失敗しない企業型DC導入マニュアル4
杉山 晃浩
4. トラブルを回避するために:企業が取るべき対策とは?
選択制企業型DCの導入・運用におけるトラブルは、適切な対策を講じることで回避できます。企業は、従業員の未来を守るために、以下の対策を徹底しましょう。
社労士+事務取次パートナーと連携した制度設計・導入の徹底
選択制企業型DCは、社会保険、労働法、税務、年金制度など、幅広い知識が求められる制度です。そのため、制度の設計・導入にあたっては、社会保険労務士(社労士)と事務取次パートナーの資格を併せ持つ専門家と連携することが不可欠です。社労士は、労働法や社会保険の専門家として、制度設計における法的リスクを回避し、従業員の権利を守ります。事務取次パートナーは、金融機関の商品である企業型確定拠出年金の手続きを代行できます。つまり、社労士+事務取次パートナーにお願いすることが最も重要な選択肢です。
例えば、オフィススギヤマグループのように、SBI証券の事務取次パートナーとして加入脱退手続きなどを代行できる社労士事務所は、制度導入から運用まで、一貫したサポートを提供できます。これにより、企業は制度導入に伴う事務負担を軽減し、従業員は安心して制度を利用できます。
従業員への継続的な情報提供と投資教育の実施
選択制企業型DCは、従業員が自らの判断で運用を行う制度です。そのため、従業員が適切な運用判断を下せるよう、継続的な情報提供と投資教育が欠かせません。しかしながら、社労士は労働法や社会保険のエキスパートではあっても、投資教育のプロではありません。したがって、投資教育は、中立的な立場でアドバイスができるファイナンシャルプランナー(FP)に依頼するのが良いでしょう。FPの中でも、特定の金融商品を強引に勧めるのではなく、従業員一人ひとりの状況に合わせて、きめ細かいアドバイスができる人材を選ぶことが重要です。
オフィススギヤマグループでは、ファンツリー協会と連携し、FPによるマネーセミナーや投資相談を無料で提供しています。これにより、従業員は自身のライフプランやリスク許容度に応じた運用計画を立て、安心して老後資金を準備できます。
制度運営・管理における専門家(社労士)の活用
選択制企業型DCの運営・管理には、専門的な知識と経験、そして責任感が求められます。制度運営に関する法令や規制の変更があった場合、迅速かつ適切に対応する必要があります。また、従業員の個人情報や運用状況などの機密情報を厳重に管理し、情報漏洩や不正アクセスを防ぐ必要があります。これらの業務を適切に行うには、専門的な知識と経験、そして責任感が不可欠です。
オフィススギヤマグループでは、kintoneを活用して加入者情報を管理し、毎月導入企業に対してメールで加入者から退職者がいないかを確認しています。さらに、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の仕組みを構築し、事務処理の効率化と正確性を高めています。これにより、企業は制度運営・管理に伴う事務負担を軽減し、従業員は安心して制度を利用できます。
従業員からの相談窓口の設置と適切な対応
選択制企業型DCに関する従業員からの質問や相談に、適切に対応できる相談窓口を設置しましょう。従業員は、制度に関する疑問や不安を抱えている場合、気軽に相談できる窓口があることで安心感を得られます。
オフィススギヤマグループでは、労務顧問として、助成金等との調整の相談や給与計算などの相談にも対応できます。さらに、給与計算事務自体を受任することも可能です。これにより、導入企業は、自社のニーズに合わせたサービスを選択し、安心して制度を導入・運用できます。
これらの対策を講じることで、企業は選択制企業型DCの導入・運用におけるトラブルを回避し、従業員の老後資金形成を支援できます。