面接で良さそうだったのに…を防ぐ。 ハロー効果が招く人材ミスマッチ
杉山 晃浩
「面接ではいい感じだったんだけどなぁ…」
採用を経験した経営者なら、一度はそう呟いたことがあるのではないでしょうか。
人手不足が叫ばれる時代。
せっかく応募者が来たのに、入社後の働きぶりが想像と違った…
そんなミスマッチが続けば、採用コストも現場の疲弊も大きくなります。
原因のひとつが、心理学でいうハロー効果です。
今回は、社労士の視点から、この厄介な錯覚との付き合い方をお伝えします。
1章:採用は第一印象の罠にハマりやすい
面接は短い時間で人を判断する難しい仕事です。
そのため、私たちの脳は「手っ取り早い判断」をしてしまいがちです。
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ハキハキしている
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前職が有名企業
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資格をたくさん持っている
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高身長でスーツが似合う
こうした“見えやすい情報”に、私たちはつい好印象を抱きます。
しかし、それは本当に会社が求める力でしょうか。
2章:ハロー効果とは?脳の省エネモードが招く判断ミス
“ハロー(後光)効果”とは、
あるひとつの良い(または悪い)特徴が、
人物全体の評価に影響してしまう現象のこと。
まるで「後ろに光が差して神々しく見える」ように
良い所が“盛られて”しまうのです。
脳は常に多くの情報を処理しています。
忙しい面接官ほど、この錯覚に引っかかりやすいと言われます。
一部の情報で全体を判断してしまう
それこそがミスマッチの入り口
3章:採用現場の“あるある誤評価”5選
ここで、社労士としてよく見る「ハロー効果の罠」を紹介します。
1)ハキハキしている=仕事ができる
→実際は準備された受け答えだけ上手いことも
2)資格が多い=実務能力も高い
→現場でのスキルは別物
3)前職が大手企業=優秀
→組織の仕組みに支えられていただけ…もある
4)見た目が清潔=協調性がある
→実はプライドが高く対立を招くことも
5)第一印象が良い=人柄もいい
→問題行動は入社後に表面化する
誰でも心当たりが一つはあるのではないでしょうか。
4章:“見える優秀さ”に惑わされるな
本当に見るべきは「再現性」
採用は恋愛と似ています。
最初は魅力的に見えても、
一緒に働いてみると「こういう人だったのか…」となることも。
仕事で必要なのは、
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その力が会社でも発揮できるか
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過去の成功を再現できるか
という再現性です。
小規模なクリニックや介護事業所など、
一人ひとりの役割が重い職場ほどこの見極めが重要です。
5章:ミスマッチ採用の代償は大きい
ハロー効果での採用失敗を放置すると…
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現場のストレス増
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人間関係悪化
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教育コストの無駄
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離職→再採用の負担増
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経営者のメンタル疲弊
採用は宝探しではなく投資です。
投資はムダなリスクを減らすもの。
心理の落とし穴に気づくことが最初の一歩です。
6章:ハロー効果を防ぐ5つの実践ステップ
今日からできる「仕組みづくり」
①求める人物像を言語化
「コミュ力がある」「真面目」などの抽象語は禁止
行動基準で定義する(例:報告が期限内にできる等)
②面接質問表+評価表を用意
全員同じ質問、同じ視点でチェック
印象評価を分離する設計がカギ
③複数面接官で視点を分ける
「第一印象担当」と「実務能力担当」を明確に
④成果の根拠を深掘り
「何をしたか」より「どう工夫し、どう成果に繋げたか」に注目
⑤試用期間での評価を仕組みにする
フィードバックと基準設定は必須
「なんとなく合わない」で終わらせない
7章:逆ハロー効果にも要注意
「地味な人」が実は光ることがある
第一印象が弱いと、能力も低く評価されてしまうことがあります。
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内向的だがコツコツ型
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不器用だけど誠実
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発言少ないが観察力が鋭い
ビジネスは「派手さ」より「信頼性」が勝つ場面も多いです。
見落とした人材が競合で活躍する…
そんな悔しいストーリーは防ぎたいところです。
8章:まとめ|第一印象はスタート地点。ゴールではない
私たちは誰でも思い込みをします。
ハロー効果は「悪」ではなく「習性」です。
ただし、人事に関わる人は
その習性を知った上で、仕組みでコントロールする必要があります。
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面接は運任せではない
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評価は気分ではない
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人材は「見える情報」以上の存在
採用を正しくすれば、組織は必ず強くなります。
9章:本気で採用の質を変えたい経営者へ
もしあなたが、
「明日から変わりたい」
「採用ミスを繰り返したくない」
と思っているなら、私たちはその力になれます。
ただし…
“とりあえず相談”
“何となく聞いてみたい”そういう段階ならまだ必要ないかもしれません。
本気で
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求める人材像を明確にしたい
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面接の仕組みを整えたい
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組織を強くしたい
そう考える経営者の相談は大歓迎です。
採用の課題は、放っておいても決して良くなりません。
一歩を踏み出す覚悟がある方は、どうぞご相談ください。