第2回:「賃金規定制度」で社員の不安をゼロに!納得感ある給与体系が辞めない職場をつくる

杉山 晃浩

中小企業の多くが悩む「人材の定着」。 その背景にある大きな要因のひとつが、給与に対する不安や不満です。 「なぜこの給与なのか」「頑張っても給料が上がらないのでは」という不透明感が、社員のモチベーション低下や離職へとつながってしまいます。

そこで注目したいのが「賃金規定制度」の導入です。 これは、社員が納得できるような昇給ルールや給与の仕組みを整える制度であり、厚生労働省の人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)の支給対象にもなっています。

今回は、賃金規定制度とは何か、導入のメリットやポイント、そして実際の中小企業での成功事例について解説します。


賃金規定制度とは?

賃金規定制度とは、給与の支給ルールや昇給の基準などを明文化し、社員が安心して働ける仕組みをつくる制度です。 具体的には、以下のような内容が含まれます。

  • 初任給の設定基準(学歴・資格・経験年数など)

  • 昇給のタイミングや評価基準

  • 職務・等級ごとの賃金テーブル

  • 残業代、深夜手当、休日出勤手当などの支払いルール

制度が整うことで、社員は「どうすれば給与が上がるのか」が明確になり、自身のキャリアや努力が正しく評価されていると感じられるようになります。


賃金規定制度の導入メリット

1. 離職率の低下

給与の決まり方が明確になることで、不公平感や不安感が減少し、定着率が向上します。

2. 採用力の向上

給与体系が見える化されている企業は、求職者にとって信頼感があります。待遇面での安心が応募の後押しになります。

3. 社員のモチベーション向上

昇給の条件がわかることで、目標に向かって努力しやすくなります。特に若手社員の育成に効果的です。

4. 助成金の活用が可能

賃金規定制度を新たに導入・整備すれば、「制度導入助成(30万円)」と「目標達成助成(27万円)」を合わせて最大57万円の助成金が受けられます。


制度設計のポイント

制度づくりにはコツがあります。 以下のポイントを押さえると、実効性があり、助成金の要件も満たす制度になります。

● 賃金テーブルの作成

社員の等級や職務内容ごとに、賃金の幅や昇給ステップを明記したテーブルをつくります。

● 昇給の基準を明文化

「〇年勤務後に昇給」「資格取得時に昇給」など、具体的な条件を書くことで納得感が生まれます。

● 就業規則・賃金規程の整備

制度内容は、就業規則または賃金規程として社内で正式に整備し、社員に周知します。

● 評価制度との連携

賃金制度は評価制度と連動してこそ効果を発揮します。評価が昇給や手当に反映される仕組みにすると、制度の信頼性が高まります。


成功事例:建設業A社(従業員15名/宮崎県)

A社は、長年「社長の感覚」で給与を決めており、社員間で昇給タイミングや金額にばらつきがありました。そのため、特に若手社員から「何を頑張れば給料が上がるのかわからない」と不満が出ていました。

オフィススギヤマの支援を受けて、職種ごとに基本給のベースと昇給ステップを設定し、年1回の評価面談でフィードバックを行う仕組みを導入。

その結果、

  • 1年後の若手社員の離職率がゼロに

  • 「給与が明確になったので目標が立てやすくなった」という声が増加

  • 採用時の求人票でも魅力的な条件を明示できるようになり、応募数も増加

という成果が見られました。


オフィススギヤマによる導入支援

当グループでは、賃金制度の整備において以下のサポートを提供しています。

  • 現在の給与体系のヒアリングと課題抽出

  • 等級制度・賃金テーブルの設計支援

  • 賃金規程・就業規則の作成・改訂

  • 助成金申請書類の作成代行

  • 社員説明会・周知サポート

制度設計から運用・助成金申請まで一貫してお任せいただけます。


まとめ:制度で人が育ち、会社が育つ

「うちは人数が少ないから、制度なんていらない」と思っていませんか? むしろ少人数だからこそ、制度を整えて「不満のタネ」を減らすことが、職場の安定につながります。

賃金規定制度は、社員の働き方・働きがいに直結する、最も効果的な制度のひとつです。

助成金という国の支援を活用しながら、無理なく制度づくりを進めてみませんか?

ご興味がある方は、オフィススギヤマグループまでお気軽にお問い合わせください。


次回【第3回】では、「諸手当等制度」について詳しくご紹介します。どうぞお楽しみに!

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