第3回 障害年金で後悔しないために 申請前に知っておくべきポイントと現実的な備え
杉山 晃浩
第1回では、障害年金の基本的な仕組みを。
第2回では、申請から審査までの流れを解説してきました。
そして第3回のテーマは、
「どうすれば後悔しないのか」です。
障害年金について調べている方の多くは、
すでに体調や生活に不安を抱えています。
だからこそ、
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無駄な遠回りをしない
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「知らなかった」で損をしない
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不必要に自分を責めない
そのために、ぜひ知っておいてほしい現実があります。
障害年金は「がんばった人」ほど不利になりやすい
まず、少し厳しい現実からお伝えします。
障害年金は、
がんばり屋さんほど不利になりやすい制度です。
たとえば、
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本当はつらいのに「大丈夫です」と言ってしまう
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周囲に迷惑をかけたくなくて無理をする
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症状を控えめに伝えてしまう
こうした姿勢は、
日常生活では立派なことかもしれません。
しかし、障害年金の審査では、
「困っていない人」として書類に表れてしまうことがあります。
「できること」より「できないこと」を伝える勇気
障害年金の書類では、
「何ができるか」よりも
「何ができないか」「どんな支障があるか」
が重要です。
これは、嘘を書くという意味ではありません。
事実を、正確に、具体的に伝えるということです。
たとえば、
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「家事はできます」
→ 実際は、途中で休憩が必要、家族の手助けがある -
「仕事はしています」
→ 配慮がないと続かない、欠勤が多い
こうした背景を省略してしまうと、
書類上は「問題なく生活できている人」に見えてしまいます。
診断書は「医師任せ」にしない
障害年金で最も重要な書類は、
医師が作成する診断書です。
ただし、医師は
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医学の専門家
であって、 -
障害年金制度の専門家
ではありません。
診察時間も限られているため、
生活の細かな困りごとまで
十分に伝えきれないこともあります。
そのため、
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診断書の内容を必ず確認する
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実態と違う点があれば、丁寧に相談する
この一手間が、結果を左右することがあります。
「不支給=終わり」ではありません
もし、障害年金が不支給になったとしても、
それで全てが終わるわけではありません。
選択肢としては、主に次の3つがあります。
① 審査請求
決定内容に納得できない場合、
一定期間内であれば、再度の審査を求めることができます。
② 再審査請求
審査請求でも認められなかった場合の、次の段階です。
③ 再申請
時間を置き、
症状や状況が変わったタイミングで、
改めて申請する方法です。
一度不支給になった理由が
「状態」ではなく「書類の問題」だった場合、
結果が変わるケースもあります。
障害年金は「一人で抱え込む制度」ではない
障害年金は、
申請するだけでも大きな負担になります。
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書類が多い
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制度が分かりにくい
-
不安な気持ちが強い
そんな中で、すべてを一人で抱え込む必要はありません。
制度の運営は
日本年金機構
が行っていますが、
制度の活用を支援する専門家も存在します。
「相談する=弱い」ということではありません。
むしろ、生活を守るための現実的な選択です。
障害年金は「知っている人」が使える制度
障害年金は、
申請しなければ始まりません。
そして、
正しく理解していなければ、
本来受けられる可能性があっても
すり抜けてしまう制度です。
この3回シリーズでお伝えしたかったのは、
「怖がらせること」ではありません。
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制度の全体像を知る
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審査の仕組みを理解する
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後悔しないための視点を持つ
この3つが揃えば、
障害年金は「分からない制度」から
「備えられる制度」に変わります。
最後に:あなたの生活を守るために
障害年金は、
特別な人のための制度ではありません。
病気やけがは、
誰にでも起こり得るものです。
「もっと早く知っていればよかった」
そう思う前に、
ぜひ今回の知識を、
あなた自身や、大切な人のために役立ててください。
このシリーズが、
その第一歩になれば幸いです。