副業が“爆弾”になる前に!就業規則に入れるべき5つのルール

杉山 晃浩

第1章|そのとき、就業規則は“機能”していたか?

もし、あなたの会社で社員が突然倒れたとしたら──。 しかもその原因が、あなたも知らなかった“副業”による過労だったとしたら?

副業が原因で会社が労災認定され、遺族から損害賠償請求を受ける時代が、すでに現実になっています。

「就業規則に副業禁止って書いてありますけど…」では、会社を守れないのです。 ルールが存在することと、それが“現実に機能していること”は別問題。紙に書いてあるだけの就業規則では、社員を守れず、企業も守れません。

現代の副業社会では、企業側が“無関心”であることが最も危険です。放置と黙認が続けば、最悪の事態が起きたときに「何もしていなかった」と断罪されるのは会社です。


第2章|そもそも副業リスクってどこにあるの?

「副業ぐらい自由にやらせればいいじゃないか」 確かに、今は副業解禁が進み、柔軟な働き方が推奨される時代です。 しかし、その裏で企業が知らずに抱えている“副業リスク”には、以下のようなものがあります。

  • 労働時間の通算リスク:副業も含めて週40時間を超えると、割増賃金の支払い義務が発生。副業先が責任を問われるが、本業の管理責任が問われることも。

  • 健康被害・過労死のリスク:副業が原因での過労によるメンタル不調や脳心疾患が発生し、倒れた場所が本業先なら労災責任は会社に。

  • 信用リスク・炎上リスク:SNS上で社員の副業内容が拡散され、「あの会社の社員が…」と企業イメージに傷がつくことも。

  • 競業・情報漏洩リスク:競合企業や取引先での副業、営業機密の持ち出しなど、重大なコンプライアンス違反に発展する可能性も。

つまり、副業はただの“個人の自由”ではなく、会社の信用・安全・責任を揺るがすトリガーになり得るのです。


第3章|【本題】就業規則に入れるべき“5つのルール”

では、こうしたリスクに備えるには、どんなルールを就業規則に盛り込むべきでしょうか?

社労士の視点から、最低限必須の5つのルールを紹介します。

  1. 副業の申告義務

    • 副業をする場合は、必ず会社に申告し、事前の許可を得ることを義務化します。社員にとっても「勝手にやって問題になったらまずい」という意識づけになります。

    • 就業時間外や休日であっても、申告制を導入することで労働時間や健康への配慮、情報漏洩の観点からチェックが可能になります。

  2. 副業の禁止・制限条項

    • どんな副業でも許可するわけではありません。以下のようなケースでは、副業を禁止または制限できると明文化すべきです。

      • 労務提供に支障があると判断される場合

      • 競業や利害関係にある企業での勤務

      • 業務上知り得た情報が漏洩する可能性がある場合

      • 社会的信用を傷つけるおそれのある内容(例:風俗業、マルチ商法 など)

  3. 懲戒の対象となることの明示

    • 無申告での副業、虚偽申告、承認を得ていない副業を行った場合は、就業規則違反とし、懲戒処分の対象とすることを明示。

    • このルールがあることで、万が一の際にも毅然とした対応が可能となります。

  4. 健康配慮と通算労働時間の確認規定

    • 本業と副業を合わせた労働時間が長時間にならないよう、副業先での勤務時間の申告・確認を求める条文を設ける。

    • 「本人の健康状態により会社は副業を制限・停止する権利がある」と明記しておくことも重要です。

  5. 誓約書・定期申告制度の運用規定

    • 就業時だけでなく、年に1回の定期更新を義務化。副業の状況が変わったときは速やかに報告することを定めます。

    • 誓約書を取得し、会社が内容を記録・管理していることで、万一の事故時にも「会社は把握・対応していた」と主張しやすくなります。


第4章|制度は“作って終わり”じゃない。運用が命

ルールを作っただけで満足してはいけません。

どんなに優れた就業規則を作っても、**現場で機能していなければ“机上の空論”**です。 「知らなかった」「聞いていない」で済まされないように、制度と実務の橋渡しを丁寧に行う必要があります。

  • 入社時に副業ルールを説明する仕組みがあるか?

  • 社内研修やイントラで定期的に周知しているか?

  • 誓約書や申請書の運用は継続しているか?

  • 副業情報と健康診断結果を照らし合わせて体調管理ができているか?

  • 人事・労務・経営陣の中で副業に関するルールと意識が共有されているか?

運用こそが企業リスクを軽減する最大の鍵です。


第5章|まず“現状チェック”から始めてみませんか?

「うちは副業を禁止してるから大丈夫」 「うちの社員に限って、そんなことは…」

そんな“思い込み”こそが、リスクの始まりです。

まずは自社の副業対応がどの程度整っているか、客観的に見つめ直すところから始めてみましょう。

そこで、今回特別に**“副業ルールの危険度チェックリスト”**をご用意しました。

  • ✅ 就業規則に副業に関する条文は明記されていますか?

  • ✅ 副業申請書や誓約書の運用が実際に行われていますか?

  • ✅ 健康診断やストレスチェックとの連携体制はありますか?

  • ✅ 通算労働時間を意識した管理体制が構築されていますか?

  • ✅ 副業による問題発生時の対応ルールが定まっていますか?

チェックリストは無料でプレゼントしています。 まずは御社の“見えないリスク”を見つけ出す第一歩として、ぜひご活用ください。

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第6章|最後に──あなたの会社を守るのは、“ルール”です

副業を巡るトラブルは、法律や制度よりも“予防策”が物を言う時代です。

いざという時に、「就業規則に明記してあった」「運用していた」という実績が、企業の法的リスク・ レピュテーショナルリスクを大幅に減らします。

逆に、「ルールがあったのに運用されていなかった」「明文化していなかった」ことで、会社側に過失が認定されるケースも増えています。

副業を認めるのか、制限するのか。答えは企業ごとに異なります。 だからこそ、“その会社に合った副業ルール”を専門家と一緒に設計することが重要なのです。

オフィススギヤマでは、就業規則の見直しから制度運用までをトータルで支援しています。 まずは副業チェックリストから、企業リスク管理の第一歩を踏み出してみませんか?

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