フリーランス法で義務化!発注者が取り組むべきハラスメント防止対策と外部相談窓口の活用法

杉山 晃浩

2024年11月、フリーランス法(正式名称:特定受託事業者に係る取引の適正化等法)が施行されました。
この法律は、フリーランスと取引するすべての事業者に「取引の適正化」と「就業環境の整備」を求めるものです。

中でも注目されているのが 「ハラスメント防止体制の整備義務(第14条)」 です。
これまで従業員に対してはパワハラ防止法(労働施策総合推進法)で対策が義務付けられていましたが、今後はフリーランスに対しても同様に「相談窓口の設置」「体制整備」が求められることになりました。

すでに労働局では、現状把握や周知を目的とした調査を始めています。宮崎県では月4~5件の調査ノルマがあるとの情報もあり、違反への是正指導は時間の問題です。

「知らなかった」「うちは小規模だから大丈夫」という言い訳は通用しません。
本記事では、発注者が必ず押さえておくべきハラスメント防止体制と、外部相談窓口の活用方法について解説します。


第1章 フリーランス法におけるハラスメント防止の位置づけ

フリーランス法の第14条には、発注者に次の義務が定められています。

  • フリーランス(特定受託業務従事者)に対するハラスメントを防止する体制を整えること

  • 相談に適切に対応できる窓口や仕組みを整備すること

ここでいう「特定受託業務従事者」とは、従業員を雇わずに業務を請ける個人フリーランスや一人法人の代表者を指します。

つまり、外注先のデザイナー、ライター、エンジニア、コンサルタントなど、発注先が個人であれば全て対象となるのです。

下請法との違いは、業種・規模に関わらず適用される点。
「小さい会社だから関係ない」と思っていると、思わぬリスクに直面します。


第2章 なぜフリーランスとの取引でハラスメント対策が必要か

フリーランスは、従業員と違い労働法の保護が及びにくい立場です。
そのため、交渉力の格差から不利益を被りやすく、実際に多くのトラブルが報告されています。

よくあるハラスメント事例

  • 納品前に業務外の追加作業を強要される

  • 公開の場で人格を否定されるような言動を受ける

  • 業務と無関係な飲み会や私的な誘いを断れない雰囲気にされる

  • 性的な言動や差別的発言を受ける

これらは、従業員へのハラスメントと本質的に変わりません。

企業側のリスク

  • 行政指導・勧告、公表による信用失墜

  • 契約解除や訴訟リスク

  • 「働きにくい会社」というレッテルで採用力・取引力が低下

いまやハラスメント防止は「企業防衛のための必須対応」と言えるでしょう。


第3章 発注者が整備すべきハラスメント防止体制

フリーランス法に基づき、発注者が取るべき対策は大きく4つに分けられます。

1. 相談窓口の設置

フリーランスが安心して相談できる窓口を社内に設ける必要があります。
電話・メール・専用フォームなど、利用しやすい手段を用意し、契約時に明示することが望ましいです。

2. 相談対応体制の整備

相談があった場合の対応フローをあらかじめ決めておきましょう。

  • 受付 → 事実確認 → 必要な対応(是正・再発防止)

  • 場合によっては外部の専門家(社労士・弁護士)に相談

3. 方針の明文化と周知

「フリーランスを含め、業務委託先に対するハラスメントを許さない」旨を契約書や業務マニュアルに記載し、取引開始時に周知することが重要です。

4. 教育・啓発活動

発注担当者や管理職には、フリーランスとの接し方に関する研修を行い、無自覚なハラスメントを防ぐ意識を持たせる必要があります。


第4章 外部相談窓口を活用するメリット

中小企業にとって「自社で窓口と体制をすべて整える」のは負担が大きいのが現実です。
そこで有効なのが、外部相談窓口の活用です。

外部窓口を導入するメリット

  • 公平性の確保:フリーランスが安心して相談できる

  • 専門的な対応:ハラスメント相談に精通した専門家が対応

  • 負担軽減:社内リソースを割かずに法令対応が可能

実際、労働局の調査でも「相談窓口の設置状況」がチェックされます。外部窓口を契約しておけば、法令遵守の姿勢を示す有効な手段となります。


第5章 オフィススギヤマグループが提供する支援

私たちオフィススギヤマグループでは、フリーランス法対応を見据えた以下のサービスを提供しています。

  • ハラスメント防止研修
    発注担当者・管理職向けに、フリーランスとの取引で気をつけるべき言動や対応を具体的に学べます。

  • 外部相談窓口サービス
    フリーランスからの相談を専門家が受け付け、必要に応じて助言・対応を行います。企業は窓口を設置したものと同等の体制を整えることができます。

  • 法令対応コンサルティング
    契約書や就業規程へのハラスメント条項の追記、運用マニュアルの整備など、実務に落とし込むサポートを行います。

これらを組み合わせることで、企業規模を問わず、スピーディにフリーランス法対応を実現できます。


第6章 まとめと次のステップ

フリーランス法の施行により、発注者にはフリーランスに対するハラスメント防止体制整備が義務化されました。

  • 相談窓口の設置

  • 相談対応体制の整備

  • 方針の明文化と周知

  • 教育・研修の実施

これらを整えていないと、行政指導や信用失墜というリスクに直結します。

中小企業にとっては負担が大きいと感じられるかもしれませんが、外部相談窓口や研修サービスを上手に活用することで、効率的かつ確実に対応できます。

オフィススギヤマグループは、フリーランス法対応に悩む企業のパートナーとして、研修・外部相談窓口・コンサルティングをワンストップでご提供しています。

まずは、現状の取引と体制を点検し、一歩踏み出すことから始めましょう。
それが、フリーランスと企業の信頼関係を守り、安心して取引できる環境をつくる第一歩になります。

気になる方は、オフィススギヤマグループへお問合せください。

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