カイポケ主催!介護事業所向けセミナーを終えて~訪問系介護事業所の残業が多い原因ベスト3:発生原因と対応策~
杉山 晃浩
東京出張でカイポケさん主催のセミナーに講師として登壇してきました。
セミナーにお申込みされた方々は、全て残業削減が課題だとされていました。
介護事業所といえば、勤務シフトで運営されている事業所がほとんどなはずです。人手が足りなくて残業が発生することはあっても、それ以外ではそうそう残業は発生しにくい構造です。ですが、残業削減が課題という企業が多い現実と向かい合い、原因を探りました。
訪問介護事業所および訪問看護事業所において、残業が多発することは業界全体で共通の課題です。業務の特性上、現場のスタッフは利用者の自宅を訪問し、必要なケアを提供するため、時間管理が難しい場合があります。訪問系介護事業所の残業が多い原因ベスト3に対して、その具体的な発生原因と対応策について考察します。
1. 移動時間の過剰
発生原因
訪問介護や訪問看護では、利用者の自宅を巡るために多くの移動時間が発生します。以下にその具体的な原因を示します。
- 非効率な訪問ルート: 訪問先が遠方に点在している場合や、最適化されていないルートでの移動が多いと、移動時間が長くなります。
- 交通事情: 渋滞や公共交通機関の遅延など、予期せぬ交通事情により移動時間が延びることがあります。
- 訪問件数の多さ: 1日の訪問件数が多いため、移動時間が累積して業務時間が延びます。
対応策
移動時間の過剰を削減するための具体的な対応策を以下に示します。
- 訪問ルートの最適化: ルートプランニングツールやナビゲーションシステムを導入し、最適な訪問ルートを計画します。これにより、移動距離と時間を短縮できます。
- 交通状況の把握: リアルタイムで交通情報を確認し、渋滞を避けるルートを選択します。また、公共交通機関の利用も効率的に組み合わせることが重要です。
- 訪問件数の調整: 1日の訪問件数を適切に調整し、無理のないスケジュールを組むことが必要です。訪問件数を減らすことで、移動時間の負担も軽減されます。
2. 急な対応や緊急事態
発生原因
利用者の急な体調変化や緊急事態に対応するため、計画していた業務が遅れることがあります。以下にその具体的な原因を示します。
- 利用者の急な体調変化: 利用者の体調が急変した場合、予定外の対応が必要となり、業務時間が延長されます。
- 緊急対応の増加: 緊急時に対応するための人員や体制が不足しているため、既存の職員に負担がかかり残業が発生します。
- 訪問スケジュールの変更: 利用者からの急な依頼やキャンセルに対応するため、スケジュールを変更しなければならないことが多いです。
対応策
急な対応や緊急事態に備えるための具体的な対応策を以下に示します。
- 予備人員の確保: 緊急対応に備えた予備人員を確保し、急な対応が必要な場合でも迅速に対応できる体制を整えます。
- 緊急対応マニュアルの整備: 緊急時の対応手順をマニュアル化し、全職員に周知徹底します。これにより、迅速かつ適切な対応が可能となります。
- 訪問スケジュールの柔軟化: スケジュールの変更に柔軟に対応できるシステムを導入し、急な依頼やキャンセルにも迅速に対応できるようにします。
3. 記録業務の負担
発生原因
訪問介護や訪問看護では、詳細な記録を残す必要がありますが、その作業に多くの時間がかかることがあります。以下にその具体的な原因を示します。
- 詳細な記録の必要性: 訪問ごとに詳細な記録を残す必要があるため、記録業務に多くの時間がかかります。
- 手書き記録の非効率: 記録を手書きで行っている場合、入力作業が煩雑で時間がかかります。また、記録をデジタル化していないために情報の整理が難しいです。
- 報告書作成の負担: 訪問ごとに報告書を作成する必要があり、特に利用者が多い場合はその作業量が増えるため、業務時間が延びます。
対応策
記録業務の負担を軽減するための具体的な対応策を以下に示します。
- デジタル化の推進: 記録業務を電子化し、専用のソフトウェアを導入することで、入力作業の効率化を図ります。これにより、手書きの煩雑な作業を減らすことができます。
- 音声入力システムの活用: 音声入力システムを導入し、訪問先での記録作業を効率化します。これにより、タイピングの手間を省き、スピーディーに記録を行うことができます。
- 報告書テンプレートの整備: 報告書作成にかかる時間を短縮するため、標準化されたテンプレートを使用し、効率的に作成できるようにします。これにより、報告書作成の負担を軽減できます。
結論
訪問系介護事業所における残業の発生原因として、移動時間の過剰、急な対応や緊急事態、記録業務の負担の3つが挙げられます。これらの原因を解消するためには、移動ルートの最適化や予備人員の確保、記録業務のデジタル化などの具体的な対応策を講じることが重要です。これにより、業務の効率化と職員の負担軽減を図り、残業の削減に寄与することが期待できます。介護事業所全体の業務改善と、職員の働きやすさを向上させるための取り組みを継続的に行うことが求められます。