“ほうれんそう”ができない社員たちへ ― 報連相が根づく職場の育て方 【第3回】 それでも報連相ができない社員への処方箋 ─ 管理職と現場の実践アプローチ
杉山 晃浩
はじめに:「制度を作っても、なぜか伝わらない…」
ルールやツールを整えても、「報連相ができないままの社員」が残るケースは少なくありません。
この“最後の壁”をどう乗り越えるかが、報連相文化を定着させるうえでの最大のポイントです。
今回は、管理職の接し方、現場での実践方法、そして社外サポートの活用までを具体的にご紹介します。
【1】管理職の「受け止め方」が変われば、現場は変わる
報連相は一方通行ではありません。「伝える側」以上に、「受け取る側」の姿勢が問われます。
▶ 叱るより、まず感謝を
報告や相談があったとき、まず一言「教えてくれてありがとう」と返す習慣をつけるだけで、社員の行動は変わっていきます。
▶ 表情とタイミングにも気を配る
業務に集中しているとき、顔が険しくなっている上司は多いものです。 「話しかけていい空気感」を意識的に作るだけで、相談のハードルはぐっと下がります。
▶ 「相談しやすい上司」の行動例:
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1日1回は部下に声をかける
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自分から「何か困ってることある?」と尋ねる
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相談内容を否定せず、まず受け入れる
【2】ロールプレイ・OJTで“経験”として学ばせる
報連相の技術は、頭で理解してもすぐには実践できません。だからこそ、現場で“練習”することが大切です。
▶ ロールプレイの導入例:
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想定トラブルに対して、どう報告・相談するかを練習する
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上司役・部下役を交代して体感する
実際に口に出してみると、想像よりも難しいことに気づきます。
▶ OJTで「報連相の型」を繰り返す
OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)では、
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どのタイミングで、
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どのような言葉で、
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誰に伝えるか
を意識させながら繰り返し教えていきます。
【3】1on1面談とチェックインで“話せる場”をつくる
報連相ができない背景には、「普段から話していない」こともあります。
▶ 1on1面談(月1回、15分でもOK)
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仕事の進捗だけでなく、悩み・疑問・人間関係まで幅広く確認
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管理職が「聴く」姿勢を持つことが大切
▶ 毎日の「チェックイン」習慣
朝礼や朝のひと言で、
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「昨日困ったことは?」
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「今日は誰かに相談したいことある?」
と聞くことで、報連相のタイミングを日常に組み込めます。
【4】社外サポートの活用 ─ 「言いづらいこと」を伝える仕組み
社員が上司に相談しづらい内容(人間関係・精神的な負担など)については、外部相談窓口の活用が有効です。
▶ 社労士が社外相談窓口になると:
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ハラスメントや職場環境への不満を受け止められる
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必要に応じて職場にフィードバックできる
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感情が整理され、社内報連相も円滑になる
杉山社会保険労務士事務所では、こうした外部相談窓口や「定期訪問でのチェックイン支援」など、社内の報連相文化が定着するまでの“継続支援”を行っています。
まとめ:報連相文化の定着は「育成」「環境」「仕組み」の三位一体で
報連相が定着する職場は、以下の3つが揃っています。
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育成:ロールプレイやOJTで教えている
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環境:相談しやすい雰囲気を上司がつくっている
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仕組み:ツールや制度、外部の支援体制がある
「言ってくれればよかったのに…」という後悔をゼロにするために、まずは“話せる職場”を一緒につくりませんか?
ご相談はお気軽にどうぞ。杉山事務所では、報連相に悩む職場に寄り添いながら、最適な支援をご提案いたします。