人事制度は社員と一緒に作れば機能する──IKEA効果で定着と主体性を最大化
杉山 晃浩
第1章 なぜ人事制度は「使われなくなる」のか?
多くの企業が、評価制度・賃金制度・行動指針など「人事制度」を整備しています。
ところが、実際にはその制度…こんな状態になっていませんか?
-
一度も見返されていない
-
評価が形骸化している
-
「うちの会社に合っていない」と不満が噴出する
-
制度はあるのに、離職は止まらない
制度を導入したときは皆やる気満々。
けれど半年も経てば、ホコリをかぶったファイルに逆戻りです。
なぜか?
理由はシンプルです。
制度が現場の人間の“血”になっていないから。
上から降ってきた制度に「自分事」の感覚はありません。
つまり…
-
つくる人:経営者・一部役職者
-
使う人:一般社員
このズレが、制度を死なせる最大要因です。
制度は紙だけでは動きません。
「自分の会社だ」「自分の制度だ」と思えることで、初めて育ちます。
その鍵を握る心理学がIKEA効果です。
第2章 IKEA効果とは?──“関わった分だけ好きになる”心理
北欧家具のIKEA。
家具を購入しても、自分で組み立てる必要がありますよね。
大変なのに楽しい。
苦労したのに、なぜか愛着が湧く。
これが心理学でいう
IKEA効果(IKEA effect)です。
人は、自分で関わったものほど価値を高く感じる。
職場でもまったく同じことが起きています。
-
自分で決めたルールは守ろうとする
-
自分の提案が採用された制度は使い続けたくなる
-
自分の言葉が評価に入ると、成果にこだわり始める
関与=愛着
判断=責任
参加=継続
制度が定着する企業は、例外なく
“作りながら学び、自分たちで制度を育てている”
のです。
第3章 人事制度×IKEA効果=主体性が生まれる仕組み化
一般的な制度導入はトップダウン。
だから制度が「押し付け」に見える。
IKEA効果を取り入れた制度設計は真逆です。
🧩社員を「制度づくりの共犯者」にする
-
制度づくりに意見を反映してもらう
-
グループで議論してもらう
-
自分たちの言葉で制度を言語化する
すると…
制度=自分の努力の結晶
という感覚が生まれ、主体性が宿ります。
🧠脳が「やらなきゃ」と思い始める3条件
| 条件 | 説明 |
|---|---|
| ①自分の意見が反映された | 承認と自己重要感 |
| ②仲間の前で宣言した | 社会的コミットメント |
| ③成果に関係する実感がある | 努力の正当化・内発的動機 |
これを制度設計に組み込むと、
「勝手に育つ制度」になります。
第4章 実例:介護事業所で起きた“制度の逆転劇”
ある介護事業所では、理事長が評価基準をすべて作成していました。
しかし評価面談では、ほぼ全員がモヤモヤ…。
「結局、理事長の好き嫌いで決まるんでしょ?」
離職率は年間30%を超えていました。
そこで取り入れたのがIKEA効果。
-
評価基準を「スタッフ委員会」が作成
-
先輩と若手が対話しながら、行動指針を決定
-
目標設定も本人の言葉で実施
すると、半年後に変化が。
-
評価面談の納得度が大幅向上
-
離職者ゼロの月が続いた
-
「ここで成長したい」と言う新人が増加
何よりスタッフの表情が変わりました。
「この制度は、私たちが作った制度だから。」
制度が心を動かした瞬間でした。
第5章 明日からできる!制度づくりにIKEA効果を活かす5ステップ
では具体的にどうやるのか?
中小企業向けに、以下の最短ルートをおすすめします👇
STEP1 未来像を共有するミーティング
「3年後どうありたいか?」を語り合う
→ ここに制度目的が宿る
STEP2 評価されたい行動を社員から集める
付箋・チャットなど気軽に
→ “自分の言葉”が制度に入る
STEP3 評価基準を小さく作る
完璧は要らない
→ 小さく作って改善できる設計に
STEP4 テスト部門を作る
トライアル&改善
→ 仕組みは回して強くなる
STEP5 運用改善の主役を現場に任せる
運用委員会を設置
→ 「私たちの制度」が完成する
第6章 制度が育つDX──オフィススギヤマ式オンボーディング
制度導入後に運用が止まる最大の理由は…
“管理が大変になるから”
そこで、
オフィススギヤマではこうサポートします👇
| 支援内容 | 効果 |
|---|---|
| クラウド活用(kintone等) | 制度運用が自動化し、工数削減 |
| 継続伴走サポート | 改善文化が自然に育つ |
| 評価面談の仕組み化 | 納得感が高まり受け入れられる |
| 採用・定着施策との連動 | 制度が組織全体を動かす |
DXは「制度を腐らせない装置」。
「制度 → 運用 →改善」のサイクルを、
自動で回す未来を実現します。
第7章 まとめ──制度は“社員が育てる”と強くなる
制度はただ作ればいいわけではありません。
社員が関わることで初めて血が通い、文化になります。
作った人が一番守る。
汗をかいた人が一番本気になる。
IKEA効果は、
人事制度が定着するための心理のカギです。
オフィススギヤマは、
制度を「自分たちのものにする」仕組みをデザインし、
伴走します。
-
採用で人を集め
-
制度で育て
-
仕組みで定着する
そんな職場を一緒につくりませんか?
制度づくりはゴールではない。
制度が“育つ組織”を作ることこそ、スタートなんです。