つみたてNISAと成長投資枠、どっちがいい?初心者のための使い分けガイド
杉山 晃浩
はじめに──「自分に合った投資枠」、選べていますか?
NISAを始めようと思っても、最初に多くの人がつまずくのが「つみたて投資枠と成長投資枠、どっちを使えばいいの?」という問題です。
確かに、新NISAでは年間360万円もの非課税投資枠がありますが、それを**つみたて投資枠(120万円)と成長投資枠(240万円)**にどう割り振るかは、投資初心者にとって難しい判断です。
この記事では、2つの投資枠の違いをやさしく解説しながら、「目的別にどう使い分けるか」「どんな人に向いているか」について紹介します。
また、老後資金の準備という観点では、NISAよりも企業型DCやiDeCoが向いている理由にも触れていきます。
【比較】つみたて投資枠と成長投資枠の違いとは?
項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
---|---|---|
年間上限 | 120万円 | 240万円 |
対象商品 | 国が選定した長期投資向けの投資信託のみ | 株式・ETF・REIT・投資信託など幅広い |
投資方法 | 積立(定期買付)が原則 | 一括投資・都度購入もOK |
リスク | 比較的低い | 商品により高リスクもあり |
向いている人 | 投資初心者・忙しい人 | 投資経験者・積極運用したい人 |
つみたて投資枠は、**「投資が初めて」「何を買えばいいか分からない」**という方にぴったりの制度です。
一方で、成長投資枠は自由度が高く、リスクもリターンも大きくなりやすい傾向にあります。
投資スタイル別のおすすめ
✅ 安定志向・初心者タイプ:「つみたて投資枠」がおすすめ
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定期的にコツコツ投資したい
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手数料の安いインデックスファンドで堅実に
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投資は怖いけど、少しずつ学びたい
つみたて投資枠は、初心者にとって非常に設計が優しい制度です。月1万円からでも始められ、長期で積み立てることでリスクを分散できます。
✅ 攻め志向・経験者タイプ:「成長投資枠」も活用したい
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個別株やETFに興味がある
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一括投資でチャンスを狙いたい
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すでにiDeCoや企業型DCを使っていて、余剰資金がある
成長投資枠は、投資経験者にとって魅力的な制度です。短期の値動きに一喜一憂しない「中長期投資」が前提とはいえ、タイミング投資も可能です。
年代・目的別の活用法
年代 | 主な目的 | おすすめの枠 |
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20~30代 | 資産形成スタート | つみたて投資枠をメインに、少し成長投資枠もOK |
40代 | 教育費・住宅資金 | 目的別に使い分け。必要時期に注意 |
50~60代 | 老後資金・退職後の生活設計 | 成長投資枠で運用しすぎず、安定志向に転換を |
ここで重要なのは、目的によって資金の「出口」が異なるという点です。
例えば、「老後のための資金」は基本的に途中で使ってしまわないことが前提です。
NISAはいつでも引き出せてしまうため、いざというときに手を付けてしまいがちです。
【注意】老後資金だけはNISAで管理しない理由
「NISAは非課税だから老後資金にも使えるのでは?」と思うかもしれません。
確かに税制面では有利ですが、以下の理由から老後資金との相性はあまり良くありません。
❌ 理由1:途中で引き出してしまうリスクがある
→ 旅行・病気・冠婚葬祭など、予想外の支出で使ってしまうケースが多いです。
❌ 理由2:拠出時の節税メリットがない
→ NISAは「利益が非課税」なだけで、「掛金を所得控除できる」わけではありません。
✅ 老後資金なら企業型DCやiDeCoが有利
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掛金が全額所得控除(節税効果が大きい)
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60歳まで原則引き出せない=老後まで資金が守られる
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受給時も退職金扱いや年金扱いで税制メリットあり
つまり、NISAは「自由に使えるお金」を育てる制度、企業型DC・iDeCoは「使ってはいけないお金」を育てる制度なのです。
まとめ:2つの投資枠を“戦略的に”使い分けよう
新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠をうまく組み合わせることで、より柔軟な資産形成が可能になります。
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🔸投資初心者 → つみたて投資枠をメインに
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🔸経験者・余裕資金あり → 成長投資枠も戦略的に
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🔸老後資金の準備 → NISAより企業型DC・iDeCoが本命
自分のライフプランを見据えた上で、「何に・いつ使うお金か?」を意識しながら、NISAを賢く活用していきましょう。
📌次回予告
第3回では、「じゃあ、実際にNISAで投資信託を選ぶときはどうすればいいの?」という疑問に答えます。おすすめの選び方や失敗しないためのポイントをお伝えします。