2026年4月分 人事労務クイズ~メンタルヘルス不調者の復職支援~

問題  ∼ メンタルヘルス不調者の復職支援 ∼

メンタル不調で休職していた従業員の復職支援として、最も適切な対応はどれでしょうか

答え

【A】 すぐに元の業務に戻す

【B】 医師の意見を基に段階的に戻す

【C】 本人の自己判断に任せる

【B】 医師の意見を基に段階的に戻す

【復職支援の重要性】
メンタルヘルス不調による休職は再発率が高いため、慎重なプロセスが必要です。本人の意欲だけでなく、医学的見地から「業務遂行能力が回復しているか」を客観的に判断し、ソフトランディング(段階的な復帰)を目指すのが鉄則です。

1. 復職支援の5つのステップ
厚生労働省の指針では、以下の流れで支援を進めることが推奨されています。
休職開始・休職中のケア(連絡窓口の決定、診断書の提出)
主治医による復職可能の判断(本人から会社へ診断書を提出)
職場復帰の可否の判断と復職支援案の作成(産業医による面談・就業制限の検討)
職場復帰の決定(最終的な復職日や条件の確定)
復職後のフォローアップ(定期的な面談、周囲のサポート体制確認)

2. 実務上の注意点:診断書の取り扱い
担当者が直面しやすい「意見の相違」への対応ポイントです。
・主治医と産業医の役割の違い: 主治医は「日常生活が可能か」を重視しますが、産業医は「職場の業務に耐えられるか」を判断します。最終的な判断権は会社にあります。
トライアル出勤制度の活用: 本格的な復職の前に、「短時間勤務」や「慣らし出勤」を設けることで、再発リスクを大幅に軽減できます。
プライバシーへの配慮: 病名や症状を現場に伝える際は、必ず本人の同意を得た範囲内に留める必要があります。

3. 復職後のフォローアップ(再発防止)
復職した直後が最も不安定な時期です。
就業制限の遵守: 医師の指示に基づき、残業禁止や出張制限などの措置を確実に実施します。
定期的な面談: 本人と定期的に面談し、体調の変化や業務負担の状況を確認します。
周囲への説明: 必要な配慮についてはチーム全体で共有し、協力体制を整えることが重要です。

4. 採用段階から始める「不調防止」の対策
復職支援の手間やリスクを減らすためには、採用時のミスマッチ防止も重要です。
業務遂行能力の確認: 採用選考時に「現在の健康状態が業務(深夜労働や残業等)に支障ないか」を確認することは正当な範囲です。病名ではなく「業務への影響」を軸にヒアリングしましょう。
入社時健康診断の活用: 採用決定後に健康診断を実施し、必要に応じて産業医の意見を聴くことで、入社直後の過重労働による発症リスクを抑えることができます。
ジョブディスクリプションの提示: 具体的な業務負荷をあらかじめ提示し、本人の適応可能性を相互に確認しておくことが、入社後の不調防止に繋がります。

まとめ:本人の「焦り」をコントロールする
休職者は「早く戻らなければ」と焦り、無理をして「大丈夫です」と言ってしまうことが多々あります。
会社側が「段階的に戻るのがルールである」と明確に示すことが、結果として長期的な定着と再発防止に繋がります。

貴社の就業規則には、復職時の手続きや産業医面談の規定が整っていますでしょうか。今一度、制度の確認をお勧めいたします。