まだ中退共だけ?企業型DCを導入しない会社に“未来”はない理由

杉山 晃浩

はじめに:退職金制度は、もはや“企業の格差”を生む時代へ

「中退共に入っていればうちは安心」──
そう考えている中小企業経営者は、いまも多く存在します。

しかし、それは果たして本当に“安心”でしょうか?

いま、日本の退職金制度に新たな“分岐点”が訪れています。
キーワードは「企業型DC(確定拠出年金)」です。

本記事では、企業型DCを導入することの意味、導入しない企業が陥るリスク、そして、社労士の視点から見る“これからの退職金制度のあるべき姿”をわかりやすく解説します。


第1章:アメリカでは常識、日本はなぜ遅れているのか?

アメリカでは「401(k)」と呼ばれる確定拠出年金が企業の標準装備です。導入率は60%を超え、労働者にとっては“給与と同じくらい当たり前の存在”となっています。

一方で、日本の企業型DC導入率は、全社会保険適用事業所のわずか2%。

なぜ、これほどの差があるのでしょうか?

日本で普及しない理由(よくある誤解)

  • 制度が複雑そうに見える

  • 社員が運用を嫌がるのでは?

  • 手間やコストがかかりそう

  • 「中退共で十分」と思い込んでいる

しかし、これらの理由はすべて“過去の常識”です。今や企業型DCは簡単・手間なし・低コスト・社員に喜ばれる制度へと進化しています。


第2章:なぜ今、企業型DCなのか?インフレ時代の資産形成戦略

かつての日本は、定期預金に預けていれば利息がついた「低リスクで資産が増える時代」でした。
しかし、今はインフレ時代

中退共のように実質元本保証型の商品では、インフレに追いつくことすらできません。
実質的に「貯めたつもりが、減っている」という現象が起きているのです。

その点、企業型DCは“運用”によって将来資金を築く制度。
たとえば年利3%〜5%程度で運用できれば、20年後には資産が倍になる可能性もあります。

💡 社員にとっては、「もらえる退職金」から「育てる退職金」への転換です。


第3章:経営者が気づいていない“3つの損”

企業型DCを導入しないことで、実は大きな“損失”が発生しています。

1. 採用力の低下

「退職金あり」と書いても、中身がないと応募者は離れます。
企業型DCは、今や「見える福利厚生」として転職市場での競争力を大きく左右します。

2. 節税のチャンスを失っている

企業型DCの掛金は全額損金算入可能
しかも役員も加入可能(一定条件あり)なので、個人の節税にも直結します。

3. 社員の定着率が下がる

「会社が自分の将来を考えてくれている」と社員が感じることは、離職を防ぐ上で非常に効果的です。


第4章:「中退共 vs 企業型DC」徹底比較

項目 中退共 企業型DC
加入対象 全社員 一定の正社員等(任意設定)
運用方法 自動(固定利率) 自由に選択(投資信託等)
費用 掛金+手数料 掛金+管理料(低コスト)
節税 掛金全額損金 掛金全額損金(役員も対象)
採用・PR効果 弱い 強い(制度の見える化が可能)

企業型DCは“退職金”であると同時に、“戦略的な人事施策”です。


第5章:制度導入は簡単?実はたったこれだけ

「導入が大変そう」と思っていませんか?

実際には以下のようなステップで進みます。

  1. 社労士や販売パートナーと打合せ(制度設計)

  2. 勤務条件に合わせた規約作成

  3. 金融機関との契約

  4. 従業員説明会(サポートあり)

  5. 導入・スタート!

「中退共をやめてDCに切り替える」ことも可能ですし、並行して運用することもできます。


第6章:社労士+FP体制で、制度が“生きる”仕組みに

オフィススギヤマでは、制度導入支援だけでは終わりません。

✅ 制度設計は社労士がサポート
✅ 運用サポートは提携FPが担当
✅ 従業員向け金融教育の提供あり

つまり、制度を“作って終わり”にしない体制が整っています。


おわりに:「退職金制度がない会社」は選ばれない時代へ

いま、働く人の価値観は大きく変わっています。

給与額だけでなく、「将来に向けてどんな支援があるか」「この会社で長く働けるか」が重視されています。

そのとき、企業型DCがあるかどうかは決定的な差となります。


✅「退職金はあるけど中身はない」
✅「福利厚生が古くさい」
✅「節税にもなっていない」

こうした会社は、これからの時代に選ばれなくなるでしょう。


🚨 最後にひとこと

企業型DCを導入しない企業に、未来はありません。

いま動けば間に合います。
「採用力を高めたい」「社員に安心を与えたい」「節税もしながら将来設計をしたい」──
そう考える経営者の方は、ぜひご相談ください。

あなたの会社の未来を、一緒につくりましょう。

オフィススギヤマがしっかり寄添います。

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