「いい人材が来ない」の本当の理由は“原稿”にあった? 採用を変える求人文章の作り方

杉山 晃浩

はじめに──「求人は出してるけど、応募が来ない」そんな経験ありませんか?

「うちは待遇も悪くないし、雰囲気もいい。なのに、なぜ人が集まらない?」

この問いに答えを出せずに悩む中小企業は少なくありません。求人媒体に掲載しても応募が1件も来ない。来ても「すぐ辞めてしまった」「まったくマッチしなかった」そんな繰り返しでは、経営に直結する大きなロスになります。

実はこの現象、**「求人原稿の内容が、読み手の心に届いていない」**ことが原因であるケースが多いのです。

今回は、社労士・採用定着士の視点から、“刺さる求人原稿”の作り方をご紹介します。給与や休日などの条件を変える前に、「書き方」だけで採用力が大きく変わるという現実をぜひ知ってください。


第1章:「募集条件」は“情報”であって“動機”ではない

採用活動において、「給与・時間・勤務地」といった条件はもちろん大事です。ですが、それだけで求職者は「応募しよう」とは思いません。

なぜなら、多くの求人には似たような条件が並んでおり、どこを見ても差が見えにくくなっているからです。
たとえば、あなたの求人と同じような月給・労働時間・福利厚生の仕事は、他にもたくさん存在します。そこで選ばれるためには、「この会社で働きたい」と思わせる感情的な動機づけが必要なのです。

動機づけを生むのは、「自分に合っていそう」「共感できる考え方だ」「ここなら活躍できそう」という読み手の“想像力”。それを引き出すためには、求人原稿が心に響くストーリーや言葉を持っている必要があります。


第2章:「働きがい」「働きやすさ」は、抽象語ではなくエピソードで伝える

求人原稿でよく見かける「働きやすい職場です」「やりがいがあります」という言葉。悪くはないのですが、それだけでは説得力が弱く、印象にも残りません。

重要なのは、「どのように働きやすいのか?」「何にやりがいを感じるのか?」を具体的なエピソードで伝えることです。

たとえば──
「子育て中のスタッフが多く、シフトの相談がしやすい雰囲気です」
「利用者さんの誕生日会をスタッフみんなで企画。喜ぶ姿が、明日への活力になります」

こうした描写があると、読み手は「ここなら自分も働けそう」と自然に想像できるようになります。

また、読者の多くは“将来の自分”をイメージしながら求人を読んでいます。そのときに感情に訴える描写があるかどうかが、応募の決め手になります。


第3章:ターゲットは“誰に伝えたいか”を明確にすることから

「誰にでも応募してほしい」というスタンスでは、結局“誰にも刺さらない”原稿になってしまいます。まず考えるべきは、**「この求人はどんな人に向けたものか?」**です。

たとえば──

  • 主婦層なら、子どもとの時間を大切にしたい気持ちに寄り添う表現が有効

  • 地元志向の若手なら、地域への愛着や「長く働ける安心感」を訴える言葉が響きます

ターゲットが明確になれば、使う言葉も変わります。たとえば同じ「残業なし」でも、

  • 「お迎えに間に合うように退勤できます」(子育て世代向け)

  • 「自分時間がしっかり取れるから趣味や副業にも集中できます」(若手・フリー志向向け)

のように、相手によって語りかけ方が変わるのです。


第4章:社員の“声”が最強のセールスコピーになる

求人原稿に最も説得力を持たせる方法のひとつが、実際に働いている社員の声を載せることです。

特に中小企業では、社長や経営者の「うちの会社はいいところだよ!」という言葉よりも、「実際に働いている人がどう感じているか?」が何より信頼されます。

社内インタビューを元に、リアルな声を拾ってみてください。

  • 「前職は人間関係に悩んで辞めましたが、ここでは“お互いさま”の文化が根づいていて安心できます」

  • 「成長したい気持ちをしっかり応援してくれる上司がいて、初めて資格取得に挑戦しました」

こういった声は、読み手の“未来像”を描く助けになります。
さらに、可能であれば顔写真や役職・在籍年数なども添えると、より信頼度がアップします。


第5章:改善のポイントを見える化!原稿チェックリスト

どこをどう直せばいいか分からないときは、以下の簡易チェックリストを活用してください。
社内で原稿を作成する際のガイドにもなります。

チェック項目 YES / NO
誰に向けた原稿かが明確に設定されている ○ / ✕
求人の魅力を、実話やエピソードで伝えている ○ / ✕
抽象語ではなく具体的な表現が多く使われている ○ / ✕
社員の声や写真など、リアリティのある情報がある ○ / ✕
「働きがい」「働きやすさ」の違いを区別して伝えている ○ / ✕

すべてYESになっていれば、その原稿は読み手にしっかり届くはずです。


おわりに──「採用は文章で変えられる」という事実

今や「求人=広告」の時代。
商品のチラシを作るように、求人原稿にもマーケティング視点が求められています。

ですが、やるべきことは意外とシンプルです。
伝えたいことを丁寧に言葉にし、「この会社で働く未来」を読み手に想像してもらう──
それが採用成功の鍵なのです。

もし今の求人が「反応ゼロ」「ミスマッチばかり」なら、まず原稿を見直してみましょう。
大きな予算をかけずに、採用効果を劇的に高められるチャンスが、そこにあります。


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