2005年106万人 → 2025年66万人 この現実を前に、経営者は何をすべきか

杉山 晃浩

2005年、日本で生まれた子どもの数は約106万人でした。
それから20年後の2025年、その数は約66万人まで減少しています。

わずか20年で、40万人もの差です。
これは統計上の数字ではなく、
「これから社会に出てくる働き手の母数」が、確実に減っているという事実を意味します。

にもかかわらず、
「最近は求人を出しても人が来ない」
「若い人が全然応募してくれない」
という声を聞くたびに、私はこう感じます。

――それは、努力不足ではありません。
――時代が、もう変わってしまっているのです。


数字が示す“採用環境の激変”を直視する

採用がうまくいかない理由を、
「景気が悪いから」
「求人媒体がダメだから」
と考えてしまう経営者は少なくありません。

しかし、出生数の推移を見れば分かる通り、
今起きている採用難は、一時的な不況ではなく、構造的な問題です。

働く人そのものが減っている。
つまり、取り合いになるのが前提の時代に入っているのです。

特に影響を受けやすいのが、中小企業です。
大企業のように知名度があるわけでもなく、
待遇で圧倒できるわけでもない。
これまで通りのやり方では、どうしても不利になります。

だからこそ今、
「なぜ採れないのか」ではなく、
「どう変わるべきか」を考える必要があります。


それでも多くの中小企業が“同じ採用”を続けている

採用が厳しくなっているにもかかわらず、
多くの中小企業は、20年前とほぼ同じ採用を続けています。

  • とりあえず求人を出す

  • 応募が来るのを待つ

  • 来た人の中から選ぶ

このやり方自体が悪いわけではありません。
問題は、それしかしていないことです。

「いい人がいれば採りたい」
「とにかく人手が足りない」
こうした言葉が出てくる会社ほど、採用が長期化します。

なぜなら、
応募者から見たとき、
「この会社で働く理由」が見えてこないからです。

採用が単発のイベントになり、
経営者自身が深く関与していない。
これでは、人口減少時代の採用戦には勝てません。


人口が減る時代に「採用力=会社の魅力」になる

これからの時代、採用はテクニックではありません。
会社そのものが選ばれるかどうか、それがすべてです。

給与や休日といった条件は、もはや最低限。
応募者はそれ以上に、

  • どんな人が働いているのか

  • どんな雰囲気の職場なのか

  • ここで成長できそうか

といった「環境」を見ています。

中小企業が、大企業と同じ土俵で戦う必要はありません。
むしろ、それはやってはいけない戦い方です。

中小企業だからこそ、
社長の考え方が伝わり、
仕事の意味が見え、
顔の見える関係が築ける。

それを、きちんと伝えられているかどうか。
そこが、採用力の分かれ目になります。


中小企業が今すぐ注力すべき採用の3つのポイント

①「誰でもいい採用」をやめる

人手不足になると、
「誰でもいいから来てほしい」と考えてしまいがちです。

しかし、この考え方こそが、
採用と定着を同時に難しくします。

欲しい人物像が曖昧なままでは、
ミスマッチが起き、
結果として「また辞めた」という状況を繰り返します。

まず必要なのは、
「どんな人と一緒に働きたいのか」を言語化することです。


②「辞めない仕組み」を先に整える

採用と定着は、切り離せません。
辞めやすい会社は、いくら採用しても人が残りません。

教育の仕組みはあるか。
評価は納得感があるか。
相談できる環境は整っているか。

これらは、特別な制度がなくても改善できます。
大切なのは、場当たり的に対応しないことです。


③「ここで働く意味」を伝える

中小企業には、中小企業ならではの価値があります。
それを、社長自身の言葉で語れているでしょうか。

「うちは普通の会社だから」
そう思った時点で、採用は不利になります。

どんな想いで会社を続けているのか。
どんな未来を描いているのか。
その言葉こそが、最大の採用ツールです。


経営者が中長期で考えるべき“採用以外の一手”

これからは、
「新卒・若手だけを採る」という発想自体を見直す必要があります。

シニア人材、副業人材、地域の多様な働き手。
人材の活用方法は、もっと広げられます。

同時に、
「育てる会社」への転換も欠かせません。

即戦力を待つのではなく、
育つ環境を整える。
これが、5年後・10年後の差になります。


人口減少時代でも“人が集まる会社”の共通点

採用に成功している中小企業は、
特別なことをしているわけではありません。

ただ一つ、共通しているのは、
採用を経営として扱っていることです。

場当たり的に人を探すのではなく、
会社づくりの一部として考えている。
その姿勢が、自然と人を引き寄せます。


採用は、経営者の仕事である

出生数は、もう戻りません。
待っていても、環境が良くなることはありません。

だからこそ、
今、動いた会社だけが選ばれます。

採用は、人事の仕事ではありません。
会社の未来を決める、経営者の仕事です。

この現実を前に、
どんな選択をするのか。
それが、5年後・10年後の会社の姿を決めていきます。

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