教えても覚えない…を解決 ──オペラント条件づけによる“育つ仕組み”
杉山 晃浩
■序章|「教えたはずなのに、なぜできない?」
「何度も説明しているのに、覚えない」
「チェックしないと進まない」
「指示待ちばかりで自走しない」
中小企業の経営者・管理職の共通の悩みです。
しかし、その原因を“本人の能力不足”や“やる気の問題”にしていませんか?
実は…
育たないのは 人の問題ではなく、仕組みの問題です。
心理学の世界ではすでに答えが出ています。
社員は 強化される行動を繰り返すのです。
■1章|社員は「結果」で動く──オペラント条件づけとは
アメリカの心理学者スキナーが提唱した
行動は結果によって変わるという理論。
仕事で置き換えると…
✔褒められる行動 → 増える
✔無視される行動 → 消える
✔叱られる行動 → 隠れる(辞める)
人は 報われる行動しかしません。
そして報われないと 行動は止まります。
つまり、
「指示通りにやって当たり前」
「できていなければ叱る」
という育成では
望む行動は決して増えません。
■2章|現場育成が崩壊する3つの理由
中小企業で育成が止まる理由は明確です。
① 褒めるタイミングが遅すぎる
給与や賞与で評価されるのは何ヶ月後?
→ 行動と“報酬”が結びつかない
② 失敗に敏感で、成功に鈍感
ミスだけ注目 → 行動が萎縮する
→「やらない方がマシ」が浸透
③ 属人的なOJTへの依存
優しい先輩なら育つ
キツい先輩なら辞める
→ 組織の運は“配属ガチャ”
この積み重ねが…
「できる人ほど辞める職場」をつくります。
■3章|新人が伸びる職場 vs 辞める職場
| 職場タイプ | 指導内容 | 心理状態 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 強化型 | 小さな成功を認める | 認められている | 行動が増える・成長・定着 |
| 叱責型 | 失敗を突く | 否定されている | 行動しない・ミス増加・離職 |
行動を止めるのは「叱責(罰)」
行動を増やすのは「承認(強化)」
これは経営の根本原理です。
■4章|育成成功のカギは“小さなYES”の積み重ね
行動科学では
成功体験の量は学習速度に比例します。
✔ できた瞬間に
✔ 小さく
✔ 具体的に褒めること
たとえば…
-
「ありがとう、助かった」
-
「その準備、すごく早くなったね」
-
「今の報告はとてもわかりやすい!」
たった1秒。
でも効果は絶大です。
承認の即時性が 学習をドライブさせるエンジンになります。
■5章|制度化すると、育成は自動操縦にできる
優しい先輩の“気まぐれ”に頼るから
育成が安定しないのです。
仕組み化の一例👇
□ チェックリスト式OJT
□ 達成項目ごとに即時フィードバック
□ データで成長が見える化
□ 行動ベースで評価につなぐ
結果…
✔ベテラン依存が解消
✔育成スピードが安定
✔新人の自信が積み上がる
✔離職率が下がる
「人に依存しない育成」は
企業力そのものです。
■6章|成功体験が「自走する人材」をつくる
強化され続けると…
🟦自己効力感UP(やればできる)
🟦主体性UP(次はこうしよう)
🟦学習能力UP(成長が加速)
逆にこれが欠けると…
🔻一歩も動けない新人
🔻守りに入る中堅
🔻辞めていく若手
成果につながらないのは
本人が悪いのではなく
組織が「強化」を与えられていないだけ。
■7章|経営者がやるべきは「仕組みの改善」
育成は“気持ち”ではなく“科学”です。
✔ 成果につながる行動を定義
✔ データで成長を把握
✔ すぐ承認する仕組み
✔ 評価制度と連動
✔ DXで自動化
教育の質が統一されれば
企業は強くなります。
■8章|最後に:人は育つ。仕組みで育つ。
「教えても覚えない」のは思い込み
「育ててもすぐ辞める」のは構造問題
育つ組織には、必ず理由がある
育たない組織にも、必ず理由がある
経営者の決断が、未来をつくります。
■9章|オフィススギヤマの伴走支援
私たちは…
◎ 行動科学(オペラント条件づけ)
◎ 人事制度設計
◎ 採用・育成・定着支援
◎ DX活用(可視化×即時承認)
を掛け合わせて
新人が勝手に育つ組織をつくります。
まずはどこから整えるべきか?
課題整理から一緒に始めませんか。
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本気の企業だけ、伴走します。