「期待したら本当に伸びた!」 新人育成のピグマリオン効果
杉山 晃浩
新人がなかなか成長しない。
指導しても成果に結びつかない。
「最近の若い子は…」と嘆きたくなる。
しかし、社労士として現場を見てきた私は
少し違う視点を持っています。
新人の伸び悩みの原因は、
本人の能力だけではありません。
多くの場合、
「期待の伝わり方」が足りないだけです。
人の力は、
信じてもらったときに最大化します。
今回は、教育の世界から生まれた心理法則
ピグマリオン効果について、
新人育成に直結する活用方法をお届けします。
1章:新人が伸びないのは、本人の問題?
「注意しても動かない」
「受け身すぎる」
「覚えが悪い」
そんな不満は、現場では日常茶飯事です。
ただその裏に
こんな新人の本音が隠れています。
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失敗したら怒られるかも
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頑張っても評価されない
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自分は必要とされていない?
人は、不安な環境では力を発揮できません。
新人ならなおさらです。
だからこそ、
上司や先輩の関わり方に
「成長の芽」があるのです。
2章:ピグマリオン効果とは?
1960年代、アメリカの教育心理学研究で見つかった法則です。
期待されると、人は本当に成長する
教師が
「この子は伸びる」と信じ、
そのように接することで
成績が上がるという現象が確認されました。
職場でも同じことが起こります。
新人は
信頼してくれる先輩・上司の存在で
伸び方が変わります。
3章:期待の伝え方で新人の行動が変わる理由
期待は、人の中に
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自信(自己効力感)
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意欲
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責任感
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仲間意識
を生み出します。
逆に…
「どうせできないだろう」
という無言のメッセージは
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萎縮
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無気力
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早期離職
につながります。
育てられない組織は
「期待していない」が言葉に滲んでしまう
まずはここを変えることが、
最も現実的な成長戦略です。
4章:現場あるある3例で理解する“期待の力”
例1:慎重すぎて行動が遅い新人
✕「もっとテキパキ動いて」
○「ミスしないよう丁寧にしてくれてありがとう。次はスピードも意識してみよう」
丁寧さを認めた上で期待を足す。
例2:報連相が苦手な新人
✕「なんで相談しないの?」
○「相談してくれたら嬉しい。あなたならできるはずだよ」
相談が“歓迎される行動”であると伝える。
例3:叱られるとすぐ落ち込む新人
✕「そんなことくらいで落ち込むな」
○「失敗しても大丈夫。次はこうしてみよう」
安心感を与えつつ、再挑戦を促す。
5章:ピグマリオン効果を育成に活かす5つの技術
① 名前を呼んで関わる
「期待している」サインは
最も小さな承認から始まる。
② 行動を認める
結果より「動いた勇気」を評価。
これだけで新人は変わる。
③ 期待を具体的な言葉で伝える
✕「頑張って」
○「〇〇の対応、あなたなら任せられる」
④ 成功体験を意図的に作る
新人向けの簡単な役割で
「できた!」を積み重ねる。
⑤ 感情面の安全を保証する
「相談していい」
「失敗は成長の途中」
言葉にして伝える
6章:過剰なプレッシャーにしないための注意点
期待をかけることは
圧力をかけることではありません。
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比較して追い込まない
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担当を増やしすぎない
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評価と期待を混同しない
大切なのは
応援の気持ちを言葉に乗せることです。
7章:新人が育つ組織は“応援”が文化になっている
成長する職場に共通するのは
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失敗を許容する姿勢
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声かけが温かい
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新人を一人にしない
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誰もが「仲間」だと感じる
そんな環境です。
採用が難しい時代。
「人が辞めない理由」を作ることが
最大の武器になります。
8章:まとめ|期待を渡すことから育成は始まる
新人育成は
指導技術よりも
信頼関係が先です。
言葉ひとつで
新人の未来は変わります。
「あなたなら、できる」
この言葉が
成長のスイッチを押します。
9章:本気で“育つ職場”を作りたい経営者へ
もしあなたが
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新人が活躍する職場にしたい
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離職を減らしたい
-
教える仕組みを整えたい
と考えているなら、
私たちはお手伝いできます。
ただ…
「とりあえず話だけ」
という段階なら
お急ぎにならなくて大丈夫です。
行動を始めたいとき、
ぜひご相談ください。
新人が育つことは
組織の未来が育つことです。
一緒に、育つ会社をつくりませんか。