「言っても無駄」な職場の正体──ゴーレム効果が作る負の連鎖

杉山 晃浩

◆1章:なぜ「言っても無駄」な職場ができるのか

「どうせあいつに任せてもミスする」
「現場を任せるレベルじゃない」
「何度言っても理解できない」

製造業の現場ではこんな言葉が日常的に飛び交っています。
人手不足の中やっと採用した若手や中途が、
気づけば作業台のすみっこで雑務ばかり。

そして、数か月後には退職。
また求人。
採用コストは増え、熟練者は疲弊。

でも本当に
「できないのは本人の能力不足」だけでしょうか?

実はそこには
管理側の「期待しない心理」が原因として潜んでいます。


◆2章:ゴーレム効果とは?

ゴーレム効果とは

期待されなければ、本当に成果が下がる
という心理効果

例えば、こういう場面です。

  • 経験が浅いから危険作業には入れない

  • 「簡単なことだけやっていればいい」と任せっきり

  • 指示は命令調で理由を説明しない

  • 「どうせやっても無理」と周囲が決めつけている

つまり、
扱われた通りの人材になってしまうのです。

製造業はその影響が特に現れます。
なぜなら…

✔作業の難易度差が大きい
✔信頼を得ないと挑戦機会がない
✔コミュニケーションが減りやすい(騒音×ライン作業)
✔安全教育の強弱が「目に見える結果」を生む

新人が「成長しない」のではなく、
成長させる機会を奪われているだけかもしれません。


◆3章:「期待しない職場」が生む負の連鎖

実際にあった製造業の事例を紹介します。

■ケース:入社3か月の20代男性(現場作業員)

入社当初から、指導係はこう感じていました。

「この子は飲み込みが遅いな」
「危ない作業は触らせないほうがいい」

その結果…

  • 雑務ばかり指示

  • 周りの視線は冷ややか

  • 本人も自信を失い、積極性ゼロ

  • 集中力が落ち、確認不足が増える→ヒヤリハット連発

最悪の結末も想像できます。

事故が起きてから気づく
「ちゃんと教育しておけば…」

これがゴーレム効果の怖さです。
能力がないと扱うから、本当に能力が出なくなる


◆4章:期待される人は伸び「期待されない人」は辞める

反対に、指導係のスタンスが違うとどうなるか?

期待するリーダーはこう言う

「ゆっくりでいい、ひとつずつ確実に覚えていこう」
「次はこれを任せてみる。応援してる」

結果…

  • 表情が明るくなる

  • 自主性が出てくる

  • 作業スピードも徐々に向上

  • ヒヤリハットが減り、安全意識が高まる

人は
信頼されると強くなる

これが人材育成の真理です。


◆5章:ゴーレム対策は「言葉と期待値の整備」から

改善に必要なのは小難しい理論ではありません。

✔期待を“言語化”する
✔評価項目に行動指針を入れる
✔任せる範囲を段階設計
✔成功体験を必ずフィードバックする
✔管理者教育に心理学知識を投入

これらはすべて
管理職の行動を変える仕組みです。

逆に言えば、
仕組みがなければ
どれだけ理念を掲げても現場は変わりません。


◆6章:人事制度に組み込む「期待のデザイン」

製造業で一番求められるのは
再現性のある育成です。

だからオフィススギヤマでは

  • 評価制度

  • OJT育成設計

  • 面談制度

  • 安全教育

  • ES・定着分析

これらを一本の線でつなぎます。

結果…

📌辞めない ✔
📌伸びる ✔
📌安全になる ✔
📌採用しやすくなる ✔

「成長できる会社」は
必ず人が集まります。


◆7章:経営者への問い

最後に、質問させてください。

あなた自身が
一番期待していないのは誰ですか?

もし即答できるなら
その方こそ
伸ばすべき一人かもしれません。

期待はコストゼロ。
けれど効果は最強。

「期待」を続ける覚悟
それが会社の未来を決めます。


◆8章:覚悟ある経営者へ

もしあなたが
「現場を変えたい」「安全を守りたい」
そう本気で思うなら

オフィススギヤマは全力で伴走します。

人は育つ。
期待すれば、もっと育つ。

「できない」と決めるのは
今日で終わりにしませんか?

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