退職代行から電話が来たら、まずこう聞け!会社を守る“第一声”のひと言
杉山 晃浩
第1章:いきなり「退職代行ですが」と電話が来たら、どうする?
「御社の社員◯◯様の件でご連絡しております。こちら、退職代行の〇〇と申します。」
ある日突然かかってくるこの電話。人事担当者の多くが「えっ…」と戸惑う場面です。
一歩間違えば、「対応が悪い」「冷たい」「辞めさせてくれなかった」などとSNSで炎上…
あるいは法的トラブルに発展する可能性もある時代です。
そんな時、感情的にならず冷静に、かつ的確に“ある一言”を発することで、会社を守ることができます。
第2章:「失礼ですが、弁護士法人ですか?労働組合ですか?」──これが第一声
退職代行の正体を見極めるカギ。それがこの質問です。
「恐れ入りますが、御社は弁護士法人でしょうか?それとも労働組合でしょうか?」
このたった一言で、退職代行業者が法的に交渉できる存在かどうかを判断できます。
なぜこの質問が重要なのか?
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弁護士や労働組合でない業者は、退職の「意思を伝えるだけ」が許される範囲(=使者)
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一方で、「交渉」「代理」「請求」「連絡窓口」などを行えるのは弁護士か労働組合のみ(=代理人)
この確認をせずに話を進めてしまうと、非弁行為に会社側が巻き込まれるリスクもあるのです。
第3章:非弁業者に応じると起こり得る3つのリスク
退職代行業者の中には、「弁護士や労働組合を装っているが、実態は一般業者」というケースもあります。
そのまま会話を進めると、以下のような事態に発展しかねません:
❶ 非弁行為に協力したとみなされる
弁護士法第72条により、報酬を得て法律事務を行うことは弁護士以外には禁止されています。
会社がそのやり取りに加担したような構図になると、弁護士会や労基署から指摘を受ける恐れも。
❷ 社内トラブル・炎上の火種になる
一部の退職代行業者は、SNSやメディアに“自社の成功事例”として情報を投稿するケースがあります。
人事が対応を誤れば、「ブラック企業の対応事例」として拡散されるリスクも。
❸ 退職処理の混乱が生じやすい
「誰に何を伝えるか」が不明確なまま進行すると、
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書類送付ミス
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備品未返却
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給与・有給の計算ミス
などの実務的ミスにつながり、社内の信用低下や手間の増加を招きます。
第4章:そもそも退職代行を使うような人材は必要か?
ここで一度立ち止まって考えてみてください。
「退職の意志を、会社に直接伝えることすらできない人材」を、果たして今後また採用したいと思いますか?
もちろん、退職代行を使わざるを得ない背景(ハラスメント・過重労働など)が本当にあった場合は別です。
ですが、単に「連絡するのが面倒」「話すのが怖い」「揉めたくない」という理由だけで、代行に頼る人も少なくありません。
組織として、そうした人材に再び時間やコストをかけていいのか?
退職代行の利用は、**組織の「採用・定着の評価指標」**と捉えることもできます。
第5章:対応できる会社になる!実践ポイント5つ
✅ ① 第一声をマニュアル化する
社員に限らず、総務・事務スタッフなど電話対応をする可能性のある人全員が共通対応できるよう、テンプレート化を。
例文:
「恐れ入ります。御社は弁護士法人様でしょうか?それとも労働組合様でしょうか?確認のためお伺いしております。」
✅ ② 退職対応フローを整備しておく
退職代行が来た後にバタバタしないよう、以下のフローを事前に共有しておきましょう:
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退職届・書類の扱い
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有給・給与の扱い
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書類送付先・備品返却の管理方法
✅ ③ 弁護士・社労士との連携体制を持つ
対応が難しい場合は、迷わず社外専門家にエスカレーションしましょう。
対応を誤るリスクの方が、コストよりもずっと大きいことを認識すべきです。
✅ ④ 採用・入社時点での「出口」も見据える
「辞め方が乱暴な人」を採らない・生まないよう、
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入社時オリエンテーションでの説明
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相談窓口の明示
などで、退職代行に頼らない文化を形成します。
✅ ⑤ 社内で共有する「退職代行対応マニュアル」の導入
これがあるかどうかで、現場対応のばらつきとリスクが大きく変わります。
第6章:まとめ──「最初の一言」が会社を守る
退職代行という言葉に、過剰反応する必要はありません。
でも、「退職=全て業者に任せて終わり」と思い込む時代は、すでに終わりつつあります。
会社を守るのは、たった一言の確認です。
「御社は弁護士法人ですか?それとも労働組合ですか?」
この質問が、あなたの会社のリスクを減らし、社員との正しい関係を築く第一歩になるはずです。
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