「辞めた社員」が戻りたくなる会社へ! アルムナイ採用で中小企業が人手不足を乗り切る方法
杉山 晃浩
第1章|人が来ない、育たない、辞めていく…ある町工場の悩み
宮崎県のとある町に、創業40年の金属加工会社「ミヤビ精工」がある。
職人気質の社長・中村さん(58歳)は、昨年から頭を抱えていた。
「募集をかけても、まったく人が来ない…」
「せっかく育てても、3年以内に辞めてしまう…」
ベテラン社員は高齢化し、若手が定着しない。これでは会社の未来が危うい。
そんなある日、意外なメールが届いた。
「中村社長、ご無沙汰しています。もし可能でしたら、また働かせていただけませんか?」
送信者は、3年前に退職した元社員・坂口さんだった。
第2章|アルムナイ採用とは?──「辞めた社員」を戦力化する新しい考え方
坂口さんのような「元社員」を再び雇い入れる手法が、いま注目を集めている。
それがアルムナイ採用(Alumni採用)だ。
「アルムナイ」とは「卒業生」という意味。つまり、自社の“卒業生”を“復学”させるような採用方式である。
日本ではまだ耳慣れない言葉だが、アメリカや欧州ではすでに一般的な採用戦略だ。
そして今、その波が人手不足に悩む日本の中小企業にも広がり始めている。
第3章|アルムナイ採用のメリット:即戦力・低コスト・高ロイヤルティ
アルムナイ採用には、大きなメリットがある。
✅ 即戦力になりやすい
業務内容や会社の文化をすでに理解しているため、教育コストが少なくて済む。
✅ 採用コストが抑えられる
求人広告や紹介会社に頼らず、直接連絡が取れることも多い。
✅ ロイヤルティが高まる
一度辞めた経験から、会社の良さを再認識して戻ってくるケースが多い。
さらに、現役社員にも「この会社、また戻ってくる人がいるんだ」という安心感が広がる。
「今いる社員の定着率が上がった」という事例もある。
第4章|でも注意!アルムナイ採用でよくある“失敗パターン”
一方で、アルムナイ採用には注意すべき落とし穴もある。
⚠ 特別扱いと思われる
元社員だからといって優遇すると、現役社員から不満が出る。
⚠ 退職理由が解消されていない
過去の人間関係のしこりや、不満が残っていると再燃する。
⚠ 雇用条件が曖昧
「前と同じでいいよ」と曖昧に雇うと、労務トラブルになることも。
再雇用だからこそ、丁寧な制度設計と合意形成が不可欠だ。
第5章|成功のカギは「制度化」と「出口対応」──社内ルールを整えよう
アルムナイ採用を成功させるには、「思いつき」ではなく制度として整備することが大切だ。
たとえば、以下のようなルールが必要になる:
制度整備項目 | 内容の例 |
---|---|
再雇用の可否判断 | 再雇用の可否基準(評価・退職理由など)を明文化 |
雇用条件の明確化 | 給与、等級、業務内容の再設計 |
周囲への説明 | なぜ再雇用するのか、社員説明の機会を設ける |
応募窓口の明示 | OB・OGが相談できる窓口(メール、LINEなど)を用意 |
また、退職時に「また戻りたくなる別れ方」をすることも重要だ。
「円満退職」をサポートすることで、将来のアルムナイ採用につながる。
逆に、揉めて辞めた社員は二度と戻ってこない。
第6章|ミヤビ精工の再挑戦──辞めた社員が戻る職場づくりとは
社長・中村さんは、坂口さんからのメールを受けて悩んだ。
「戻ってくれるのは嬉しい。でも、また辞められたらどうしよう…」
最終的に、中村さんは「制度」と「チームへの説明」を準備したうえで再雇用を決めた。
再雇用後は、待遇・業務・評価基準をすべて文書化して取り交わし、現場の社員にもきちんと説明。
時間はかかったが、「ちゃんと再スタートを切る文化」が社内に根付き始めた。
そして半年後、坂口さんは新入社員の教育係として活躍している。
第7章|まとめ:「戻れる会社」は、辞めない会社になる
アルムナイ採用は、「人手不足」を補うだけの対策ではない。
それは、会社と人との関係性を見直すチャンスでもある。
「一度辞めた人が戻ってくる会社」
「戻りたいと思われる職場」
その実現には、“入口よりも出口”の設計がカギになる。
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