管理職がまず学ぶべきは心理学──アドラー式“課題の分離”で職場が動き出す
杉山 晃浩
はじめに
人が採れない。
育たない。
辞めていく。
いま、多くの中小企業が同じ悩みを抱えています。
そしてその中心には必ず、中間管理職の苦しみが存在しています。
「人が言うことを聞かない」
「指示しないと動かない」
「面談をしても変わらない」
なぜ、現場は動いてくれないのでしょうか?
その答えは、心理学の中にありました。
第1章|管理職が育たない3つの理由
中小企業の管理職は、多くがこうして誕生します。
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仕事ができるから昇格
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年次が古いから昇格
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資格を持っているから昇格
しかし、そこに
「人を動かす力(マネジメント)」
があるとは限りません。
結果、こんな悪循環が起きます👇
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指示を出す → 部下が動かない
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イライラ → 強く言う → 関係悪化
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面談が苦痛 → 避ける → ますます動かない
業務は増える、責任は増える、ストレスは増える。
管理職が一番壊れやすいのはこういう会社です。
第2章|「正しい指示」でも人は動かない理由
アドラー心理学は言います。
人は “目的” があって行動している
つまり、
「なぜ動かないのか」
そこにも理由があります。
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面倒
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失敗したくない
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評価が変わらない
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やっても意味がない
命令だけでは、目的が満たされないのです。
第3章|課題の分離──管理職を救う最強ツール
アドラー心理学の最重要概念。
それは 誰の課題 なのか?
管理職が背負っている課題は多すぎます。
しかし、すべてに責任を取ろうとすると破綻します。
実例:介護事業所の場合
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介護職員が業務メモを残さない
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上司「何度言ったらわかるんだ!」
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→ 上司が全部やり始める
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→ 上司の残業増
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→ 職員ますます動かない
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→ 上司が燃え尽き
これは典型的な
課題の混同による負の連鎖です。
メモを書くかどうかは職員の課題であり、
上司の課題ではありません。
第4章|承認するのは「結果」ではなく「貢献」
特に若手はこう考えています👇
「役に立てている実感がほしい」
それなのに評価は、
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結果
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売上
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点数
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効率
これだけだと、
モチベーションが一瞬で潰れるのです。
上司が変えるべきは
評価ではなく、見ているポイントです。
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小さな行動
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助けたこと
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学ぼうとした姿勢
こうした 貢献の承認 が人を動かします。
第5章|中間管理職が変われば現場が変わる
アドラー心理学の力を使えば、こう変わります👇
| Before | After |
|---|---|
| 指示待ち | 自律的行動 |
| 怒りの面談 | 成長の対話 |
| 責任押し付け | 課題の分離 |
| 管理 | 支援 |
表情が変わり、関係が変わり、
離職率もグッと下がります。
そして何より…
上司が楽しそうになる
この変化こそ、心理学の成果です。
第6章|仕組み化しなければ意味がない
管理職が一人で学んでも限界があります。
必要なのは「仕組み化」。
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面談術の標準化
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貢献評価の導入
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DXで記録と可視化
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行動変容を数値化
ここまで落とし込んで初めて、
管理職の成長=会社の競争力
になります。
第7章|経営者が今やめるべき行動
1️⃣ 「うちの管理職はダメだ」と決めつける
2️⃣ 上司に責任を集中させる
3️⃣ 管理職教育を放置する
どれも会社を弱くします。
第8章|結論:心理がわかる管理職こそ未来を勝ち取る
人材難の時代を勝ち抜くのは、
心理を理解できる管理職を持つ会社
です。
社員の心が動けば、会社は動く。
管理職が変われば、全部変わる。