2025年7月分 人事労務クイズ~有休管理について~
問題 ∼ 有休管理について ∼
退職時に年次有給休暇をまとめて使う「有休消化」は、会社が拒否できるでしょうか?
答え
【A】 業務に支障がある場合、拒否できる
【B】 原則拒否できない
【C】 就業規則で禁止していれば拒否できる
【B】 原則拒否できない
年次有給休暇は、労働基準法により労働者に与えられた権利で、原則として本人が希望する時季に取得できます。
特に退職が決まっている場合、会社には「時季変更権」は実質的に使えませんので、本人の希望通りに年次有給休暇を消化してもらう必要があります。
「業務に支障が出る」「引継ぎができていない」といった事情があっても、退職後に有給を取らせることはできませんので、会社が一方的に取得を拒否することはできないのです。
また、「退職時の年次有給休暇取得は認めない」といった規定があっても、法令に反するため効力はありません。
年次有給休暇消化のトラブルは、労使の信頼関係を損ねたり、労基署から是正指導を受ける原因にもなりかねませんので、早めの対応が大切です。
【普段からの労務管理と対策】
●年次有給休暇をこまめに取得してもらう仕組みづくり
→ 計画的付与制度の活用や、日頃から取得を促す働きかけが効果的です。
●退職の兆しに気づくよう、定期的な面談の実施
→ 突然の退職申し出を防ぎ、引継ぎ期間を確保しやすくなります。
●退職ルールの見える化
→ 社内規程やハンドブックで、年次有給休暇取得や退職手続きの流れをあらかじめ説明しておきましょう。
●管理職への基礎知識の周知
→ 有給のルールや社員対応の基本を理解しておくことで、現場でのトラブルを減らせます。
日頃から年次有給休暇を取りやすい職場づくりと、円滑な退職対応の体制を整えて、お互いが気持ちよく退職日を迎えられるようにしましょう。