NISAって何?仕組みとメリット・デメリットをやさしく解説【2025年最新対応】
杉山 晃浩
はじめに──なぜ今、NISAが注目されているのか
最近、「NISA(ニーサ)を始めた方がいいって聞いたけど、よく分からない」「新しく制度が変わったって本当?」という声をよく聞きます。
2024年からNISA制度が大きくリニューアルされ、非課税期間の恒久化や年間投資枠の拡大など、より使いやすくなりました。
しかし、NISAはあくまで「資産形成の手段のひとつ」であって、老後資金の準備には向かないという側面もあります。
この記事では、初心者の方にもわかりやすく、NISAの基本とその使い方、そして企業型DCやiDeCoとの違いにも触れながらご紹介します。
NISAとは?【非課税制度の基本】
NISAは、「少額投資非課税制度」の略称で、投資で得た利益(運用益)に対して税金がかからない制度です。
通常、株や投資信託で得た利益には20.315%の税金がかかります。しかし、NISA口座での投資については利益がすべて非課税になります。
つまり、たとえば投資で10万円の利益が出ても、まるまる自分のものになります。
これはとても大きなメリットで、特にこれから投資を始めたいという方にとって、リスクを抑えながら「まずはやってみる」制度として人気です。
2024年からの新NISA:2つの投資枠
2024年からNISA制度は以下のように刷新されました。
投資枠 | 年間投資上限 | 投資対象 | 特徴 |
---|---|---|---|
つみたて投資枠 | 年間120万円 | 国が認めた長期・分散・積立向けの投資信託 | 初心者向け、低リスク |
成長投資枠 | 年間240万円 | 株式、ETF、一般的な投資信託など | 中・上級者向け、リターンも期待 |
両方を併用でき、合計で年間最大360万円まで非課税投資が可能になりました。
また、これまで「非課税期間は5年」「20年まで」など制限がありましたが、新NISAでは非課税期間が無期限になり、より安心して長期運用ができるようになっています。
NISAのメリットとデメリット
✅ NISAの主なメリット
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利益がすべて非課税
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使い道は自由(いつでも引き出せる)
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少額から始められる(毎月1,000円~OK)
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制度が恒久化され、安心して長期投資できる
❌ NISAの注意点・デメリット
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損失は「損益通算」できない(他の口座と合算できない)
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口座開設は1人1口座のみ(金融機関の変更は制限あり)
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いつでも引き出せる=老後資金としての「強制力」がない
ここで注目したいのが、いつでも引き出せる自由さです。
これは一見便利に思えますが、老後資金の準備という観点では大きな弱点です。
なぜなら、いざというときに使ってしまい、本当に必要な「老後」まで資産が残らないことがあるからです。
【比較】老後資金づくりなら企業型DCやiDeCoが有利な理由
では、老後のためにお金を積み立てるなら、何が向いているのでしょうか?
それが、「企業型確定拠出年金(企業型DC)」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」です。
項目 | NISA | 企業型DC・iDeCo |
---|---|---|
税制メリット | 運用益が非課税 | 運用益+掛金も非課税 |
引き出し自由 | いつでもOK | 原則60歳まで引き出せない |
主な目的 | 資産形成全般 | 老後資金の準備 |
強制力 | 弱い(誘惑に負ける) | 強い(制度上引き出せない) |
企業型DCやiDeCoは、原則60歳までお金を引き出すことができません。そのため、「使ってしまわない仕組み」=強制貯蓄装置として非常に優秀です。
特に老後資金の準備には、企業型DCやiDeCoをベースにし、NISAは「教育資金」「旅行・車の購入」など、中期的な資金目的に使うのが理想です。
まとめ:NISAは“目的別”に正しく使おう
NISAは、「お金を増やしたい」「投資を始めたい」人にとって、非常に魅力的な制度です。
しかし、「何のために使うか」=目的を明確にすることが重要です。
老後資金の準備なら、企業型DCやiDeCoが適しています。NISAは「中長期の資産形成」「将来の選択肢を広げるための資金」に使うのがベターです。
📌次回予告
第2回では、「つみたて投資枠と成長投資枠、どっちがいい?」という疑問に答えながら、あなたに合った使い分け方法をご紹介します。