技術職は採用できるのに営業職は応募がない?― 採用難の原因と解決策とは
杉山 晃浩
はじめに
「技術職は順調に採用できているのに、営業職だけがなかなか採用できない。」そんな仮説を立てて、分析してみました。
これは、多くの製造業の経営者や人事担当者が抱える共通の悩みです。大手人材会社に掲載しても、応募がほとんどない。やっと採用できても、短期間で辞めてしまう。どうすれば営業職の採用を成功させることができるのか?
ここでは、営業職の採用が難しい理由を掘り下げ、その解決策を提示します。
営業職の応募が集まらない理由
1. 求人の出し方が営業職向けになっていない
技術職は専門性の高い職種であり、スキルや経験を重視する求職者が多く、比較的ターゲットが明確です。一方、営業職は未経験者や異業種からの転職希望者が多いため、求人情報の書き方が重要になります。
考えられる問題点
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仕事内容の説明が不十分:「営業」と一言でいっても、新規開拓かルート営業か、個人向けか法人向けかで大きく異なります。具体的な業務内容を示さなければ、求職者にとって不安要素になります。
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給与体系が不透明:固定給なのか、歩合制なのか、インセンティブの仕組みがわかりにくいと応募をためらいます。
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ターゲット層に合っていない求人媒体の選択:技術職は業界特化型の求人サイトで応募が集まりやすいですが、営業職には適していない場合があります。
2. 企業の営業職に対する認識がズレている
「営業は根性でやるもの」「とにかく数字を出せばいい」というような考えが残っている企業では、営業職の魅力が伝わらず、求職者の応募意欲が湧きません。
考えられる問題点
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ノルマやプレッシャーの強調:“厳しいノルマ達成が求められる” といった内容が求人票に含まれていると、応募をためらう人が増えます。
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キャリアパスが不透明:営業としての成長やキャリアアップの道筋が示されていないと、長期的な視点で応募する人が減ります。
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営業職に対する評価制度が適正でない:成果主義が強すぎると、短期間で辞めてしまう人が増えます。
3. 他社と比べて魅力が伝わりにくい
営業職は他業界でも募集が多く、製造業にこだわらずに転職活動をしている求職者が多いです。そのため、自社の営業職ならではの魅力をしっかりアピールしないと、競争に負けてしまいます。
考えられる問題点
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他業界の営業職と比較して優位性がない
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「製造業の営業は難しそう」というイメージがある
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社内の雰囲気や文化が伝わっていない
営業職の採用を成功させるための対策
1. 求人情報の見直しと発信方法の改善
営業職に適した求人情報を作成し、求職者に刺さるような表現を使うことが重要です。
具体的な対策
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仕事内容を具体的に記載する:「新規開拓メイン」「ルート営業中心」「提案営業」など、具体的な業務内容を明記。
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キャリアパスを明示する:「入社後3年で営業リーダーへ」「未経験からでも育成プログラムあり」といった成長ステップを示す。
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ターゲットに適した求人媒体を選ぶ
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大手人材会社に加え、営業職特化型の求人サイト(例:doda、エン転職)を活用。
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既存社員のリファラル採用(紹介制度)を強化。
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2. 働きやすい環境づくりと定着率向上
採用できたとしても、すぐに辞めてしまっては意味がありません。営業職が定着しやすい環境を作ることが重要です。
具体的な対策
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営業未経験者向けの研修を充実させる:
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商談の進め方、提案資料の作成方法など、基本的な営業スキルを学べる研修を実施。
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メンター制度の導入:
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経験のある先輩営業が新入社員をサポートし、安心して業務に取り組める環境を作る。
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適切な評価制度の設計:
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固定給+成果給のバランスを取り、過度なプレッシャーをなくす。
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チームでの成果も評価対象とし、個人に負担が集中しないようにする。
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3. 企業の魅力を伝える採用ブランディング
求職者に「この会社の営業職として働きたい!」と思わせるためには、企業の魅力をしっかり伝えることが大切です。
具体的な対策
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社員インタビューを活用
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「営業として成長できる環境」「先輩のサポートが手厚い」など、実際に働いている人の声を求人情報に掲載。
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企業の文化を伝える
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会社の理念やビジョン、営業職がどのように企業の成長に貢献しているかを発信。
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SNSや自社サイトを活用
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採用ページや公式SNSで、営業職の仕事内容や魅力を発信。
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まとめ
営業職の採用が難しい理由は、求人情報の内容、企業の営業職に対する認識、他社との競争力不足にあります。これらを改善することで、応募数の増加だけでなく、採用後の定着率も向上させることが可能です。
営業職の採用成功のポイントは、
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求人情報を営業職向けに最適化する
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働きやすい環境を整え、定着率を向上させる
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企業の魅力をしっかり伝え、求職者に選ばれる会社になる
これらの取り組みを実践することで、営業職の採用と定着を成功に導くことができるでしょう。
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