導入や、休業取得を支援する体制を整えることで、より多様な働き方を実現し、労働者の働きやすさを向上させることが求められます。