2025年9月分 人事労務クイズ~テレワーク中の労働管理について~
問題 ∼ テレワーク中の労働管理について ∼
テレワーク時の労働時間管理として適切なのは?
答え
【A】 成果で判断する
【B】 自己申告のみで管理する
【C】 始業・終業時刻を客観的に把握する
【C】 始業・終業時刻を客観的に把握する
テレワークにおいても、労働時間の適正な把握は会社に課せられた重要な義務です。
労働基準法では、事業主が労働者の労働時間を適切に把握することが求められており、「自宅だから」「目の前にいないから」という理由で管理を緩めることは認められません。
厚生労働省の「テレワークの適切な導入・実施のためのガイドライン」では、労働時間を客観的に把握する仕組みを導入することが推奨されています。
具体的には、勤怠管理システムの打刻、PCやサーバーのログイン・ログオフ記録、業務アプリケーションの稼働状況、ICカードでの入退室管理などがその方法に当たります。
これらを活用することで、従業員の健康管理や長時間労働防止にもつなげることができます。
一方で、「成果主義(A)」は人事評価の手法にすぎず、労働時間管理の代わりにはならず、未払い残業や過労のリスクを招きます。
「自己申告のみ(B)」は簡便ですが、虚偽申告や申告漏れを防ぎにくく、チェック機能を欠くため適正管理とは言えません。
実務上は、自己申告を併用する場合でも上司による業務量確認やPCログとの突合せなど、二重のチェック体制を設けることが望ましいとされています。さらに、労働時間管理ルールを就業規則や在宅勤務規程に明記し、従業員に周知することも必要です。
テレワークは柔軟な働き方を実現する一方で、「働きすぎ」や「働きぶりが見えにくい」という新たな課題を生みます。労働時間管理は単なる法令順守のためではなく、従業員の健康と生産性を守るための基盤です。
管理を徹底することは従業員の信頼にも直結します。だからこそ、テレワークをより安心で持続可能な働き方にするために、今から一歩ずつ取り組んでいくことが大切です。