昇格が“無能”を生む?──ピーターの法則でわかる管理職育成の落とし穴
杉山 晃浩
第1章 なぜ“管理職が育たない”会社が増えているのか
「期待して昇格させたのに、現場が混乱した」
「責任が増えるなら辞めますと言われた」
そんな相談を受けることが増えています。
今、特に介護・医療の現場では…
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入社年次が古いから管理者へ
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資格があるからリーダーへ
という昇格が非常に多い。
しかし、残念ながらこうした昇格は現場弱体化につながることがあります。
そしてこれは、介護業界だけの話ではありません。
中小企業の多くが同じ失敗を繰り返しています。
「有能な現場社員を昇格させた瞬間、輝きを失う」
これこそが ピーターの法則です。
第2章 ピーターの法則とは?
人は無能になるまで昇進する
心理学者ローレンス・ピーターが示した有名な法則です。
昇格は報酬のように扱われがちですが、
実際は…
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求められる能力がガラッと変わる
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適性のない仕事に就かせられる
というリスクを伴います。
プレイヤー(現場の専門家)として有能でも
マネージャーとして有能とは限らない。
必要スキルの変化例
| 区分 | 現場の仕事 | 管理の仕事 |
|---|---|---|
| 目的 | 自分の成果 | チームの成果 |
| 評価指標 | 早さ&質 | 育成&調整 |
| 求められる力 | 技術 | 人間力 |
つまり、昇格した瞬間
別のゲームが始まるのです。
第3章 なぜ昇格基準が間違いやすいのか?
中小企業に多い判断基準はこうです👇
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長く勤めている
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言われたことをこなしてくれる
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有資格者である
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人手が足りないから管理を任せる
しかしこれらは
管理者としての能力と関係がありません。
気づけば…
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現場は混乱
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管理者は追い込まれ
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若手は辞めていく
経営者は…
「あいつに任せたのが間違いだった…」
と自己嫌悪。
でも、悪いのは社員ではありません。
昇格の仕組みが間違っているのです。
第4章 昇格拒否、離職、メンタル不調の悪循環
管理職不人気は、今の労働市場の深刻課題です。
なぜ若手は責任を嫌がるのか?
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「評価される勇気がない」
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「叱られる仕事をしたくない」
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「仕事が増えるのに給料は少しだけ」
つまり
デメリットがメリットを上回っている。
これでは、手を挙げる人がいなくて当然です。
気づけば…
👉 経営者がやる気のない管理者を仕方なく置く
👉 管理者が疲弊して現場荒廃
👉 事業が広がらない、質が落ちる
介護だけでなく
製造業、飲食、IT、事務職でも起きています。
第5章 介護現場で起きた“昇格の悲劇”事例
【ある介護事業所の例】
Before
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有資格者を自動的に部門のリーダーへ
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指示だけで現場がついてこない
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ミスが増え若手が離職
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経営者が現場に介入 → 混乱
After
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適性を見極めた役割設計
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小さなリーダー経験を積ませる仕組み
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定期的な面談で「できた」を増やす
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コミュニケーション改善の研修へ参加
結果👇
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離職率改善
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クレーム減少
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若手の育成意欲向上
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利用者家族からの評価アップ
ここでのポイント👇
昇格はスタート。ゴールではない。
第6章 ピーターの法則を防ぐ!
管理者育成 3つの打ち手
① 適性評価の導入
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対人能力
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問題発見力
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育成意欲
→「管理の資質」を客観化
② 段階的なキャリアパス
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主任 → サブリーダー → リーダーへ
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各段階で役割と成果基準を可視化
③ 管理職教育+フォロー体制
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面談力
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指導力
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チームづくり
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業務削減(DX導入含む)
管理者の失敗だけを責めない。
育てる覚悟が、経営者には求められる。
第7章 「昇格しなくても誇れるキャリア」を作る
ピーターの法則から脱却するために
もう一つ大切な視点があります。
それは…
管理職だけが成功ではない文化
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エキスパート職への道
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資格者は専門性で評価
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責任と報酬のバランス
すると👇
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無理に管理職を置かなくて良くなる
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適材適所・人が辞めにくい組織に
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管理職の質が自然と向上
第8章 中小企業全体に伝えたいこと
介護事業所は、
昇格と管理職不在の問題が“見えやすい”だけ。
でも実は…
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建設業
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製造業
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卸売・小売
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飲食
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IT
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サービス業
どの業界でも、ピーターの法則は進行しています。
問題は共通👇
人手不足だからこそ、昇格が雑になっている。
だから経営者は
役職者を守る仕組みが必要なのです。
第9章 まとめ:管理職を育てられる会社だけが生き残る
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昇格はご褒美ではない
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管理職に必要なのは能力と支援
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適材適所は経営の最重要テーマ
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制度と育成の両輪で離職は止まる
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ピーターの法則は仕組みで防げる
中小企業の未来は
現場が喜び、管理職が輝き、
経営者が安心できる組織をつくれるかどうか。
いかにして共通言語を作ることができるのか?
そのために、私たち専門家がいます。
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