住宅手当と社宅、どっちが得?社保料・税負担を比べてみた
杉山 晃浩
「社員の定着率を上げたい」「福利厚生を見直したい」と考える企業にとって、住宅関連の制度設計は重要なテーマです。
その中でよく聞かれるのが──
「住宅手当と社宅って、どっちが得なんですか?」
実はこの問い、社会保険料と所得税の負担に大きく関わる重要な選択なのです。
今回は、それぞれの仕組みとコスト面の違いをわかりやすく整理し、就業規則でどう扱うべきかまでご紹介します。
第1章|なぜ今、住宅手当と社宅を見直す企業が増えているのか?
近年、社員への住宅支援を手厚くする企業が増えています。背景には、
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人手不足による人材確保競争
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働き方の多様化に対応した福利厚生の充実
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社会保険料・所得税の負担増
といった事情があります。
たとえば、ある中小企業では「住宅手当3万円」を支給していたものの、給与総額が増えたことで社会保険料が年間30万円以上増加。結果的に手当のメリットを感じられず、「社宅制度に切り替えるべきでは?」と見直しが始まりました。
第2章|住宅手当とは?──手軽だけど“全額課税”の落とし穴
住宅手当は、「現金」で支給するため手軽に導入できます。主な設計例は以下の通り:
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家賃の一定割合(例:家賃の30%支給)
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上限つき定額(例:月2万円まで支給)
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勤続年数や扶養状況に応じた支給
しかしこの手当、社会保険料の「報酬」として扱われ、所得税の課税対象にもなります。
つまり、住宅手当を支給すると──
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会社:社会保険料の負担が増加
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社員:所得税・住民税の課税対象が増える
という、“ダブルでコストがかかる”状態になってしまうのです。
第3章|社宅・借上げ社宅とは?──うまく使えば“非課税”でメリット大
一方で、「社宅」制度は以下のような形で運用されます。
区分 | 内容 |
---|---|
自社所有社宅 | 自社所有の建物を貸与 |
借上げ社宅 | 会社が民間賃貸を契約し、従業員に貸与 |
この場合、一定の「賃料相当額」を従業員から徴収すれば、所得税も社会保険料も非課税扱いになります。
特に注目すべきなのが「税務上の最低家賃ルール」。
国税庁が定める計算式に基づき、一定額以上の賃料を社員から受け取れば、現物給与と見なされず、非課税にできるのです。
📌例えば
家賃8万円の借上げ社宅に対して、社員から2万円を徴収
→ 税法上の最低家賃基準を満たせば、差額6万円は非課税
第4章|比較してみた!住宅手当と社宅のコスト・税負担の違い
ここで、シンプルな比較表をご覧ください。
区分 | 住宅手当(現金支給) | 借上げ社宅(会社契約) |
---|---|---|
社員の手取り | △(課税対象) | ◎(非課税で家賃軽減) |
会社の社保負担 | △(報酬として加算) | ◎(現物支給で非課税) |
導入の手軽さ | ◎(簡単) | △(契約・運用が必要) |
規定の必要性 | 必須 | 必須(契約書も必要) |
さらにシミュレーションしてみましょう。
▷ ケース例:家賃8万円、住宅手当3万円を支給
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【住宅手当】:社員は手当3万円のうち約1万円が税・社保で消え、実質手取りは2万円程度
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【借上げ社宅】:家賃8万円のうち社員が2万円負担 → 実質支援は6万円、非課税
つまり、「同じコストでも住宅手当より社宅のほうが、社員にとって断然お得」という結果になります。
第5章|就業規則にどう書く?住宅関連制度を導入・変更する際の注意点
住宅制度の導入や変更は、就業規則への明記が必須です。トラブルを防ぐためにも、以下のような記載が求められます。
✅ 住宅手当の場合:
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支給条件(扶養・転勤者限定など)
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支給金額と上限
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居住形態の申告義務(虚偽報告の罰則など)
✅ 社宅制度の場合:
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対象者(役職・転勤者・新卒など)
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賃料・光熱費等の負担区分
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入退去時の手続き、契約解除の条件
さらに、借上げ社宅では会社と大家との賃貸契約、従業員との利用契約も必要になります。
就業規則本体だけでなく、周辺文書の整備も欠かせません。
第6章|まとめ:制度設計は「戦略」──就業規則を整え、会社と社員を守る
住宅手当と社宅制度、どちらがよいかは「企業の規模」「運用負担」「採用・定着の目的」によって変わります。
ただ一つ言えるのは、
制度はしっかり設計し、就業規則に落とし込まなければ、トラブルのもとになる
ということです。
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