障害年金の審査は誰が決めているのか? 報道から見えた現実
杉山 晃浩
「障害年金は、医師が判定している」
多くの方が、そう信じて申請をしています。
確かに、制度上はそのとおりです。
しかし、最近の報道によって、その前提が揺らぐ事実が明らかになりました。
本記事では、
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障害年金の審査は本来どう決まるのか
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今回の報道で何が問題視されているのか
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申請を目指す方は、これからどう備えるべきか
を、専門用語をできるだけ避けながら解説します。
障害年金の審査は「誰が」行っているのか
まず、制度の基本から整理しましょう。
障害年金の申請書類は、市区町村の窓口や年金事務所を通じて、
日本年金機構
に送られます。
そこで行われる審査の流れは、原則として次のようになっています。
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申請書類一式(診断書・申立書など)が集約される
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障害の種類ごとに専門の医師が割り当てられる
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医師が単独で医学的な判定を行う
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その判定をもとに、支給・不支給が決定される
つまり、制度上は
「最終的な医学的判断は医師が行う」
これが大前提です。
今回の報道で何が問題になっているのか
ところが、報道では次のような事実が指摘されました。
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医師が行った判定について
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年金機構の職員が
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「甘すぎる」
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「厳しすぎる」
と判断した場合
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その医師の判定記録を破棄し、別の医師に再判定を依頼していた
しかも、
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最初の医師には知らされない
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本人にも説明はない
という運用が、長年続いていた可能性があるという内容です。
もしこれが事実であれば、
それは単なる事務処理の問題ではありません。
なぜこの問題は、申請者にとって重大なのか
最大の問題は、ここです。
医師の専門的判断が、
申請者の知らないところで「やり直されていた可能性」
これは、申請者にとって次のような不利益を生むおそれがあります。
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なぜ不支給になったのか分からない
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医師の診断が否定された理由を知る手段がない
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不服申立てをしようにも、材料が不足する
つまり、
結果だけが一方的に突きつけられる構造
になってしまうのです。
障害年金は、生活に直結する制度です。
だからこそ、審査の公平性・透明性は非常に重要です。
では、申請者は何を信じればいいのか
ここで大切なのは、感情的にならないことです。
今回の報道を受けて
「もう障害年金は信用できない」
と感じた方もいるかもしれません。
しかし、現実的には
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制度は今も動いている
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申請しなければ受給の可能性はゼロ
この事実は変わりません。
重要なのは、
「制度を過信しないこと」
そして
「書類で自分を守ること」
です。
障害年金は「状態」ではなく「書類」で判断される
これは厳しい現実ですが、非常に重要なポイントです。
障害年金の審査は、
あなたの日常を直接見て判断されるわけではありません。
審査されるのは、あくまで
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診断書
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病歴・就労状況等申立書
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その他の提出書類
です。
つまり、
同じ症状でも
書類の書き方次第で
結果が変わる可能性がある
ということです。
申請前に必ず意識してほしい3つの視点
① 医師任せにしない
医師は医学の専門家ですが、
障害年金制度の専門家ではありません。
診断書の内容が
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日常生活の困難さを十分に表現できているか
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等級認定基準とズレていないか
を、必ず確認することが大切です。
② 「できること」ではなく「できないこと」を伝える
診察の場では、つい
「今日は調子がいいです」
と言ってしまう方も少なくありません。
しかし、障害年金で重要なのは
調子が悪いときの日常です。
③ 不支給=終わり、ではない
一度不支給になっても、
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審査請求
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再審査請求
といった選択肢があります。
今回の報道を踏まえると、
「なぜ不支給だったのか」を冷静に見直すことは、
これまで以上に意味を持つと言えるでしょう。
障害年金は「一人で闘う制度」ではありません
最後に、これだけはお伝えしたいと思います。
障害年金は、
我慢強い人ほど不利になりやすい制度
です。
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周囲に迷惑をかけたくない
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自分はまだ大丈夫だと思ってしまう
そうした気持ちが、
書類上では「軽い状態」として扱われてしまうことがあります。
今回の報道は、不安を与える一方で、
「制度を正しく理解し、備えることの重要性」
を改めて浮き彫りにしました。
申請を考えている方は、
どうか一人で抱え込まず、
制度の仕組みを知ったうえで、慎重に進めてください。
それが、今できる最も現実的な備えです。