周辺サービスや新サービスで付加価値を生み出す方法とは?
杉山 晃浩
今年の春闘は軒並み高額な賃上げが相次いでいます。日本経済新聞には、賃上げ5%超相次ぐ、製造業8割は満額回答 春季労使交渉といった見出しが踊っています。大手企業では給与アップが当たり前のように行われていますが、中小、零細企業ではそうもいかないのが現実です。
それでは、どうしたら中小企業でも賃上げできる環境が作れるのでしょうか。
賃上げには、賃金にまわすだけの利益の確保が必要です。これまでのやり方では、これまで以上の利益の確保はできないので、最低賃金の上昇、採用や定着のための賃金上昇に利益が食われてしまい、企業体力は減ってしまいます。そのような状況に陥ってしまえば、従業員を雇う余力もなくなります。その企業の未来は容易に想像できますよね。
つまり、賃上げ原資となる利益を確保するために、本業の周辺サービスや新サービスを開発し、利益につなげる必要があるのです。でも、なかなかできていないのが現状です。だいたい『どうやって新サービスを生み出すんだよ!』などの声が聞こえてきそうです。
まずは、それらのサービスが開発できた場合の、自社の未来がどのような変化をするか想像してみましょう。
1.収入源の多様化:新しいサービスや製品を提供することで、企業は収入源を多様化し、経済的な安定性を向上させることができます。これにより、市場の変動や特定の製品・サービスの需要低下の影響を受けにくくなります。
2.市場での競争力の向上:新しいサービスや製品を開発することで、企業は競争力を高め、市場における自社のポジションを強化することができます。これにより、新しい顧客層を引き付けたり、既存の顧客の満足度を高めることが可能になります。
3.ブランド価値の向上:革新的なサービスや製品を市場に提供することで、企業のブランド価値を向上させることができます。これは、企業のイメージをポジティブに変化させ、顧客からの信頼を高める効果があります。
4.顧客ニーズへの対応:市場のニーズやトレンドを捉え、それに応じた新サービスや製品を開発することで、顧客の期待に応えることができます。これにより、顧客満足度を向上させ、リピート顧客を増やすことができます。
5.組織の革新性と学習能力の向上:新しいアイデアや技術を探求することで、組織内の革新性を促進し、従業員のスキルや知識の向上に繋がります。このような環境は、従業員のモチベーションを高め、企業文化を豊かにすることができます。
6.リスクの分散:一つの事業に依存せず、複数の製品やサービスを提供することで、企業はリスクを分散させることができます。市場の変動や予期せぬ事態が発生した際にも、企業全体の安定性を保つことができます。
いかがでしょうか?みなさまの会社や職場の未来が明るくなりませんか?
サービスを生み出すためには、最前線で働く従業員の力を借りることが近道です。普段からお客さまとのコミュニケーションをとり、最後に『他にお手伝いできることはありませんか?』と常に尋ねることです。はじめは、『とくにありません』と言っていたお客さまも、そのうち『最近~で困っているんだよね』などと話してくれるようになります。
『最近~で困っているんだよね』を解決するための知恵やサービスがあるかないのかはわかりません。実は、『~で困っている』ことがサービスを生み出すヒントになっているんです。
この課題に対して、スタッフは次のことを考えるように教育指導してください。これが定着したら、あなたの職場はもっと良くなります。
①文章から読み取れるお客様の課題の仮説
②仮説から想定される手段
③手段に関しての法的な制約
④課題に対するゴール
例えば、『試用期間2ヶ月の人がいて、いまいち使えないので辞めさせたいんですが、試用期間だから大丈夫ですよね?』と経営者が、解雇に対する判断に悩んでいる場合、社労士事務所のスタッフであれば、次のように考えます。
①お客様の課題の仮説
試用期間中に会社が期待した能力がなかったと判断した従業員に
法律的に問題のない方法で退職してもらいたい。
②回答に対するゴール
試用期間の法的な位置づけを説明し、会社が希望する取扱いにできる方法を提案する。
③回答してないが留意すべき法律的事項
社会的背景により、監督署、裁判所の判断が厳しくなって、案内した当初の運用では
認められなくなることがあるかもしれない。
仮説のなかで『会社が期待した能力がなかったと判断』に至った原因を深掘りしていきます。詳しくは説明しませんが、採用が雑だったことが原因だと考えられます。
仮説から想定される手段としては、次のことが考えられます。
①採用面接にブレが起きないように面接シートを使って面接する
②知識、技術を確認する試験を行う
③適性検査を行う
④本当に採用したいペルソナに向けた採用原稿に直す
⑤採用基準を作る
⑥複数面接官で意見をすり合わせる
⑦採用コンサルティングを依頼する
まだまださまざまな方法を考えることできます。
一般的な社労士事務所であれば、上記のサービスは持っていませんが、オフィススギヤマでは全ての手段の実行を支援することができます。これらは、顧問契約の枠外であり、お客さまの課題解決のお手伝いが新たな収益源となります。
さらに『監督署、裁判所の判断が厳しくなって』の状況を合法的に対応するためには、次のような環境を整える必要があります。
①就業規則の周知徹底
②評価制度の構築運用
③評価によって下がる給与体系
④PIP(Performance Improvement Plan:業務改善計画)の導入
⑤退職勧奨の実施
などが考えられます。
これらのサービスも全て顧問契約の枠外であり、お客さまの課題解決のお手伝いが新たな収益源となります。
このように、周辺サービスの拡充により、お客さまの課題解決の支援ができ、収益を確保できることで、さらに新サービスへの投資余力が出てきます。このような好循環が続くと、お客さまのさまざまな課題に答えられるようになっていき、収益が上がるので、賃上げが可能になります。
結論として、以下に最前線の従業員がお客さまや相手のことを気遣うことが、サービスの本質であり、収益を上げるヒントだということです。
『人』の問題でも『金』の問題でも、悩んでいたら何でもオフィススギヤマグループにお問合せください。
きっと、課題解決の糸口が見つかりますよ。