【緊急提言】今こそ知るべき!金融所得課税と社会保険料の危ない接点とは
杉山 晃浩
第1章|「えっ?投資の利益にまで保険料?」──静かに始まる“新しい負担”
これまで、株式の配当や売却益などの金融所得には、税金(所得税・住民税)は課せられても、社会保険料はかからないのが常識でした。しかし今、その前提が大きく揺らごうとしています。
政府は、社会保障制度の持続可能性を掲げ、金融所得を社会保険料の算定対象に組み込もうとしています。まだ制度は始まっていませんが、2024年から議論が本格化し、2028年度には実施される可能性も示唆されています。
つまり、投資で得た利益が、所得税や住民税だけでなく、健康保険料や年金保険料の対象にもなるかもしれないということです。これは、一般の投資家や中小企業経営者にとっても無関係ではありません。
第2章|2025年から富裕層に導入!「金融ミニマム課税」の正体
2025年1月から、日本では新たな制度がすでに始まっています。その名も「金融ミニマム課税」。
【関連記事】金融所得課税、強化で社会保障費を応能負担に 諸富徹氏 (2024年11月7日:日本経済新聞会員限定記事)
これは、年間の基準所得が3.3億円を超える超富裕層に対し、所得の実効税率を30%以上にするという課税制度です。背景には「1億円の壁」と呼ばれる問題があります。給与所得に比べて金融所得の税率が低いため、所得が多い人ほど実効税率が下がるという逆転現象が起きていたのです。
この課税強化は一見、超富裕層だけの話に見えます。しかし、こうした制度は徐々に対象範囲を広げていくのが常です。将来的に、数千万円〜1億円レベルの所得者、さらには中間層まで広がる可能性も否定できません。
第3章|次に来るのはあなた?金融所得に“社会保険料”を課す構想
注目すべきは、金融課税の対象が「税金」にとどまらず、「社会保険料」にも及ぶ構想が出てきたことです。
例えば、ある年に株式投資で300万円の利益が出たとします。現在はこれに対して20.315%の税金が源泉徴収されますが、今後はこの利益に健康保険料や厚生年金保険料などが追加で課される可能性があります。
厚生労働省では、所得の全体像をもとに保険料負担の公平性を確保したいという立場をとっていますが、実際には「気づかないうちに負担が増える」構造になるおそれがあります。
第4章|矛盾だらけ?「投資推進」と「課税強化」が共存する日本
政府はここ数年、「貯蓄から投資へ」を合言葉に、NISAやiDeCoなどの制度を整備してきました。新NISAの登場により、国民の投資意欲も徐々に高まってきた矢先です。
その一方で、金融所得への課税強化や保険料算定への反映という動きが加速しています。これは、投資を促すと言いながら、得た利益に対して重課税を行うという、矛盾した政策運営です。
この二面性が続けば、投資を志す若者や中堅層にとって、将来への希望が打ち砕かれかねません。投資教育の広がりに逆行する制度設計は、国民の不信を招くリスクがあります。
第5章|このままだと覆せない!“選挙”が将来を決める分岐点に
日本の法制度は、一度決まると覆すのが非常に難しい構造になっています。過去の税制改革や社会保険制度を見ても、一度導入された仕組みが撤廃される例はほとんどありません。
だからこそ、制度が決まる「前」に、どれだけ多くの人が気づき、声をあげるかが問われています。
今回の選挙は、金融課税と社会保険料負担の今後を左右するターニングポイントになる可能性があります。経営者や投資家、働く世代こそが、この議論に関心を持ち、投票行動につなげることが重要です。
第6章|どう備える?経営者・投資家が今からできる3つの対策
① 確定申告不要口座の活用
源泉徴収ありの特定口座を使うことで、金融所得を「表に出さない」対策になる可能性があります。
② 退職金制度や法人設立を活用
企業型DCや役員退職金制度など、合法的な非課税スキームを活用し、個人の資産を法人に分散する方法も検討に値します。
③ 情報を発信し、周囲と共有する
この問題は“気づいた者勝ち”です。SNSやブログ、セミナーなどで情報を共有し、社会的議論を巻き起こすことが大切です。
終章|“気づかないうちに奪われる社会”を変えるのは、あなたの一票かもしれない
社会保険料という名の“第二の税金”が、静かに私たちの金融資産を侵食し始めています。この変化に気づかずにいれば、数年後、「なんでこんなに保険料が高いの?」と驚く日が来るかもしれません。
経営者として、投資家として、納税者として、今こそ立ち止まり、制度の全体像を見つめ直す時です。そして、自分の意思を反映させるために、最も身近で確実な手段が“選挙”です。
未来の資産を守るために。静かな増税に、静かにNOを突きつける時が来ています。
※脱税理士スガワラくんの参考動画
【参院選】選挙に行くしか対策なし!コレで私たちの一生涯の税金が決まります。