第5回:職場活性化制度で“働きやすい空気”をつくる!チームの雰囲気改善が定着率を上げるカギ
杉山 晃浩
「制度」と聞くと堅苦しく感じる方も多いですが、実は職場の“雰囲気”に関わる制度も助成金の対象になります。
その代表が「職場活性化制度」です。
これは、社員同士のコミュニケーションや表彰制度などを整えることで、職場の一体感や安心感を高め、結果的に離職率を下げることを目的とした制度です。
今回は、制度の内容や設計のポイント、導入による効果、そして成功事例を交えて解説します。
職場活性化制度とは?
職場活性化制度とは、社員間の良好な関係づくりやモチベーション向上を図るための仕組みです。
たとえば、以下のような取り組みが含まれます:
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表彰制度の導入(MVP賞、努力賞など)
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サンクスカード制度(社員同士の感謝の気持ちを伝え合う)
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社員同士の意見交換会やランチミーティングの開催
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部署横断のプロジェクト活動や社内イベント
形式や規模に正解はなく、「自社に合った形」で導入することが大切です。
なぜ“雰囲気づくり”が離職防止に効くのか?
厚生労働省の調査でも、退職理由の上位には「人間関係の悩み」「職場の雰囲気が合わない」が挙げられています。
制度として、日常的なコミュニケーションの活性化や“承認される文化”をつくることで、社員は次のように感じられるようになります:
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「ここで働いていてよかった」
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「ちゃんと見てもらえている」
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「困ったときに頼れる人がいる」
これは給与以上に、定着に直結する要素です。
制度設計のポイント
● 表彰制度は“社風に合う内容”に
「売上トップだけが表彰される」よりも、「日々の努力」「チームへの貢献」など、多面的に評価する制度が効果的です。
● 感謝や声かけを“見える化”する工夫
「ありがとう」の言葉が自然に飛び交う職場は、心理的安全性が高まり、離職防止にも直結します。
サンクスカードや月1回の“ありがとう掲示板”なども有効です。
● 継続できる仕組みに
制度が「イベントで終わる」のではなく、習慣化されるように運用ルールや担当者を設けましょう。
成功事例:食品製造D社(従業員35名/宮崎県)
D社では、部署ごとの壁が厚く、連携ミスや情報共有不足から不満が溜まり、特に若手の離職が多発していました。
そこでオフィススギヤマの支援のもと、次の制度を導入しました:
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月1回、全社員が参加する「ありがとうカード交換会」
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半年に1度、上司が部下を推薦する「感謝表彰制度」
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改善提案を全員から募り、採用者には表彰と商品券
導入後1年で、
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離職者が前年の半分に減少
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若手社員の満足度が大きく向上
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社内改善提案の数が3倍に増加
など、目に見える変化が生まれました。
助成金の対象になるには?
「人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)」では、職場活性化制度も対象です。
対象となる取り組み例は、
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表彰制度の創設
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社員間コミュニケーション促進の取り組み
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チームビルディングを目的とした社内制度 など
助成要件を満たし、離職率が改善すれば、
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制度導入助成:30万円
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目標達成助成:27万円
が受給できます。
オフィススギヤマによる制度づくり支援
「雰囲気づくりは感覚ではなく仕組みでつくる」――
私たちは、職場にフィットする制度を丁寧に設計し、以下の支援を行っています:
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現場ヒアリングに基づいた制度設計
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表彰項目・評価基準の策定
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サンクスカードや社内掲示物の制作支援
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周知方法・運用マニュアルの整備
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助成金申請に必要な書類一式のサポート
まとめ:働きやすい空気は、仕組みでつくれる
職場の「なんとなく働きづらい」をなくすためには、“雰囲気の改善”が必要です。
それは、日々のコミュニケーション、ちょっとした感謝の共有、そして社員の努力を認める場の創出から始まります。
制度化すれば、それは単なる“思いつきの施策”ではなく、会社の“文化”になります。
働きやすい空気を仕組みでつくる――それが、職場活性化制度の真の目的です。
次回【第6回】では、「健康づくり制度」について、心身の健康が定着と生産性にどう関係しているかをお話しします。