気づいていないのはあなただけ? 管理職がやりがちな“グレーゾーンハラスメント”10選

杉山 晃浩

第1章|なぜ“ハラスメントをする気はなかった”では通用しないのか?

ある日、取引先からの電話が鳴った。「御社の担当者に、部下が精神的に追い詰められていると聞いています。何が起きているのか説明してください。」

経営者にとって、最も避けたい言葉だ。

ハラスメントは、加害者の「そんなつもりはなかった」では済まされない時代に入っている。特に中小企業では、現場の中間管理職が起こした“たった一言”が、会社全体の信用や取引、ひいては採用・定着にまで影響する。

「本人に悪気はない」は、もはや言い訳にはならない。


第2章|加害者は「いつも真面目な主任」──無自覚に起きる“グレーゾーンハラスメント”の正体

ハラスメントと聞くと、怒鳴る・暴力・セクハラのような極端なケースを想像するかもしれない。だが、現代の職場で問題になっているのは、**“悪意なき日常の一コマ”**だ。

真面目で責任感の強い上司が、部下を思って言った一言。
飲みの席での場を和ませようとした軽口。
成果を出させたいがゆえに、プレッシャーをかける態度。

それらが、本人の意図とは裏腹に「ハラスメントだ」と受け取られてしまう。
そして、その瞬間から会社の責任が問われるのだ。


第3章|【無自覚注意】管理職がやりがちな“グレーゾーンハラスメント”10選

以下のような言動、あなたの職場で思い当たることはないだろうか?

1.「なんでこんなこともできないの?」と感情をぶつける指導

→ 指導と怒りを混同してしまう典型。部下は委縮し、報連相が止まる。

2.「結婚の予定は?」「子どもは?」とプライベートを詮索

→ 悪気がなくてもセクハラに該当することも。特に異性間では慎重に。

3. 飲み会・ランチの参加を“当然”と考える

→ 暗黙の強制は、パワハラ認定されるリスクあり。「自由参加」は名ばかりではいけない。

4.「女の子なんだから、もっと笑って」

→ 性別による役割期待はNGワード。ジェンダーハラスメントに直結。

5. 細かすぎる“口出しマネジメント”

→ 過干渉も立派なハラスメント。信頼して任せる勇気も必要。

6. 失敗をみんなの前で叱る

→ 教育的配慮があっても、公開叱責は人権侵害と受け取られることがある。

7.「男のくせに泣くな」などの時代錯誤な価値観

→ 時代の変化に対応できない上司は、無意識に他者を傷つける。

8.「これくらいやって当たり前でしょ?」

→ 頑張りを評価せず、当たり前と切り捨てることはモチベーション低下の温床に。

9. ミスやトラブルに無反応(=放置型ハラスメント)

→ 指導を放棄するのもハラスメント。サポートされていないと部下は感じる。

10.「それがパワハラだと思うなら、訴えれば?」と開き直る

→ 火に油。部下の不信感を一気に爆発させる一言。


第4章|なぜ中間管理職はハラスメントを起こしやすいのか?

中小企業の現場では、社長や経営陣がハラスメントの知識を持っていても、現場で実際に“部下と接する中間管理職”にその知識が伝わっていないケースがほとんどだ。

中間管理職は、プレイヤーとしての業務を抱えながら、部下の管理も求められる。
教育される時間もなく、そもそも研修を受けたこともない。

「自分で勉強しろ」と言われても、優先順位は低くなりがち。
その結果、「知らなかった」「そんなつもりはなかった」まま、
会社に損害を与える“加害者”になってしまう。


第5章|「研修していれば防げた」は裁判でも問われる

過去の裁判例では、「会社がハラスメント防止のための研修を実施していたかどうか」が、使用者責任の有無を左右する重要な要素として判断されたこともある。

つまり、「教育していなかった会社が悪い」とされる可能性があるということだ。

逆に言えば、社内研修・相談窓口の設置・行動規範の整備などの**「再発防止策」や「未然防止策」**を講じていた企業は、一定の免責判断を受けやすい。


第6章|会社を守り、社員を守る──“ハラスメント防止環境”を整えるという考え方

ハラスメント対策は、「加害者を罰する」ための制度ではない。

むしろ、社員が気持ちよく働ける環境をつくるためのもの。
そして経営者にとっては、「自分と会社を守るための防波堤」でもある。

管理職が自信をもって部下と接するには、共通のルール・共通の言葉・相談できる環境が必要だ。

その第一歩が、中間管理職向けの研修である。


第7章|まとめ:グレーゾーンは“教育”でしか消せない

グレーゾーンは、本人が悪気なく踏み込んでしまうからこそ厄介だ。
そしてそれは、本人を責めるよりも、知識と視点を与えることでしか解決できない

社員のために、そして会社のために。

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